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科学の本質を探る

【科学の本質を探る②】量子力学をめぐる世界観の対立(その1)アインシュタインの反対 阿部正紀

2015年8月13日09時56分 コラムニスト : 阿部正紀
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関連タグ:阿部正紀アルベルト・アインシュタイン

前回は、スピノザの審美的な哲学を信奉していたアインシュタインが、二つの物理法則(力学と電磁理論)の間に調和をもたらすために相対性理論を作ったことをお話ししました。今回は、アインシュタインが自分の哲学に基づいた世界観に逆らうという理由で量子力学の基本的な原理に反対したことを説明します。アインシュタインが反対したおかげで量子力学が進歩したことを、これから3回に分けて紹介していきます。

【今回のワンポイントメッセージ】

  • 世界観が理論を作り出す。

量子力学はミクロ世界の謎を解明したか?

量子力学は、原子の中で運動している電子など、究極のミクロサイズの粒子――「ミクロ粒子」と呼ぶことにします――が示す不思議な挙動を説明するために、20世紀の初期に作られました。

当時、最大の謎とされていたのは、一つのミクロ粒子が“粒子”でありながら“波動”としても振る舞う「粒子・波動の二重性」と呼ばれる奇妙な性質でした。現在の電子顕微鏡は、粒子と考えられている電子が光のように“波動”として振る舞う性質を利用しています。

何しろ雲のように広がった波動と、一点に局在した粒子。まるで正反対の両者をどのように結び付ければよいのでしょうか?

量子力学では、ミクロ粒子は観測しなければ波動として広がっており、観測した瞬間に1カ所に局在した粒子としてとらえられると説明されています。つまりミクロ粒子は観測するまでは実体がない「波動の状態」にあり、観測した瞬間に突如として波動が収縮して「粒子の状態」に飛躍するのです。

常識に逆らい、何とも奇妙な説明です。しかし、これを「量子力学の正統的解釈」と呼びます。正統的解釈に立脚した量子力学は大成功を収め、物理学と化学を刷新しました。それゆえ、量子力学の有効性を疑う人はまず存在しません。

ところが、正統的解釈に関してはアインシュタインなどによって反対され、論争が今日まで続けられています。論争の根っこは、ミクロ粒子は観測するまでは粒子として実在しない、と想定する「反実在論」的な解釈にあります。ほとんどの科学者は、観測とは無関係に自然の事物が実在していると考える常識的な「実在論」の立場をとっています。それゆえ、反実在論的な解釈は受け入れ難いのです。また、観測によって波動の状態から粒子の状態に“飛躍”するメカニズムが説明できないことも反対の理由とされています。

実存主義哲学から発想された量子力学の基本原理

量子力学の基を支えている正統的解釈は、ニールス・ボーアによってキルケゴールの「実存主義」哲学の影響を強く受けて作られました。実存主義をあえて一言で言えば、現実に存在している個人が行う主体的な決断によって真理が把握されると説く哲学です。

キルケゴールによれば、個人の精神には審美的、倫理的、宗教的の三段階があり、一つの段階から次の段階に飛躍を決断する「心の飛躍」を合理的に説明することはできません。このような哲学からヒントを得て、ボーアは、人間が行う観測という主体的な行為によってミクロ粒子が実在のものとなる、そのメカニズムは説明できないと考える正統的解釈を作り上げたのです。

量子力学に反対したアインシュタイン

スピノザの審美的な哲学を受け入れ、自然界に美と調和が存在すると確信していたアインシュタインは、自然界は理解が可能であると考えていました。それゆえ彼は、「私が見ていなくても、月は確かにある」と言って、ボーアの反実在論的な解釈を批判しました。そして彼は、観測とは無関係に存在しているミクロ粒子の振る舞いを厳密に記述する理論を作るべきであると主張したのです。

