Skip to main content
2026年1月22日22時45分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍

【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』

2025年12月8日18時33分 執筆者 : 臼田宣弘
  • ツイート
印刷
関連タグ:ユダヤ教福音主義(福音派)
【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』+
鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』(中央公論新社 / 中公新書、2025年1月)

「ユダヤ人の歴史」という書名の著作は、いくつも存在します。私の書架にも2冊あり、F・ヨセフスの『ユダヤ人の歴史』は、イエスの時代を聖書外で読める希少な書であり、イラン・ハレヴィの『ユダヤ人の歴史』は、古代イスラエルの起源から現代に至るまで、ユダヤ世界の全体像を立体的に描き出している良書です。

しかし、これらは全て海外の著者の手によるものです。その中で、鶴見太郎氏(東京大学大学院総合文化研究科准教授)による本書『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』は、日本人によって著された最初の「ユダヤ人の歴史」です。

本書は、古代から紀元70年のエルサレム神殿崩壊まで存続したユダヤ教国家を、聖書学に基づき忠実に描きつつ、その後の離散の歴史を詳細にひもといています。

著者は第2章の冒頭において、古代末期・中世の離散したユダヤ人社会を執筆するのに先立ち、イソギンチャクとクマノミという魚の関係を紹介しています。クマノミは、イソギンチャクの排出する毒に対し耐性があるので、その中に入り込めば外敵から身を守ることができます。一方、イソギンチャクの側も、クマノミに新鮮な海水を送ってもらうことで、新陳代謝を高めることができます。結果的に、相互に助け合うことができているのです。著者はこの関係を、離散したユダヤ人(クマノミ)と、離散先の各地域(イソギンチャク)として描き、本書を進めていきます。

古代末期・中世の地中海地方におけるユダヤ人は、地中海周辺の都市に広く散在し、「ディアスポラ」と呼ばれる散住の歴史的状況を形成していきます。一方、アラブ人の間では、7世紀にイスラム教が興り、ユダヤ人はイスラム教とも折り合いをつけていかねばならなくなります。

10世紀には、ユダヤ人はイベリア半島に多く住むようになり、ここではキリスト教徒、イスラム教徒と共存することになります。一方で、ドイツを中心とするキリスト教世界では、アウグスティヌスによる神学が浸透し、彼の「終末に際して、ユダヤ人はついにイエスを認める」という考え方が、ユダヤ人たちに影響を与えていきます。

著者はここで、時代を先取りして以下のように書いています。

このユダヤ人に対する微妙な立場がキリスト教世界のなかでどのように展開していくかは、宗派や時代、状況によって多様だ。一面ではユダヤ人を擁護する方向に発展することもあった。とりわけ20世紀半ば以降のアメリカで拡大した福音派(エヴァンジェリカル)の場合がそうだ。新約聖書の「ローマ信徒への手紙」11章を根拠とするその教義では、この終末の前段として、「イスラエルの再興」が見られる。すなわち、ユダヤ人がパレスチナに結集し国を建てることが、「神の国」の実現のための前提になるというのだ。

これが、「キリスト教シオニズム」と呼ばれる思想の核心であり、福音派が政治的に一定の影響力を持つ現代アメリカが親イスラエル的な政策に傾く要因の一つとなっている。それは、いわゆるイスラエル・ロビーの影響力よりも大きいといわれる。(97~98ページ)

本書はここにおいて、先に書評を書かせていただいた加藤喜之氏(立教大学文学部キリスト教学科教授)による『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』につながっていくのです。

本書が優れているのは、単に歴史的叙述を積み重ねるのではなく、「ユダヤ人が世界の中でどのように位置付けられ、いかに他者と共存し、あるいは緊張関係に置かれてきたか」という構図を、可視化させている点にあります。古代末期・中世を扱う第2章から、早くも現代の米国の宗教・政治状況へ接続し得る射程を持っています。

それは、ユダヤ人の歴史を「ユダヤ人社会内部の歴史」として語るのではなく、常に「他者」との相互作用の中に位置付ける著者独自の視点によるものです。イソギンチャクとクマノミの比喩は、その象徴的表現であり、異なる文化・宗教・政治体がいかに共生するかという視点で、歴史を描いているのです。

【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
フランシスコ・リシ「異端審問最高会議」(1683年)。本書109ページに掲載されている。

ユダヤ人はその長い歴史の中で、中世においても迫害を受けました。15世紀になると、スペインによってユダヤ人の多くがキリスト教に改宗しました。自由な改宗ではなかったでしょう。異端審問所が開設され、改宗しない者は、罰を受けたり国外追放になったりしました。

本書はその後、第3章(近世)、第4章(近代)、第5章(現代)へと進みます。その叙述は、ユダヤ人社会がオランダ、オスマン帝国、ポーランド、ロシアへと広く拡散していく過程をたどるものでもあります。近世のユダヤ人は、地域によっては周囲の社会と比較的安定した関係を保っていました。しかし、近代の19世紀になると、イソギンチャクとクマノミの共生関係が崩れ始めたように読めます。

19世紀末にはロシア帝国や東欧で、非ユダヤ人住民がユダヤ人共同体を襲撃するポグロムが頻発しました。この暴力と不安定化を契機に、パレスチナにユダヤ人の生活拠点を築こうとするシオニズム運動が本格的に展開していきます。近代において、ユダヤ人と周囲の社会との間に、深い亀裂が生じ始めたことが鮮明に伝わってきます。

このポグロムの歴史が、欧州社会で反ユダヤ人暴力を日常化させ、ナチスのユダヤ人絶滅政策が受け入れられる社会的空気をつくっていくことになります。そして、人類史上最悪の犯罪といわれるホロコーストが実行されることになったのです。

