英国と米国で、聖書の販売部数が過去数十年で最高を記録した。両国とも、この6年で倍増する勢いで、顕著な増加傾向が続いている。
英国最古の宗教出版社の一つであるキリスト教知識普及協会(SPCK)の調査によると、英国における聖書の販売部数は、19年から25年の間に106%増加した。特に24年から25年にかけての増加率が27・7%と高く、米クロスウェイ社発行の英語標準訳聖書(ESV)が最も多く購入されたという。SPCKが調査を開始した08年に比べると、134%も増加したことになる。
聖書の売上高も、19年の269万ポンド(約5億7300万円)から、25年は630万ポンド(約13億4200万円)にまで増加し、この6年で361万ポンド(約7億6900万円)もの伸びを示した。これは、08年から19年までの伸びが27万7千ポンド(約5900万円)だったことに比べ、非常に対照的だ。
SPCKはこの結果について、あらゆる年齢層において聖書に対する関心が著しく高まっていることを反映したものだと分析している。この傾向は、英国の若年層の間で、宗教的・霊的な問いに対する関心が高まっている状況とも一致する。
SPCKのサム・リチャードソン最高責任者(CEO)は、英プレミア・クリスチャン・ニュース(英語)に対し次のように語った。
「聖書の売り上げの顕著かつ持続的な増加傾向は、ますます多くの人が自らキリスト教信仰を探究し、その真実性について独自の結論を導き出そうとしていることを示唆しています」
その上でリチャードソン氏は、25年はSPCKが「静かなリバイバル」と呼ばれる兆候を初めて確認した年だと述べた。
英大手世論調査会社「ユーガブ」が昨年実施した調査では、英国居住者のうち、18歳から25歳までの若者の49%が「より高次の力」を信じていることが明らかになった。リチャードソン氏は、この数字が文化的な変容を示していると指摘する。
「新型コロナウイルスのパンデミックの余波、世界的な戦争、人工知能(AI)の台頭、そして深刻化するメンタルヘルス危機など、世界的な政治的・社会的変化に直面する中で、人々は人生の意味や霊的な事柄に関する問いに再び向き合っているのです」
一方、米国の書籍統計を扱っている「ブックスキャン」によると、米国でも聖書の販売部数は25年に、この20年余りで過去最高を記録した。ブックスキャンを運営する米サーカナ社の米国担当ディレクター兼アナリストであるブレナ・コナー氏は、米パブリッシャーズ・ウィークリー誌(英語)に対し次のように述べている。
「25年は、米国における聖書の販売部数が21年でぶりの高水準を記録した年です」
さらにコナー氏は、米国では25年に1900万部の聖書が販売されたとし、これは24年に比べ12%の増加で、19年と比較すると2倍になると説明した。
25年に米国で最も売れた成人向け聖書は、キリスト教標準訳聖書(CBS)の新約聖書である「ザ・インビテーション」(英語)だった。コナー氏は次のように述べている。
「米国における宗教コンテンツへの関心の高まりは、希望と共同体へのより大きな探求を反映しています。これは、不確実な時代において、消費者が安定した基盤や慰めの源として、信仰に基づくリソースにますます依拠するようになっていることを示しているのです」
SPCKは、学生や若年層における宗教書への関心の高まりが、聖書の売り上げ増加の要因の一つだと指摘している。大学のキャンパスや教会のグループからの報告によれば、特に新規の読者層において、デジタル版よりも印刷版の聖書に対する需要が高まっている。
米国では24年、聖書の販売部数の伸びが印刷書籍市場全体の伸びを大きく上回った。ブックスキャンによると、同年1月から10月にかけての印刷書籍全体の販売部数の伸びは1%未満にとどまったが、聖書は同期間に22%も増加した。この期間だけで1370万部に達し、23年の通年の販売部数である1420万部をわずかに下回る水準にまで迫った。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(英語)は当時、出版社がこの急増の要因を、不安の高まりや霊的な事柄に対する関心の再燃、ターゲットを絞ったマーケティング活動の成果に起因すると分析していることを伝えていた。
福音主義キリスト教出版社協会(ECPA)のジェフ・クロスビー会長は当時、同紙に対し次のように述べていた。
「人々は自ら不安を抱えているか、あるいは子どもや孫の将来を心配しています。AIや選挙サイクルなどさまざまな要因が、われわれは大丈夫だという確信を求める欲求を助長しているのです」

















