日本基督教団は24日、「戦後80年にあたって、平和を求める祈り」を公式サイトで発表した。また28日には、在日大韓基督教会と共同の「平和メッセージ」も発表した。
「平和を求める祈り」では、今年で戦後80年となる太平洋戦争について、「神が造られ、愛された何千万人もの命が、私たちの罪によって傷つけられ、奪われた」として、悔い改めを表明。「人類が二度とあのような過ちを犯すことがないようにと、平和の主に祈り願います」とした。
さらに、戦中の罪は「神と人」に対するものであったと指摘。戦後も「時代と共に変わりゆくイデオロギーや歴史観に振り回された」と述べ、悔い改めを表明した。その上で「主の御前に立って全ての者が悔い改め、ただ主の平和に仕える者となりますように」と願った。
最後には、「私たちは、神の子・平和の子とされた者として、御国を仰ぎつつ祈ります」として、次のように願った。
「強い国家や民が、弱く小さな国家や民を力によって支配し、虐げることがありませんように。国家・民族の間にある憎しみの連鎖が断ち切られますように。困窮のただ中にある一人ひとりに、生きる力と勇気が与えられますように。そして、核の脅威が世界中から取り除かれていきますように」
例年、この時期に在日大韓基督教会と共同で出している「平和メッセージ」も、今年が戦後80年であることに言及。8月15日について、「この日の名称が『敗戦/終戦/光復』と異なった言葉で表現されることの意味を、そして、その差異はいったい何によってもたらされたのかを噛(か)みしめることができる私たちでありたいと思います」とした。
今年は日韓国交正常化60周年の節目でもある。メッセージでは、1965年に両国が締結した日韓基本条約について、「日本は植民地支配の『補償』という言葉を忌避し、『経済支援』という名分にこだわり、韓国は『経済優先』の必要に迫られ、ついには曖昧な妥協に至りました」と指摘。これにより、日本では歴史修正主義が勢いづき、韓国では独裁政権の正当化につながり、その後の分断をさらに深刻にしたとした。
メッセージでは、広島の原爆慰霊碑のほか、ベトナム戦争中に韓国軍が引き起こした虐殺事件への謝罪を目的とした済州島のピエタ像にも言及。「自らを射抜く、この二つの碑が指し示す心の深さを、いま、この時、ともに胸に覚えることができる私たちでありたいと思います」とした。
この他、朝鮮戦争を特需と認識していたことや、パレスチナ紛争、在日コリアンに対するヘイト、米軍基地が集中する沖縄、原発事故の傷が残る福島など、歴史認識の問題や現代社会のさまざまな課題にも触れた。
最後には、イエス・キリストが弟子たちの足を自ら洗った場面(ヨハネ13章)を引用。「生活の中で最も汚れた部位である足を洗うということ。それは、汚れた部位を指摘して非難し分断を深めるのではなく、その部位を洗い合うことによって、自らの汚れに気づき、悔い改めを忘却する身振りを離れて、新たな道に進むからだを整えることと信じます」と述べ、イエス・キリストの十字架の贖(あがな)いに値する生き方を誓った。
戦後80年を巡っては、日本福音同盟(JEA)や日本カトリック司教団も声明やメッセージを発表している。