英国国教会のロンドン主教サラ・ムラリー(63)が1月28日、ロンドンのセントポール大聖堂で行われた選出確認式で、第106代カンタベリー大主教として正式に就任した。
カンタベリー大主教は、英国国教会の首座主教であると同時に、世界160カ国・地域以上の聖公会で構成されるアングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)のトップでもある。カトリックの時代を含め、カンタベリー大主教に女性が就任するのは1400年余りの歴史で初めて。3月25日にカンタベリー大聖堂で着座式が行われ、その後、公的職務を正式に開始することになる。
ムラリー主教は選出確認式の中で、キリストと首座主教の権威の象徴である「首座主教の十字架」を手に取り、最後には祝祷をささげた。
選出確認式では、英国の近代音楽を代表する作曲家であるエドワード・エルガーの楽曲や、南アフリカの聖歌など、多様な音楽が組み合わされた。また、ムラリー主教が司牧していたロンドン教区とモザンビーク・アンゴラ聖公会とのつながりを踏まえ、聖書朗読は英語に加え、両国の公用語であるポルトガル語でも行われた。
ムラリー主教は、就任を受け次のように述べた。
「第106代カンタベリー大主教という職に召されたことは、並外れた、身の引き締まるような光栄です。この国においても、また世界中においても、聖公会の諸教会は地域社会に癒やしと希望をもたらしています。神の助けを得て、私は穏やかさ、一貫性、そして慈愛をもって、キリストの群れを導くよう努めます」
「今日、世界は分断され、不確実で、バラバラになっています。私は、私たちが共にパンを分かち合い、共通点を見いだせるような場を提供できるよう祈っています。そして、この『もてなしの働き』に私自身をささげることを誓います」
ムラリー主教は、教会が、社会で苦しみや疎外を味わってきた人々の声が届く場所になることを願っているとし、特に教会内で被害を受けた虐待被害者らについて具体的に言及した。
「正義、公平、平和、そして被造物の保護を求める神の招きに応えるべく、教会が全ての人、特に弱さを抱える人々をケアする、優しく安全な場所となるよう整えていくことに尽力します」
ムラリー主教は昨年10月、カンタベリー大主教座が1年近くにわたり空位となっていた状況で任命された。前任のジャスティン・ウェルビー大主教は昨年1月、英国国教会に関係のあった弁護士のジョン・スミス氏(2018年死去)による児童虐待事件への対応を巡って責任を取り、辞任していた(関連記事:カンタベリー大主教が正式に辞任 英国国教会、全世界聖公会のトップ)。
一方、ムラリー主教は就任前から厳しい批判にさらされてきた。安楽死の問題については伝統的なキリスト教的見解を支持しているものの、性に関する問題へのリベラルなアプローチに対しては、伝統主義者らが懸念を表明しており、女性が主教職に就くこと自体に反対する者も多い。
聖公会の保守派グループ「世界聖公会未来会議」(GAFCON=ガフコン)にいたっては、ムラリー主教をカンタベリー大主教として認めないとし、自らこそが「真の聖公会共同体」だとして、アングリカン・コミュニオンとは別の組織を立ち上げている(関連記事:聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に)。
最近は、ロンドン主教時代のセーフガーディング(児童や社会的弱者の安全確保)に関する対応を巡っても、厳しい目が向けられている。
選出確認式に合わせて行われた英公共放送BBC(英語)とのインタビューで、ムラリー主教は自身の行動が精査されるのは当然であると語った。
「私たちは皆、自分たちの行いに光が当てられることに対してオープンであるべきです。私自身やこれまでの私の行動に対して、より厳しい目が向けられていることは正当なことであると認識しています。改めてセーフガーディングへの献身を表明するとともに、独立性を確保することも約束します」

















