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科学の本質を探る

【科学の本質を探る①】アインシュタインは「スピノザの神」の信奉者 阿部正紀

2015年8月3日19時07分 コラムニスト : 阿部正紀
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関連タグ:阿部正紀アルベルト・アインシュタイン

科学に対して次のように考えている人が多いのではないでしょうか。

「自然科学は、自然に関する客観的な事実と論理的な合理性だけに基づいている。科学者は、主観的な価値観や世界観などの先入観を退けて、虚心坦懐(たんかい)に自然を探究する。従って、科学は自然に関する絶対的な真理を明らかにしており、将来すべてを解明すると期待できる」

このような常識的ともいえる科学観は、科学史および科学哲学(科学の本質を探究する哲学の一分野)の学問領域では、もはや過去の見解として厳しく批判され、退けられています。この意外な事実を、できるだけ分かりやすく、また少しずつ説明して、科学の本質を読者の皆様に理解していただくことがこの連載コラムの目的です。

最初に、相対性理論の創始者として有名な、20世紀最大の科学者アルベルト・アインシュタインを取り上げました。

【今回のワンポイントメッセージ】

  • 「初めに哲学ありき」――相対性理論はアインシュインが信奉していたスピノザの審美的な哲学から生まれた。

「審美主義」哲学から相対性理論を生み出したアインシュタイン

ユダヤ人であったアインシュタインは、航海中にユダヤ教の宗教指導者(ラビ)から電報で、「あなたは神を信じるか?」と質問されました。この時彼は、「私はスピノザの神を信じている。それは、この世界の秩序ある調和の中に自身をあらわされる神であって、人間の運命や行動にかかわる神ではない」と返信しました。

哲学者スピノザは、汎神論を唱え人格神を否定しました。万物は、「神の本質的な性質」があらわされたものであると考え、自然界を支配している法則の美しさと合理的な統一性の中に神があらわされていると唱えたのです。このように、万物に神を認める汎神論的で審美的なスピノザの哲学を受け入れていたアインシュタインは、自然を支配している物理法則の中に統一的な調和を見出すことを目指していました。

19世紀末には、すべての物理的現象は、物体の運動を扱う「ニュートン力学」と光(電磁波)を扱う「電磁理論」によって完全に説明できるはずと考えられていました。ところが、力学と電磁理論は互いに矛盾し、両者が調和していないことが問題視され、謎とされていました。アインシュタインはこれを解決して、自然界に統一的な調和をもたらすために相対性理論を作り上げたのです。

アインシュタインは、16歳の少年時代から、力学と電磁理論の間に矛盾があることに気付いており、この問題を10年間熟考したことによって相対性理論が生まれたと自ら語っています。

理論が観測データに先行する

その後、英国の科学者が計画した皆既日食に関する観測を通して相対性理論の正しさが証明され、アインシュタインは一躍世界的な有名人になりました。観測データから理論が作られたのではなく、理論からそれを支持する観測データが集められたのです。

ところがアインシュタインが相対性理論を作ったのは、「マイケルソン・モーリーの実験」と呼ばれている有名な実験によって得られた「謎の結果」を説明するためであったと多くの書物や教科書に書かれています。確かにアインシュタインはこの実験結果を知っていました。しかし実際には、彼は審美的な哲学に基づいた動機から相対性理論を作り上げ、その結果としてこの「謎の実験結果」が説明されたのです。事実(データ)から理論が作られるという常識的な科学観は、少なくとも相対性理論のケース(哲学→理論→データ)では通用しません。

「懐疑主義」哲学からも触発された相対性理論

相対性理論は、人類の自然観を根底から覆しました。相対性理論によって、空間と時間は絶対的なものではなく、それを観測する人の場所と運動状態によって変わる、つまり相対的であることが示されたからです。

ニュートン力学では、宇宙には観測者がどんな状態にあっても変わらない「絶対空間」が存在し、その中に永遠に不変な「絶対時間」が流れていることが前提とされています。アインシュタインの時代には、すでにニュートン力学が大成功を収めていたので、絶対空間と絶対時間は自明の真理とされていました。当時のこのような常識をアインシュタインが超克できたのは、彼が学生時代から、伝統的な観念やドグマ(教条)を批判したライプニッツ、ヒューム、マッハらが唱えた懐疑主義的な哲学に傾倒していたからでした。

特に物理学者であったマッハは、経験(実験、観測)や感覚で確かめられないものを排除すべきであると考える実証主義哲学の先駆者でした。彼は、絶対空間と絶対時間は存在することを実証できないので、これらを排して力学を構築すべきだと主張したのです。このような懐疑主義や実証主義哲学に触発されていたため、アインシュタインは、当時広く受け入れられていた空間と時間の概念を打破して画期的な相対性理論を打ち立てることができたのです。

【まとめ】

  • アインシュタインは、汎神論的で審美的なスピノザの哲学に基づいて、物理法則(力学と電磁理論)の間に調和をもたらすために相対性理論を作り上げた。
  • アインシュタインは、懐疑主義的な哲学に触発されて、当時の物理学の常識(絶対空間と絶対時間)を否定する相対性理論を作ることができた。
  • 観測事実(データ)だけから理論が作られるという常識的な科学観は修正しなければならない。

【次回】

  • アインシュタインは量子力学の基本原理に対して、自分の世界観と合わないという理由で反対したことをお話しします。

◇

阿部正紀

阿部正紀

(あべ・まさのり)

東京工業大学名誉教授。東工大物理学科卒、東工大博士課程電子工学専攻終了(工学博士)。東工大大学院電子物理工学専攻教授を経て現職。著書に『基礎電子物性工学―量子力学の基本と応用』(コロナ社)、『電子物性概論―量子論の基礎』(培風館)、『はじめて学ぶ量子化学』(培風館)など。

【お問い合わせ】阿部正紀先生の連載コラム「科学の本質を探る」に関するご意見・ご質問は、メール([email protected])で承っております。お気軽にお問い合わせください。

【関連記事】あなたは創造論?進化論? 教会で東工大名誉教授と語るティーサロン(第6回「東工大名誉教授と語り合うティーサロン」)

■ 科学の本質を探る

① アインシュタインは“スピノザの神”の信奉者
②-④ 量子力学をめぐる世界観の対立 (その1) (その2) (その3)
⑤-⑨ インフレーション・ビッグバン宇宙論の謎 (その1) (その2) (その3) (その4) (その5)
⑩-⑬ ニュートン力学からカオス理論へ (その1) (その2) (その3) (その4)
⑭-⑯ 複雑系における秩序形成と生命現象 (その1) (その2) (その3)
⑰ コペルニクスの実像―地動説は失敗作
⑱ ケプラーの実像―神秘主義思想と近代科学の精神が共存
⑲-㉒ ガリレイの実像 (その1)(その2)(その3)(その4)
㉓-㉔ 近代科学の基本理念に到達した古代の神学者 (その1)(その2)
㉕-㉗ 中世スコラ学者による近代科学への貢献 (その1)(その2)(その3)
㉘ 中世暗黒説を生み出したフランシス・ベーコンの科学観とその崩壊
㉙ 中世暗黒説の崩壊と科学革命の提起
㉚-㉛ 常識的な科学観を覆したパラダイム論 (その1)(その2)
㉜-㉟ 脳科学の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)
㊱-㊶ 生物進化論の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)
㊷ 科学の本質と限界

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:阿部正紀アルベルト・アインシュタイン
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