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科学の本質を探る

【科学の本質を探る㉒】ガリレイの実像(その4)古代と中世の神学者の聖書解釈を継承した 阿部正紀

2015年12月28日08時13分 コラムニスト : 阿部正紀
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関連タグ:阿部正紀

前回は、ガリレイが古代ギリシャ思想の原理(惑星は円軌道を描く)から脱却できなかったために、誤った論拠で地動説を支持したことを説明しました。

今回は、ガリレイが、古代と中世の神学者の聖書解釈を継承して、聖書を字義的に解釈せずにその真意を探るべきであると訴え、そして退けられたことをお話しします。聖職者でないガリレイが神学に口を挟んだことに対する反感から排斥されたのです。

【今回のワンポイントメッセージ】

  • ガリレイは、聖書の字義的解釈に基づいてキリスト教思想の中に取り入れられていた天動説を打破して、カトリックの学問のレベルを引き上げようと努めた。

自然は第二の聖書

ガリレイは、パトロンであったトスカナ大公(メディチ家)の妃(きさき)に宛てた手紙の中で、聖書と科学(自然)との関係について次のように説きました。

「聖書と自然は、共に神の言葉から出たものです。聖書は聖なる神の霊が述べたものであり、自然は神の命令を忠実に実行するものです。・・・神は、聖書の尊いお言葉の中だけではなく、いや、それ以上に、自然の諸現象の中に優れてそのお姿を現されます」

自然界に神の支配を認め、聖書と自然を類比させる思想を、ガリレイはスコラ学者と呼ばれる中世の神学者から受け継いでいます。スコラ学者たちは、「自然は神の作品である、第二の聖書である」と説きました。そして神の言葉である聖書と共に、自然からも――ただしアリストテレスの書物を通して――学ぶように勧めました。

一方、「近代科学の父」ガリレイは、アリストテレスの書物からではなく、自然から直接学ぶべきことを主張したのです。

自然を理解する言葉―数学

ガリレイの時代、そして今でも欧米の教会では、大きな聖書が会衆の前に開かれて置かれています(図1)。聖書から神のご意志を学びとるべきことを示すためです。

【科学の本質を探る㉒】ガリレイの実像(その4)古代と中世の神学者の聖書解釈を継承した 阿部正紀

ガリレイは、自然科学が対象とする宇宙を書物に例えて、次のように述べています。

「哲学(注:自然科学)は、宇宙というこの壮大な書物の中に書かれている。この書物は、いつもわれわれの眼前に開かれている。けれども、まずその言葉を学び、それが書かれている文字が読めるようになるのでなければ、この書物を理解することはできない。それは、数学の言葉で書かれている。・・・これらなしには、人間はその一語たりとも理解することはできない」

当時の聖書は、ラテン語で書かれていました。ですから、聖書から真理を学ぶには、まずラテン語を学ばねばなりません。一方、自然という第二の聖書は、数学の言葉で書かれている。それゆえ、自然界の真理を解明するには、まず数学を学ばなければならない、とガリレイは説いたのです。

ガリレイが数学を重んじたのも、中世スコラ学者の伝統を継承しています。この連載コラムで後ほど説明しますが、中世の大学では、数学は重要な必須科目とされ、スコラ学者は自然科学のみならず神学の問題にも数学を適用していたのです。

ガリレイの聖書解釈―後にカトリックの正統的見解となる

ガリレイは、望遠鏡でのぞいた宇宙の姿が天動説――当時のカトリック教会の神学で聖書と結び付けられていました――と対立することについて、先ほどの大公妃に宛てた手紙で、次のように述べています。

「聖霊が聖書を記した目的は、もっぱら救い、すなわちどのようにして天に行くかを教えるためであって、どのように天体が動いているかを教えるためではありません」

つまり、聖書は科学的な真理を記述するために書かれたのではないと指摘したのです。そしてガリレイは、次のように勧めました。

「自然哲学(注:自然科学)に関する事柄が、一見、聖書と矛盾するように見える場合は、二つの真理(信仰と科学)は絶対に矛盾しないのだから、聖書の言葉の真意がどこにあるかを研究すべきです」