アインシュタインは、量子力学の建設に主導的な役割を演じています。彼は、「光量子説」を発表して量子力学を推進した業績でノーベル物理学賞を授けられました(相対性理論が受賞理由ではないのです!)。アインシュタインは量子力学に関する研究論文を17編も発表し、「私は、相対性理論についてより100倍も量子力学について考えた」と言っています。何とか実在論に根差した量子力学を作ろうと苦闘したのです。

世界観の対立――量子力学をめぐる論争

これまでに量子力学に反するような現象は一つも観測されていません。また、量子力学に基づいて半導体理論が作られてエレクトロニクスの花が開き、今日の情報化社会を作り出す基礎が築かれました。量子力学は自然現象を完璧に説明しているように映ります。

しかし量子力学の基本的な原理、すなわち粒子と波動の二重性を説明するために作られた反実在論に根差した正統的解釈に関しては、実在論に立つアインシュタインらによって批判され、現在もこの論争が続いているのです。

自然科学は自然に関する客観的な事実と論理的な合理性だけに基づいていると考える通俗的な科学観は、修正されねばなりません。

【まとめ】

  • 量子力学の正統的解釈は、ボーアによってキルケゴールの実存主義哲学の影響を受けて作られた。
  • アインシュタインは、量子力学の建設に多大な貢献をしたが、自分の実在論的な世界観と合わないという理由で、量子力学の正統的解釈に反対した。
  • 量子力学は大成功(物理・化学を刷新し、エレクトロニクスを開花)したが、その正統的解釈は反実在論的(ミクロ粒子は測定するまでは実在しない)であるため、実在論に立つ科学者に反対され、論争が今日に及んでいる。

【次回】

  • アインシュタインは量子力学論争でボーアに敗れましたが、アインシュタインが反対したおかげで、量子力学が進歩したことをお話しします。

◇

阿部正紀

阿部正紀

(あべ・まさのり)

東京工業大学名誉教授。東工大物理学科卒、東工大博士課程電子工学専攻終了(工学博士)。東工大大学院電子物理工学専攻教授を経て現職。著書に『基礎電子物性工学―量子力学の基本と応用』(コロナ社)、『電子物性概論―量子論の基礎』(培風館)、『はじめて学ぶ量子化学』(培風館)など。

【お問い合わせ】阿部正紀先生の連載コラム「科学の本質を探る」に関するご意見・ご質問は、メール([email protected])で承っております。お気軽にお問い合わせください。

【関連記事】あなたは創造論?進化論? 教会で東工大名誉教授と語るティーサロン(第6回「東工大名誉教授と語り合うティーサロン」)

■ 科学の本質を探る

① アインシュタインは“スピノザの神”の信奉者
②-④ 量子力学をめぐる世界観の対立 (その1) (その2) (その3)
⑤-⑨ インフレーション・ビッグバン宇宙論の謎 (その1) (その2) (その3) (その4) (その5)
⑩-⑬ ニュートン力学からカオス理論へ (その1) (その2) (その3) (その4)
⑭-⑯ 複雑系における秩序形成と生命現象 (その1) (その2) (その3)
⑰ コペルニクスの実像―地動説は失敗作
⑱ ケプラーの実像―神秘主義思想と近代科学の精神が共存
⑲-㉒ ガリレイの実像 (その1)(その2)(その3)(その4)
㉓-㉔ 近代科学の基本理念に到達した古代の神学者 (その1)(その2)
㉕-㉗ 中世スコラ学者による近代科学への貢献 (その1)(その2)(その3)
㉘ 中世暗黒説を生み出したフランシス・ベーコンの科学観とその崩壊
㉙ 中世暗黒説の崩壊と科学革命の提起
㉚-㉛ 常識的な科学観を覆したパラダイム論 (その1)(その2)
㉜-㉟ 脳科学の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)
㊱-㊶ 生物進化論の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)
㊷ 科学の本質と限界

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:阿部正紀アルベルト・アインシュタイン
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