世界教会協議会(WCC)の常議員会は20日から25日にかけ、中国東部の杭州を訪問し、中国政府が公認する教会の指導者らと会合を行った。25日には中国側に謝意を表明する文書を発表したが、非公認教会に対する弾圧については言及することなく、中国政府が信教の自由に対し「明確で公式なコミットメント」を示したとして歓迎の意を示した。
WCCが発表した文書「巡礼の出会いのメッセージ――中国におけるキリスト、文化、文脈」(英語)によると、会合は、中国基督教協会(CCC)と中国基督教三自愛国運動委員会(TSPM)の招待で行われた。両団体はいずれも、中国政府が公認するプロテスタント教会組織。CCCは、WCCの加盟組織でもある。WCCの常議員会が中国で会合を行うのは、2016年以来9年ぶり2回目。
WCCは文書で、今回の会合が両団体の新しい指導者らとの関係構築に役立ったとし、次のように述べた。
「私たちは、これまで見聞きしてきた限りにおいて、中国の宗教的情勢と現状は、中国国外で一般的に理解されているよりも、はるかに広範かつ多様であることを認識しています。私たちは、中国における信教の自由に対する中国政府の明確で公式なコミットメントを拝聴し、これを歓迎するとともに、このコミットメントの現状とさらなる実現について、より深く知る機会を楽しみにしています」
WCCの文書とは裏腹に、中国政府の統制下に置かれることを拒否する教会には、信教の自由が及ばないケースが多いことを、複数の迫害監視団体が報告している。
国際迫害監視団体「オープンドアーズ」によると、中国政府は近年、非公認教会に対する取り締まりを強化している。昨年9月には、約2カ月で70人以上のキリスト教徒が拘束され、中には礼拝中に拘束された者もいると報告している(関連記事:中国東部で教会活動に対する大規模取り締まり、キリスト教徒70人以上拘束)。
WCCは文書で、こうした懸念には一切触れず、中国の国際社会における役割や再生可能エネルギー分野への投資などを称賛し、次のように述べている。
「紛争の増加、地政学的緊張の高まり、分断の拡大、加速する気候変動危機、そしてこれらの課題に対処するために必要な多国間協力へのコミットメントの弱体化など、増大する地球規模の課題に直面する時期に、中国で会合を開き、私たちは国際社会における中国のますます重要な役割を認識しています」
「私たちは今回の訪問で、再生可能エネルギーへの移行を推進する中国のリーダーシップの進化に、特に感銘を受けました。この投資の規模とその影響は驚異的です」
別の発表(英語)によると、20日には中国共産党中央統一戦線工作部副部長で国家宗教事務局長の段毅君(ダン・イークン)氏とも会談。会談には、WCCのハインリヒ・ベドフォードストローム中央委員会議長、マーリン・ハイドライリー中央委員会副議長、ジェリー・ピレイ総幹事らが出席した。

