ガリレイは、神学者たちによって天動説を支持しているとされていた聖書の言葉、例えば、「太陽は、部屋から出て来る花婿のようだ。勇士のように、その走路を喜び走る」(詩篇19:5)などについて、文字通りに解釈すべきでない、なぜなら聖書は、それが書かれた当時の人々が理解できるように彼らの目に映るままに表現されているからだ、と説きました。

このようにガリレイは、聖書の字義的解釈に基づいてキリスト教思想の中に取り入れられていた天動説およびその背後にあったアリストテレス主義(第19回)の自然像を打破しようとしました。そして、自然科学の自由な研究の道を確保して、カトリックの学問レベルを引き上げようと努めたのです。

ガリレイは、このような聖書解釈が中世のスコラ学者および古代の最大の神学者アウグスティヌスなどによってなされていることを指摘して、自説を権威付けしました。

ガリレイが唱えたこのような聖書解釈の原則は、今日ではカトリック教会の正統的見解とされています。しかし、ガリレイは、聖職者でも神学者でもありませんでした。その彼が聖書解釈を変えようとしたことは、無資格者が神学に口を出す越権行為として、聖職者の反感を買いました。これが、ガリレイを排斥する騒動を引き起こしたもう一つの要因となったのです。

【まとめ】

  • ガリレイは、聖書を字義的に解釈しないでその真意を探るべきことを、古代および中世の神学者の聖書解釈を継承して訴えた。
  • このように聖書解釈を変えることによって、ガリレイは、当時の神学に取り入れられていた天動説とその背後にあったアリストテレス主義の自然像を打破して、カトリックの学問を引き上げようとした。
  • 神学に関わることを、聖職者でないガリレイが唱えたことが聖職者の反発を買い、ガリレイ排斥騒動のもう一つの要因になった。

【次回】

  • 古代の神学者(教父)が、ギリシャ哲学を受け入れ、キリスト教に同化していった過程で、近代科学の基本的な理念を先取りしていたことを説明します。

◇

阿部正紀

阿部正紀

(あべ・まさのり)

東京工業大学名誉教授。東工大物理学科卒、東工大博士課程電子工学専攻終了(工学博士)。東工大大学院電子物理工学専攻教授を経て現職。著書に『基礎電子物性工学―量子力学の基本と応用』(コロナ社)、『電子物性概論―量子論の基礎』(培風館)、『はじめて学ぶ量子化学』(培風館)など。

【お問い合わせ】阿部正紀先生の連載コラム「科学の本質を探る」に関するご意見・ご質問は、メール([email protected])で承っております。お気軽にお問い合わせください。

【関連記事】あなたは創造論?進化論? 教会で東工大名誉教授と語るティーサロン(第6回「東工大名誉教授と語り合うティーサロン」)

■ 科学の本質を探る

① アインシュタインは“スピノザの神”の信奉者
②-④ 量子力学をめぐる世界観の対立 (その1) (その2) (その3)
⑤-⑨ インフレーション・ビッグバン宇宙論の謎 (その1) (その2) (その3) (その4) (その5)
⑩-⑬ ニュートン力学からカオス理論へ (その1) (その2) (その3) (その4)
⑭-⑯ 複雑系における秩序形成と生命現象 (その1) (その2) (その3)
⑰ コペルニクスの実像―地動説は失敗作
⑱ ケプラーの実像―神秘主義思想と近代科学の精神が共存
⑲-㉒ ガリレイの実像 (その1)(その2)(その3)(その4)
㉓-㉔ 近代科学の基本理念に到達した古代の神学者 (その1)(その2)
㉕-㉗ 中世スコラ学者による近代科学への貢献 (その1)(その2)(その3)
㉘ 中世暗黒説を生み出したフランシス・ベーコンの科学観とその崩壊
㉙ 中世暗黒説の崩壊と科学革命の提起
㉚-㉛ 常識的な科学観を覆したパラダイム論 (その1)(その2)
㉜-㉟ 脳科学の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)
㊱-㊶ 生物進化論の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)
㊷ 科学の本質と限界

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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