アラビア半島の東部に位置するアラブ首長国連邦(UAE)は、目覚ましい経済発展を遂げた7つの首長国からなる連邦国家だ。超近代的なビル群が立ち並ぶドバイやアブダビは、国民の約9割を外国人が占めるという極めてユニークな人口構成を持つ。
UAEは周辺諸国と比較すれば宗教に寛容な姿勢を見せている。政府は「寛容の年」を宣言し、他宗教の礼拝施設の建設を許可している。アブダビにイスラム教、キリスト教、ユダヤ教の施設が並ぶ「アブラハム・ファミリー・ハウス」が建設されたことはその象徴だ。しかし、この寛容には明確な境界線がある。自国民(エミラティ)への伝道は厳しく禁じられており、イスラム教からの改宗は法的・社会的に極めて重い代償を伴う。
この国の宣教を象徴するのは、世界中から集まった「外国人労働者」たちの教会の爆発的な成長だ。フィリピン、インド、アフリカ、欧米から来た何十万人ものキリスト教徒がこの地で主を礼拝している。金曜日の休日には、政府提供の教会複合施設に多様な言語の賛美が響き渡り、現代の「ペンテコステ」を彷彿とさせる光景が広がる。
華やかな発展の影には、過酷な労働環境に置かれた出稼ぎ労働者の苦悩がある。労働者キャンプで奉仕する宣教師は語る。「家族を養うため、孤独と重労働に耐える彼らにとって、教会は唯一、人間として尊厳を回復できる『避難所』なのです。絶望の淵でイエス・キリストの愛に触れる彼らの信仰は、湾岸諸国の高層ビル群よりも高く主に向かっています」
こうした外国人クリスチャンの誠実な歩みは、固く閉ざされた先住のアラブ人たちの心にも静かに届き始めている。法的な制限下でも、生活を通じた証しや癒やしの祈りにより、主に関心を持つ自国民が密かに報告されている。また、デジタル時代の中、SNSなどを通じて真理を求める「孤立した信者」も増えているというのだ。
現在の大きな課題は、移り変わりの激しいコミュニティーにおける弟子訓練だ。契約を終えて帰国する労働者たちは、単なる流動人口ではない。彼らが母国(未伝地が多い)へ信仰の炎を持ち帰る「逆宣教」のハブとしての役割をUAEは担っている。
国際的に人々の交流が交差するこの地の指導者に神の知恵が与えられ、信仰の自由が進展するように祈ろう。過酷な状況にある外国人労働者に主の慰めがあり、彼らを支える教会に力が与えられるように。そして、この国を訪れる人々が、目に見える富よりも、決して二度と渇くことのない「永遠のいのちの水」を得ることができるように祈っていただきたい。
■ アラブ首長国連邦の宗教人口
イスラム 67・7%
ヒンズー 15・5%
カトリック 4・8%
プロテスタント 0・7%
聖公会 2・2%
仏教 3・7%
バハイ 0・6%
無宗教 1・6%
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