中国の大型政府非公認教会の一つである「錫安(シオン)教会」の指導者ら18人が18日までに、「情報ネットワークの違法使用」の容疑で逮捕された。創立者の金明日(ジン・ミンリ)主任牧師も含まれており、最終的に起訴され、最長で3年の拘禁刑が下される可能性がある。
中国当局は10月上旬、錫安教会の牧師や長老らを狙った一斉取り締まりを行い、少なくとも7つの都市で約30人を拘束した。金牧師の娘が、ロイター通信(英語)に語ったところによると、このうち5人は10月に釈放され、4人は11月10日に保釈金を支払った上で釈放されていた。
中国では、逮捕前に最長で37日間身柄を拘束することが認められており、正式に逮捕が決まれば、起訴までさらに身柄を拘束されることになる。
金牧師が2007年に北京で創立した錫安教会は、政府公認のプロテスタント教会である三自愛国教会には所属しておらず、「家の教会」や「地下教会」と呼ばれる政府非公認教会。一時は毎週の礼拝出席者が1500人を超え、北京最大の政府非公認教会の一つとなっていた。
しかし、18年に中国当局による取り締まりで閉鎖に追い込まれ、金牧師は監視下に置かれて出国を禁止されるなどし、活動の主な場をオンラインに移行せざるを得なくなった。だが、コロナ禍もあり、オンライン化が逆に強みとなって中国各地にネットワークが広がり、40都市に約100の枝教会が誕生するまで成長していた。
18年には、成都を拠点としていた別の大型政府非公認教会の秋雨聖約教会も同じく一斉取り締まりに遭い、牧師や教会員ら約100人が拘束され、閉鎖に追い込まれた。ロイター通信によると、錫安教会に対する今回の取り締まりは、キリスト教会に対する弾圧としては、18年以降で最大規模のものとみられる。
在米対中キリスト教迫害監視団体「チャイナエイド」は19日、声明(英語)を発表。ボブ・フー会長は、「(18人の逮捕は)中国共産党による中国のキリスト教に対する全面戦争において衝撃的な出来事」だとし、「彼らのいわゆる罪状は、イエス・キリストの福音を説き、神の群れを牧会し、キリストの教会を共産党のプロパガンダの道具にすることを拒否したという点のみです」と語った。
また、逮捕は18人やその家族に対する迫害であるだけでなく、中国全土の政府非公認教会に対し、「党の支配に屈するか、それとも粉砕されるか」を迫る見せしめでもあると指摘。18人全員の無条件の即時釈放などを求めた。
在英キリスト教迫害監視団体「世界キリスト教連帯」(CSW)のスコット・バウアー最高責任者(CEO)も20日、コメント(英語)を発表。18人は宗教的信条を平和的に実践しただけで逮捕されたとし、無条件で即時釈放するとともに、中国政府への登録を拒む教会や宗教団体への嫌がらせを停止するよう求めた。

















