米テキサス州で4日未明に発生した洪水の死者数が7日、104人に達した。死者の中には、地元で長年運営されてきたキリスト教女子サマーキャンプ「キャンプ・ミスティック」の参加者らも含まれており、同キャンプは同日、参加者とカウンセラーの計27人が死亡したと発表した。
キャンプ・ミスティックは同日、ホームページ(英語)で、27人が死亡したことを明らかにするとともに、「想像を絶する悲劇に耐えている家族と共に、私たちの心は張り裂けそうです。私たちは彼らのために絶えず祈っています」と伝えた。
「私たちは、行方不明の少女たちの捜索のために多大なリソースを投入して尽力している、地元と州の当局と連絡を取り合っています。地域、救急隊員、そしてあらゆるレベルの当局による惜しみない支援に深く感謝します」
その上で、「被害に遭われた家族のために引き続きお祈りいただくとともに、プライバシーへの配慮をお願いします。主が私たち全員を包み続けてくださいますように」と呼びかけた。
AP通信(英語)によると、洪水はテキサス州中央部に広がる丘陵地帯「テキサス・ヒル・カントリー」で発生した。乾燥した泥が密集した地域で、雨水が吸収されずに地面を流れ、鉄砲水が発生しやすい地域だという。
その中でも特に大きな被害が出たのが、キャンプ・ミスティックを含め青少年向けのキャンプ施設が集まる同州カー郡だった。AP通信によると、同郡では7日までに、子ども28人を含む84人の遺体が発見された。また、キャンプ・ミスティックの参加者10人とカウンセラー1人が依然として行方不明だという。
キャンプ・ミスティックは1926年に設立された伝統あるキリスト教女子サマーキャンプで、当時は約750人の子どもたちを受け入れていた。キャンプはグアダルーペ川沿いにあり、川の水位はわずか45分間で8メートル近く上昇したとされる。
キャンプ・ミスティックの責任者であったディック・イーストランドさんも犠牲者の一人で、キャンプに参加していた少女たちの命を救おうとして亡くなったと伝えられている。
孫のジョージさんは、自身のインスタグラム(英語)で祖父の死を伝えるとともに、思い出の写真を複数枚投稿。哀悼の意を示し、祖父が「とても愛し、大切にしていた少女たち」を救うために亡くなったと伝えた。
「私の祖父はまさにそんな人でした。夫であり、父であり、祖父であり、そして何千人にも上る若い女性たちの師でした。彼はもうこの世にいませんが、彼の影響は彼が触れた人々の人生から決して消えることはありません」
「あなたは、愛してもらえなかったときでも人を愛し、キャンプで誰かが少しでも困っているとすぐに助けました。本当にショックですが、誰かの命が救われることを願って自分の命を犠牲にしたことに、驚きはしません」
6日午前、洪水の警告を伴う緊急警報が再び鳴り響く中、キャンプ参加者の家族たちは短い時間、被災現場を歩くことを許可された。家族たちは、洪水によって破壊されたキャンプ用の小屋をくまなく探し回った。川岸の木々や岩の下をのぞき込む人もいれば、静かに過去の思い出を拾い集める人もいた。
来年設立100周年を迎えるキャンプ・ミスティックは、何世代にもわたり、少女たちの夏の避暑地となってきた。米公共ラジオNPR(英語)によると、その中には、リンドン・ジョンソン元大統領やジョン・コナリー元テキサス州知事の娘や孫娘も含まれている。また、ジョンソン元大統領のレディバード夫人は、ホワイトハウスを去った後も、キャンプ・ミスティックの行事に参加した。米テレビ局NBC(英語)によると、ジョージ・W・ブッシュ元大統領のローラ夫人は、キャンプ・ミスティックで働いていたこともあったという。
キャンプ・ミスティックのホームページ(英語)によると、グアダルーペ川沿いでは、5月30日から8月10日までの間に、計3期のキャンプを開催している。洪水は、6月29日から7月26日までの4週間にわたる2期目のキャンプの第1週に発生した。