世界福音同盟(WEA)の第14回総会が27日、韓国・ソウルで始まり、米サドルバック教会創設者のリック・ウォレン牧師が、初日夜の集会で講演した。ソウルのメガチャーチ「サラン教会」を会場に、31日まで開催される総会は、「2033年までに全ての人に福音を」がテーマ。ウォレン氏は、イエス・キリストが復活してから2千年となる2033年を見据えた世界宣教の加速を訴えた。
ウォレン氏はまず、若い頃に韓国で路傍伝道をした経験を分かち合った。百貨店の香水売り場前で、若い韓国人の女性に声をかけ、英語と韓国語の対訳になった「4つの法則」のトラクトを用いて伝道したという。ウォレン氏が英語で、女性が韓国語でそれぞれ交互にトラクトを読み、2人は最後の祈りの箇所まで行った。ウォレン氏が英語で祈り、しばらく待っていると、女性は涙を流していたという。
「伝わったのです。若い韓国人の女性を一人、韓国語を一言も知らないのに、イエス様に導くことができました。私を通してイエス様の愛を感じることができたのです。これが私の伝道の定義です。私と相手の間に愛の橋を架けることです」
2033年は、イエス・キリストが十字架で死に、復活し、ペンテコステに聖霊が下り、教会が誕生してから2千年となる。ウォレン氏は、「2033年は教会の2千年の誕生日」だとし、「2千年の誕生日に神様に何をプレゼントできるでしょうか。神様が持っていないものがあります。イエス・キリストが最も欲しいものは、失われた子らが戻ってくることです」と話した。
「神様はどれほどこの世界を愛されているのでしょうか。イエス様はその手を開き、釘で打たれ、『これほど私はこの世を愛している』と言われたのです。その血の一滴一滴が、『あなたを愛している』と言っています。聖書は、神は愛だと言います。あなたは神の形に造られたのです。神のために造られました。これを理解するとき、私たちは人生を理解し始めることになります。私たちは愛するために生まれました」
その上で、福音を伝える唯一の動機は「神様が人々を愛している」からだと強調。「目的なく創造された人はいません。だからWEAは、このテーマを選んだのです。全ての人に福音を。2033年までに」。ウォレン氏はそう言い、福音を伝える「モデル」について語った。
宣教のため世界165カ国を巡ってきたウォレン氏は、「聖書的であればどの文化でもうまくいく」ことを知るようになったという。そして、聖書が示すモデルとして、「イエスのモデル」「初代教会のモデル」「パウロのモデル」の3つを挙げ、初日夜の集会では「完璧なモデル」だとして、「イエスのモデル」について語った。
「この場の多くの人たちは牧師です。私は牧師の皆さんを愛しています。教会の大きさと強さは関係がありません。小さくて強いこともあります。小さく弱いこともあるでしょう。大きく強くあることもあります。大きく健康であることもあります。しかし、世界には大きくても健康でない教会もあります。大きくても福音を知らない人に、福音を共有しようとしない教会もあります」
ウォレン氏は、福音を伝えない不健康な教会があることを示唆しつつ、福音をどのように伝えるかが重要だとし、「これ(福音の伝え方の問題)が大宣教命令を2千年間達成できなかった理由です」と断言。「私たちは福音をもう知っています。しかし、問題はイエスが教えた通りに教えていないことです」と述べ、イエスの生涯から、福音をどのように伝えるべきかについて学ぶ必要があると話した。
「イエス様の方法は、砂漠でも、ジャングルでも、大都市でも通用します。これは、イエス様が12歳の時から既にしていた方法です」
ウォレン氏はそう言い、ヨセフとマリアが、エルサレムで見失った少年イエスを探しに神殿に行ったとき、イエスがどのように答えたのかに注目した。
「イエス様はその時点で既に人生の目的を知っておられます。既に神様の召しも知っています。『私は父の働きを行っているのです』と。イエス様は目的をよく知っていました。イエス様は父の働きに集中しておられるのです」
イエスの自己理解は、その生涯を通じて語られた「私をお遣わしになった方の御心を行う」(ヨハネ6:38他)ことであったことを伝えた。
ウォレン氏はまた、イエスが最後の晩餐で弟子たちの足を洗い、従うべき模範として示したとき、それは、足を洗う行為だけでなく、イエスが3年半の期間、弟子たちにしてきた全てのことを指していると指摘。「(イエスの生涯)その全てがモデルだったのです」と話した。
その上で、イエスが行った主要な働きとして、①福音宣教、②弟子訓練、③苦しむ人々への癒やしと奉仕、④継続的な祈り、⑤教会の設立――の5つを挙げた。そして、単なる方法論に終わってしまうのではなく、イエスの生涯そのものをモデルとすることが、それぞれの地域・文化に適応可能な実践指針になると述べた。
スーツを着て、教会の説教壇に立ち、聖書を持って福音を伝えることが、ウォレン氏が言う「伝える」ではない。ウォレン氏は、初期の教会は全て会堂を持たない家の教会であり、現代のように印刷された聖書が登場したのも、ヨハネス・グーテンベルクが15世紀に活版印刷を開発してからであることを指摘した。
「説教壇に立っていないから、福音を伝える者ではないとは言えません。(イエス様は)弟子をつくりました。イエス様の奉仕の3分の2は癒やしでした。イエス様は祈りの奉仕もしていました。奉仕が大きくなるほど、もっと祈られました。そして教会を建て上げました。これを反復的にしていたのです」
「救い主は、救い主であっただけでなく、教育者でもあり、癒やし主でもあったのです。イエス様がどのように人を得たのかを見る必要があります。私は南カリフォルニアで、お金も、人もなしに、(サドルバック教会の)働きを始めました。妻だけが信徒でした。最初の説教は『長い』と言われました。今でも『長い』と言われます。しかし、34年間で5万4千人に洗礼を授ける特権を与えられました。私は欠けの多い人間です。しかし、イエス様を心から愛しています。そして、イエス様がやったように人を得ようとしました。単に何を言うかだけでなく、どう言うかをイエス様から学ぼうとしてきました」
「(2023年までの)8年間、イエス様のモデル、唯一で完璧な奉仕のモデルを学びさえすれば、爆発的な成長を見ることになるでしょう」
ウォレン氏は最後に、パウロの告白「神の恵みの福音を力強く証しするという主イエスからいただいた任務を果たすためには、この命すら決して惜しいとは思いません」(使徒20:24)を引用し、目的と動機がイエスのモデルと一致しているかを各自に問いかけた。
「今まで言ったことを全部忘れてもいいです。これだけ覚えて帰ってください。神様の祝福を願うなら、神様の力が人生に現れてほしいなら、神様の油注ぎを望むなら、イエス様が最も心を使ったことに、あなたも心を使ってください。それは、失われた子を取り戻すことです。子どもたちと山にキャンプをしに行って、子どもが全員迷子になったとしましょう。探しませんか。探して、一番出来の良い子が見つかったら、もう探すのはやめましょうと言いますか。言わないでしょう。最後の子が見つかるまで探し続けるのではないですか。一緒に大宣教命令のために協力しましょう。自分の差し出せる最高のものをささげましょう」
