現代について書かれた第5章は、その第1部で、ソ連におけるユダヤ人の歩みが記されています。1928年に極東のハバロフスク近郊(と言ってもシベリア鉄道で3時間弱かかりますが)のビロビジャンを中心に、ユダヤ人自治州がつくられます。このビロビジャンには、私も2007年8月に訪れたことがあります。

【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
ビロビジャン駅(写真:筆者撮影)
【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
ビロビジャンのシナゴーグ(写真:同上)
【書評】鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』
シナゴーグの礼拝室。ヘブライ語で「祈りの家」(ベイト・テフィラー)と呼ばれ、教会の礼拝室とは趣が異なる。(写真:同上)

第2部では、パレスチナにおけるイスラエル建国が扱われています。また、本書の最後部である第3部では、現代の米国におけるユダヤ人や多民族の動向が論じられています。

本書を読むと、紀元70年後のユダヤ人が、世界諸国の中でどのように生き抜いてきたかが読み取れます。島国で長い間、歴史を刻んできた日本人とは、経験が大きく異なるといえます。米国においてユダヤ人は明確なマイノリティーです。ドナルド・トランプ政権下で米国が親イスラエル政策に傾いているのは、しばしば考えられているようなイスラエル・ロビーの力よりも、むしろ福音派の終末論的世界観の影響が大きいということでしょう。

そういった意味で、前述の『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』は、本書と併せ読むことがふさわしいと思います。私は、分析の立場こそ異なるものの、「トランプ政権の親イスラエル路線を支える最大の勢力は、イスラエル・ロビーではなく、米国の福音派の終末論的信念と政治動員力である」という点で、鶴見、加藤両氏の方向性は一致していると思いました。皆さんは、どう読み取られるでしょうか。

■ 鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史―古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』(中央公論新社 / 中公新書、2025年1月)

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

関連タグ:ユダヤ教福音主義(福音派)
  • ツイート

関連記事

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 世界福音同盟と国際ユダヤ人委員会がエルサレムで歴史的会合 共通の関心事を模索

  • 英国国教会、800年前に制定された反ユダヤ的な教会法を悔い改める礼拝

  • ホロコースト救助者たちの信仰、ユダヤ人の命を救うために行動したクリスチャンたち

  • アウシュビッツ解放75周年、WCCが談話 反ユダヤ主義の増大に警鐘

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「ひふみん」で親しまれた加藤一二三氏死去、86歳 カトリックの将棋棋士

  • ドニー・マクラーキン牧師の件で日本の皆さんに伝えたいこと

  • 山上徹也被告に無期懲役の判決 安倍晋三元首相銃撃事件

  • 圧倒的な勝利者 穂森幸一

  • 無料オンライン講座「キリストの基礎知識コース」第11期受講者募集 2月14日開講

  • お薦めのボンヘッファー入門書3冊 映画を観て興味を持った人のために

  • 大きな喜びを引き寄せる御言葉の恵み 万代栄嗣

  • 同志社前総長の大谷實氏死去、91歳 犯罪被害者支援に尽力

  • 世界最悪は北朝鮮、死者が最も多いのはナイジェリア 迫害国50カ国まとめた報告書発表

  • 刑務所伝道プログラム「受刑者の旅」修了生が100万人突破 プリズン・フェローシップ

  • ドニー・マクラーキン牧師の件で日本の皆さんに伝えたいこと

  • 世界最悪は北朝鮮、死者が最も多いのはナイジェリア 迫害国50カ国まとめた報告書発表

  • 「ひふみん」で親しまれた加藤一二三氏死去、86歳 カトリックの将棋棋士

  • カトリックとプロテスタントが合同開催 キリスト教一致祈祷週間、18日から

  • 「信徒の友」「こころの友」などが休刊へ、日本キリスト教団出版局の事業整理・縮小で

  • 無料オンライン講座「キリストの基礎知識コース」第11期受講者募集 2月14日開講

  • お薦めのボンヘッファー入門書3冊 映画を観て興味を持った人のために

  • 同志社前総長の大谷實氏死去、91歳 犯罪被害者支援に尽力

  • 山上徹也被告に無期懲役の判決 安倍晋三元首相銃撃事件

  • 大きな喜びを引き寄せる御言葉の恵み 万代栄嗣

  • いのちのことば社元職員が不適切な会計処理、数千万円規模か 社長は引責辞任へ

  • いのちのことば社、元職員の不適切な会計処理巡る質問・意見への回答を公表

  • 米福音派の著名作家、フィリップ・ヤンシー氏が不倫を告白 執筆・講演活動から引退

  • 米のベネズエラ攻撃・大統領拘束に対する現地の福音派キリスト者の反応

  • ドニー・マクラーキン牧師の件で日本の皆さんに伝えたいこと

  • 「信徒の友」「こころの友」などが休刊へ、日本キリスト教団出版局の事業整理・縮小で

  • 英ポルノ女優リリー・フィリップスさんが受洗 心からの回心?売名行為? 真意巡り議論

  • 世界最悪は北朝鮮、死者が最も多いのはナイジェリア 迫害国50カ国まとめた報告書発表

  • 【クリスマスメッセージ】この世に来られた救い主―イエス・キリスト 渡部信

  • 日本聖書神学校、2026年度から「基礎科」新設

編集部のおすすめ

  • 上智大学キリシタン文庫が初の貴重資料展、キリシタン版や大友宗麟書状など30点を公開

  • 給食で子どもたちに笑顔と教育の機会を 最貧国マラウイを支援する「せいぼじゃぱん」

  • 日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも

  • 「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」

  • 15人の演者でマルコ福音書を再現、観客をイエスの物語に引き込む「マルコドラマ」

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • Threads
  • RSS
Copyright © 2002-2026 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.