オランダのペルシャ語教会は、迫害下の信者仲間たちと深くつながりながら成長している。イランやアフガニスタンでは、改宗は逮捕や処刑の危険が伴う。それでも信者たちは信仰を守り、地下教会を支え合っている。カンファレンスや交流の際には、慎重を喫した安全対策が取られ、信者同士でさえ本名を知らない。(第1回から読む)
ペルシャ語教会の目に見える成長の多くは、欧州で起きている。自由に信仰を表明できる環境の中で、改宗者たちは、もはや隠れる必要がないのだ。セブン・ミニストリーズの働きでは、礼拝に参加するために数時間かけて車を走らせる人も珍しくない。そう語るのは、コーディネーターのデルシャド・シルワニー氏だ。
アムステルダム、アルメール、ズウォレなど、オランダ各地でもファルシ語を話すコミュニティーが形成されている。そこでは、礼拝だけでなく、ユースプログラム、聖書研究会、弟子訓練コース、さらにはペルシャ料理や音楽を通じた文化イベントも行われている。これらは亡命者にとって、祖国の文化的アイデンティティーを保ちながら、新しい信仰共同体に根付くための大切な架け橋となっている。
モーセン・シェカリプール牧師は、かつてイランで地下教会を導き、神から「国を出て私の教会を広めよ」との召しを受けた人物である。オランダに到着すると、彼は難民センターでの伝道を開始した。最初は強い反発や敵意を向けられることもあったが、やがて福音に心を開き、キリストに立ち返る人が現れた。「かつて怒りをあらわにしていた人が、今では信仰の仲間になっています」と彼は振り返る。
こうして生まれた教会は、単なる礼拝の場ではない。そこは、新しい国で生きるための支え合いの場であり、文化と信仰が溶け合う場所なのだ。そしてその影響は、オランダ国内だけでなく、中東や他の欧州諸国へも広がっているのである。(続く)
■ オランダの宗教人口
プロテスタント 18・3%
カトリック 25・7%
ユダヤ教 0・2%
イスラム 5・5%
無神論 46・9%
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