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Gゼロ時代の津波石碑

Gゼロ時代の津波石碑(4)芥川を自死に至らしめた「ぼんやりした不安」と2つの遺書 山崎純二

2025年7月11日10時39分 コラムニスト : 山崎純二
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関連タグ:山崎純二

『蜘蛛の糸』という作品を書いた芥川龍之介は、その作品を書いたあと10年もたたずに、「ぼんやりとした不安」という言葉を残して自死してしまうことになる。その時の彼は、不倫の末に相手の女に子どもができ、数カ月の間、中国旅行と銘打って現実逃避していた。持病の胃潰瘍や神経衰弱、不眠症も悪化し、さらに義兄が自死したことで、多額の借金と扶養すべき家族を抱えていた。

このように聞くと、さまざまな精神的苦痛が重なり、自死に至ったのだと思われがちである。しかし、直接的な死因については、「或旧友へ送る手記」という形の遺書(遺稿)の中に、本人自ら記している。以下に一部を抜粋してみたい。

君は新聞の三面記事などに生活難とか、病苦とか、或は又精神的苦痛とか、いろいろの自殺の動機を発見するであらう。しかし・・・少くとも僕の場合は唯ぼんやりした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である。(引用元:青空文庫「或旧友へ送る手記」、底本:『現代日本文学大系43芥川龍之介集』(筑摩書房、1968年))

彼は自身の身の回りに、生活難、病苦、精神的苦痛などがあったことを否定していない。しかし、それは動機の全部ではないという。そして本当の動機は「ぼんやりした不安である」と二度も繰り返しているのである。このことに関しては、浜崎洋介氏をはじめ、多くの人によってさまざまに論じられているのであるが、私は今回、芥川が死の直前に書き上げた、もう一つの遺書(遺稿)、「西方の人」という文章に注目してみたい。

これは彼がクリスト(キリスト)と自身をなぞらえて書いたといわれている。新約聖書をベースにしていて、話は旧約のモーセやエリヤにも及ぶ。その中で、一神教の天上の神(エホバ)に関する記述があるので、読んでいただきたい。

クリストの度たび説いたのは勿論(もちろん)天上の神である。「我々を造つたものは神ではない、神こそ我々の造つたものである。」――かう云(い)ふ唯物主義者グウルモンの言葉は我々の心を喜ばせるであらう。それは我々の腰に垂れた鎖を截(き)りはなす言葉である。が、同時に又(また)我々の腰に新らしい鎖を加へる言葉である。のみならずこの新らしい鎖も古い鎖よりも強いかも知れない。(引用元:青空文庫「西方の人」、底本:『現代日本文学大系43芥川龍之介集』(筑摩書房、1968年))

啓蒙思想という病

さて、上述の文章を理解するために、少し話は飛ぶが、17世紀にフランスで始まった啓蒙思想について触れる必要がある。これは、教会の権威や、伝統的で古臭い封建的な考えを否定し、人間の理性によって普遍・不変の考え方を獲得しようという潮流である。

言葉の意味は、英: Enlightenment、仏: Lumières「光で照らすこと」であり、人間理性という光を用いて、宗教的な暗い偏見を照らし、人間本来の理性の自立を取り戻すというのが主な主張である。そして、神様に関しても「我々を造つたものは神ではない、神こそ我々の造つたものである」というのが、現代に続く啓蒙思想的な考え方である。

しかし天才的な感性の持ち主である芥川は、先ほどの遺書(遺稿)の中で、そのことに警鐘を鳴らしている。それが先ほどの文章である。もう一度読んでみよう。

なるほど、そのような考え方は、しばし我々の心を自由にし、喜ばせもするであろう。そしてそれは、我々の腰に垂れた鎖を截りはなす言葉である。

今も昔も、人は誰かに見られ、監督下に置かれると自由ではないという感覚を持つ。まるで10代の子どもが親の干渉を避けるように、啓蒙思想は父権的な神様や権威的な教会からの干渉を拒否する。それにより人は、腰に垂れた鎖を截りはなし、人間精神の自由を取り戻し、人生を謳歌(おうか)することができるはずであった。

「が、」と芥川は続ける。それは「同時に又我々の腰に新らしい鎖を加へる言葉である。のみならずこの新らしい鎖も古い鎖よりも強いかも知れない」と彼は警告したのである。

どうして古来からの伝統や天上の神様を否定して自由になると、人はより強い鎖に縛られるようになるのであろうか。これは現代に続く大きなテーマなので、もう少し深掘りしてみたいと思う。

自由からの逃走

18世紀以降、ますます啓蒙思想の理念が吹き荒れ、自由な個人が幸福を手にすることがたたえられた。

啓蒙思想は人の理性の力を信じ、教会を古い権威、宗教的なことを迷信とし、それに立ち向かう精神として登場した。これは、個人が生き方を主体的に自己決定し、幸福を追求するものとして称賛された。「自由」は、個人の権利として認識されていった。

自由な個人は幸せか

「が、」啓蒙思想が進むにつれて「個人が自由を追求できることが幸福である」とする前提自体に揺らぎが生じ始めた。自由な選択肢を持つことは一時的に喜びや幸福感を生むかもしれないが、同時にそれは選択の責任と重圧をも背負わなければならないことを意味していたからである。

