ドイツで神学生の数が急激に減少していることが、最新の統計で明らかになった。
福音派メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)が、ドイツ連邦統計局のデータを基に伝えたところによると、2023・24年度冬学期にキリスト教神学を専攻した学生数は、プロテスタント神学が約7900人、カトリック神学が約5400人だった。
5年前に比べると、プロテスタント神学は約35%、カトリック神学は約30%の減少となる。18年以前は微増傾向にあり、この数年で急激な減少傾向に転じたことになる。
ドイツの大学は多くが2学期制(冬学期・夏学期)を採用しており、大半は冬学期(10月上旬~翌年3月下旬)に入学する。
神学専攻の卒業者数も同様に減少している。プロテスタント神学の卒業者数は、18年は400人だったのが23年は262人に、カトリック神学は271人だったのが171人に減少した。
統計結果をまとめた研究者らは、こうした傾向が教会の健全な運営にとって深刻な問題となると指摘する。新しい教会の設立には新たな指導者が不可欠であり、既存の教会も高齢な牧師・神父の後継者を見つけるのが困難になる。
神学生の減少はドイツに限った話ではない。英国では8月、福音派神学校「スポルジョンズ・カレッジ」が、169年の歴史に幕を下ろし、即時閉鎖されることが発表された。同校は「説教者のプリンス」と称された著名なバプテスト派の説教者チャールズ・スポルジョン(1834~1892)によって創設された。
スポルジョンズ・カレッジの理事会は声明で、「多くの高等教育機関、特に神学分野において見られるように、本校もここ数年にわたり深刻な財政的困難に直面してきました。これは学生数の減少に加え、これまでになく複雑で厳しい金融状況によるものです」と説明している。
一方、米国の状況はやや異なっており、一様ではない。米キリスト教団体「ミニストリー・ウォッチ」(英語)が、北米神学校協会(ATS)のデータを基に伝えたところによると、北米のキリスト教神学校280校の入学者(22年度)は約7万8千人で、前年に比べ約600人減少した。しかし、内訳を見ると、福音派プロテスタントは3・2%、主流派プロテスタントは5・9%減少したのに対し、カトリックと正教会はそれぞれ2・6%増加したという。