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科学の本質を探る

【科学の本質を探る⑦】インフレーション・ビッグバン宇宙論の謎(その3)行き詰まったインフレーション理論 阿部正紀

2015年9月14日17時55分 コラムニスト : 阿部正紀
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関連タグ:阿部正紀ビッグバン理論

ビッグバンモデルの出発点である“火の玉宇宙”の起源を説明するのがインフレーション理論です。さらにインフレーションモデルの最初に“ミニ宇宙”が“無”から誕生したプロセスを説明する理論が作られました。しかし、この「“無”からの宇宙誕生説」は仮説の域を出ないことを前回(第6回)説明しました。今回は、宇宙物理学の標準理論として受け入れられているインフレーション理論が深刻な未解決問題を抱え、行き詰まっていることを明らかにします。

【今回のワンポイントメッセージ】

  • 現在インフレーション理論は、観測からも理論的にも行き詰まっている。

暗黒物質、暗黒エネルギー――インフレーション理論が抱える謎

インフレーションモデルによって、従来のビッグバンモデルでは答えられなかった3つの難問に答えることができました。

また、21世紀の初頭にインフレーション理論に基づいて、宇宙背景放射のわずか10万分の1程度の揺らぎが見事に説明されました。さらに、このわずかな揺らぎを種とし、そこに原子が凝集して、星や銀河、さらに銀河団などに成長したとする宇宙進化のシナリオが作られています。

インフレーション・ビッグバン宇宙論の謎(その3)行き詰まったインフレーション理論 阿部正紀

このため、インフレーションモデルは宇宙論の標準的モデルとして受け入れられ、宇宙進化を解き明かした画期的な理論として脚光を浴びました。

ところがその背後には、大きな謎が秘められています。上記の揺らぎを説明するために、現在の宇宙を構成している物質のうち、光学望遠鏡または電波望遠鏡で観測できる普通の物質はわずか4%しかなく、96%は正体不明とされています。

その内訳は、22%が「暗黒物質」と呼ばれる正体が不明の物質で、74%が「暗黒エネルギー」と命名された得体の知れない物質です(エネルギーは相対性理論によって物質と等価とされています)。宇宙の物質の96%は「暗黒」すなわち光らない、見えない、正体不明という謎に包まれているのです。

宇宙物理学の第一人者たちが、次のように述べています。

「暗黒物質と暗黒エネルギーは直接検出されるまではあくまでも『仮定』と言わざるを得ない。・・・どこかで重大な勘違いをしているために、実在しない暗黒物質と暗黒エネルギーで現象を説明しているだけではないのだろうか?」(須藤靖『ものの大きさ―自然の階層・宇宙の階層』東大出版会(2006年)159頁)

「ダークエネルギーの起源も正体も現時点ではまったくわかっていない。ただ、観測を再現するために必要とされているものだ」(池内了『宇宙論のすべて』新書館(2007年)244頁)

このような仮想的な存在を導入しなければならないという未解決問題を、インフレーション理論は抱えているのです。

理論的に行き詰まったインフレーション理論

インフレーション理論は1980年代の初めに、素粒子物理学の標準理論である「大統一理論」に相対性理論の重力方程式を結び付けて作られました。

ところがその後、このようなモデルではインフレーションが起こらないことが理論的に明らかにされました。そこで現在は、素粒子論の標準モデルとは切り離して、インフレーションを起こすのに都合の良いモデルが理論家の意のままに作られています。

真空のエネルギーによってインフレーションが起こされるという一点だけを残して恣意(しい)的に作られたインフレーション理論の数が、現在では百にも上ります。そこで、インフレーション理論の数がインフレーションした、といわれています。

さらに、インフレーションが起きたことを示す直接の証拠として報告されていた「宇宙が誕生した直後の『重力波』の痕跡の観測結果」が誤りであることが2015年1月に公表されました(参照:2015年2月1日付朝日新聞デジタル記事「『宇宙急膨張の痕跡観測』は誤り 国際研究チームが結論」)。

このように、現在はインフレーションのメカニズムを説明する定説がなく、支持する観測データも存在しません。それゆえ、かつてはビッグバンモデルの未解決問題を解明して脚光を浴びたインフレーション理論も、今や仮説の域を出ない状況にあります。

インフレーション理論を最初に提唱した佐藤勝彦は、次のように述べています。

「インフレーション理論は・・・宇宙初期を考えるときの標準的なパラダイムになっています。『パラダイム』とは、完全に証明されたわけではないけれども、ひとつの学問分野として研究者たちがそれを信じて、研究を進めているものと理解していただければよいと思います」(佐藤勝彦『インフレーション宇宙論―ビッグバンの前に何が起こったのか』講談社(2010年)71、72頁)

つまり、インフレーション理論は、完全に証明されないまま科学者集団によって受け入れられ、その枠の中で日常的な研究が行われているのです(パラダイムについては、後ほどこの連載コラムで取り上げます)。

【まとめ】

  • インフレーション理論には、支持する観測データが存在せず、正体不明の暗黒物質と暗黒エネルギーの存在を仮定しなければならないという未解決問題が存在する。
  • インフレーション理論は素粒子論と折り合いがつかないので、恣意的にさまざまな理論が作られている。つまりインフレーションのメカニズムを説明する定説が存在しない。
  • 観測からも、理論からも行き詰まっているインフレーション理論が宇宙論の標準理論として受け入れられ、その枠の中で研究が進められている。

【次回】

  • 暗黒エネルギーの謎から、さらに深刻な「偶然一致性問題」と呼ばれる未解決問題が生じていることを説明します。

◇

阿部正紀

阿部正紀

(あべ・まさのり)

東京工業大学名誉教授。東工大物理学科卒、東工大博士課程電子工学専攻終了(工学博士)。東工大大学院電子物理工学専攻教授を経て現職。著書に『基礎電子物性工学―量子力学の基本と応用』(コロナ社)、『電子物性概論―量子論の基礎』(培風館)、『はじめて学ぶ量子化学』(培風館)など。

【お問い合わせ】阿部正紀先生の連載コラム「科学の本質を探る」に関するご意見・ご質問は、メール([email protected])で承っております。お気軽にお問い合わせください。

【関連記事】あなたは創造論?進化論? 教会で東工大名誉教授と語るティーサロン(第6回「東工大名誉教授と語り合うティーサロン」)

■ 科学の本質を探る

① アインシュタインは“スピノザの神”の信奉者
②-④ 量子力学をめぐる世界観の対立 (その1) (その2) (その3)
⑤-⑨ インフレーション・ビッグバン宇宙論の謎 (その1) (その2) (その3) (その4) (その5)
⑩-⑬ ニュートン力学からカオス理論へ (その1) (その2) (その3) (その4)
⑭-⑯ 複雑系における秩序形成と生命現象 (その1) (その2) (その3)
⑰ コペルニクスの実像―地動説は失敗作
⑱ ケプラーの実像―神秘主義思想と近代科学の精神が共存
⑲-㉒ ガリレイの実像 (その1)(その2)(その3)(その4)
㉓-㉔ 近代科学の基本理念に到達した古代の神学者 (その1)(その2)
㉕-㉗ 中世スコラ学者による近代科学への貢献 (その1)(その2)(その3)
㉘ 中世暗黒説を生み出したフランシス・ベーコンの科学観とその崩壊
㉙ 中世暗黒説の崩壊と科学革命の提起
㉚-㉛ 常識的な科学観を覆したパラダイム論 (その1)(その2)
㉜-㉟ 脳科学の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)
㊱-㊶ 生物進化論の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)
㊷ 科学の本質と限界

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:阿部正紀ビッグバン理論
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