それまでの宗教的・伝統的な生き方から脱却して自由が与えられると、人々は自分が何を求めたら良いのかを見失い、不安や迷いに襲われるということが徐々に明らかになっていったのである。

生きがいの喪失

また、無制約な自由は生きがいを喪失させるというアイロニーをも内含している。絶え間ない個人的な利得や快の追求は、人生の目的や意味を矮小(わいしょう)化し、結果的に人は生きがいを失ってしまうのである。多くの選択肢があることは素晴らしいようだが、何を選ぶべきかという問いに直面すると、人は「空っぽの自己」を再認識し、深刻な孤独感や焦燥感に見舞われていくことになるのである。

かつて生きる意味を提示してきた武士道

かつての西欧的な世界観においては、天上の神様が人の生きる意味を規定し、なすべきこと、してはならない道徳的規範、そして生きる意味を示していた。また、日本においては武士道というものがあり、国と主君のために命を投げ出して戦い、また奉公することが一つの道徳規範、生きる意味となっていた。

この「武士道」を著した新渡戸稲造自身は熱心なキリスト者であったが、彼がベルギー人の法学教授との対話の中で「日本には宗教教育がない」という話が出たとき、教授に「では日本ではどのようにして道徳教育を行うのか」と驚きながら問われ、それに応える形で書いたのが「武士道」という本である。

東西で失われた指針

しかし現代の日本においては、仕えるべき主君も、命を懸けて戦うべき相手も存在しない。そして、ほとんどの人は信仰の規範となる確固たる宗教をも持たず、西欧型の啓蒙思想の大きな潮流にのみ込まれてしまっている。

そしてそれは、もちろん日本だけの問題ではない。西欧においても、多くの人々が教会を古臭く堅苦しい迷信として、信仰から去っていった。私は現在オランダに住んでいて、街を散策してみると、あらゆる街の中心に千年の歴史を数えるような大きくて壮麗な教会が数多く建っている。しかし、その大部分は単なる観光地と化しているか、もはや教会としては使われずに、文化施設として使われている。そして現在、西欧の多くの人も「個人の自由」という肥大化した自意識の問題に直面し続けているのである。

人間は自由の刑に処せられている

芥川の死からしばらく後の1941年に、エーリヒ・フロムは『自由からの逃走』(英語: Escape from Freedom)という本を著した。その背景と内容はこうである。

啓蒙思想の発展とともに、自己の孤独や責任を覚悟して自ら自由を求めるのではなく、むしろ自由を義務として課せられた世代が台頭するようになった。この世代の人々は、自ら求めたわけでもない自由が生まれながらに与えられた。その一方で、人生において「何をすべきか」という意味は剥奪されている状態だともいえる。「それは、あなたが自分で自由に考えなさい」というわけである。

そして、その結果生じた精神的不安や孤独を埋め合わせるために、人々は「自由から逃走しようとする」というのが、天才フロムが看破した核心である。その結果、一部の人々は「ぼんやりとした不安」を埋め合わせるために芥川のように自死し、また他の人々は孤独を埋め合わせるためにナチズムのような全体主義に傾倒していったという。サルトルはそれを「人間は自由の刑に処せられている」と表現した。

*

さて以上が、2章「加速する不安と孤独の病理」の前半部分であり、芥川龍之介が自死に至った背景です。この状況は、現代においても変わっていないどころか、ますます加速しているといえます。

ところで、芥川は「我々を造つたものは神ではない、神こそ我々の造つたものである」という唯物主義者の言葉に警鐘を鳴らしていて、「クリストの度たび説いたのは勿論天上の神である」という点までは気が付いていました。ですから、惜しむべくは、不安を抱えていた彼が、もっと深くキリストの言葉にとらえられていたならばと、いちキリスト者としては思ってしまいます。

もちろん、教会側にも権威主義的で、人々に重圧を感じさせる面があったのですから、われわれが反省しなければならない点も多々あり、その点についても5章で書かせていただいています。また、本書の後半では、確かな処方箋についても言葉を尽くしているのですが、今日のところは、キリストの言葉を一つ引用して終わりにしたいと思います。

わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな、またおじけるな。(ヨハネの福音書14章27節)

本稿は拙著『Gゼロ時代の津波石碑―再び天上の神様と繋がる日本―(21世紀の神学)』第2章よりの抜粋です。全文をお読みになりたい方は、ぜひ書籍をご覧ください。

山崎純二のユーチューブチャンネル「21世紀の神学―Gゼロ時代の津波石碑―」の方でも、さらに踏み込んだ内容が発信されていますので、興味のある方はこちらもご視聴いただけます。

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◇

山崎純二

山崎純二

(やまざき・じゅんじ)

1978年横浜生まれ。東洋大学経済学部卒業、成均館大学語学堂(ソウル)上級修了、JTJ宣教神学校卒業、Nyack collage-ATS M.div(NY)休学中。米国ではクイーンズ栄光教会に伝道師として従事。その他、自身のブログや書籍、各種メディアを通して不動産関連情報、韓国語関連情報、キリスト教関連情報を提供。著作『二十代、派遣社員、マイホーム4件買いました』(パル出版)、『ルツ記 聖書の中のシンデレラストーリー(Kindle版)』(トライリンガル出版)他。本名、山崎順。ツイッターでも情報を発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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