Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
科学の本質を探る

【科学の本質を探る㉔】近代科学の基本理念に到達した古代の神学者(その2)最大の教父アウグスティヌスの思想 阿部正紀

2016年1月11日14時44分 コラムニスト : 阿部正紀
  • ツイート
印刷
関連タグ:阿部正紀

前回は、古代アレクサンドリアの教父たちが、ギリシャ哲学の二元論的な世界観(天上界と地上界では別の法則が支配している)を打破して、宇宙のどこでも同じ法則が成り立っており、それを人間が理解できると唱えたことを説明しました。教父たちは近代科学の基本理念に到達していたのです。

今回は、最大の教父、アウグスティヌスが、ギリシャ哲学の二元論的な世界観に逆戻りさせるとともに、近代科学が成立する上で重要な役割を果たした思想を展開したことを明らかにします。

【今回のワンポイントメッセージ】

  • アウグスティヌスが、ギリシャ哲学の静的な世界像に基づいて、神は、自らは動かず、法則を通して間接的に世界を支配すると考えたことから、近代科学に特有な機械論的な自然観の萌芽が作られた。

ギリシャ哲学の世界観に逆戻りしたアウグスティヌス

アレクサンドリアの教父たちは、無から時間と空間を創造された神は、時間や空間に制約されず、全く自由に世界に働き掛けることができると考えました。このような動的な世界観は、ギリシャ人の静的な世界観――神はただ座して自分を見つめて瞑想しており、時々しか世界に干渉しない――を根底から覆したのです。

ところが、教父の思想の完成者といわれるアウグスティヌス(4~5世紀)は、アレクサンドリアの教父たちの動的な世界観から逆戻りして、ギリシャ哲学の二元論に基づく静的な世界観をキリスト教と融合させました。

その結果、世界に自由に働き掛ける動的な神が「不動の動者」――自らは不動のまま、アリストテレスの自然学の原理やプトレマイオスの天動説に従って間接的に世界を動かす動者――に置き換えられました。

機械論的自然観への道を備えたアウグスティヌス

しかし、神は不動のまま世界を動かすというアウグスティヌスの思想から、法則に従って全ての事象が機械的に起こると考える近代科学に特有の「機械論的な自然観」が芽生える下地が作られました。

ところで、神が法則に従って世界を支配しているのであれば、人間は自由意思を持てないことになるのではないか、と懸念されます。これに対してアウグスティヌスは、「人間は自由に意思を働かせて行動するが、自由意思に基づいて人間が何を選択するかを神は知っている。これこそが神の全能な能力である」と答えました。

このようにしてアウグスティヌスは、人間の自由意思と神の絶対的支配の問題を解決して、キリスト教信仰を「法則によって支配される世界」という機械論的な世界観の概念と両立させました。

近代科学の根底にある機械論的な自然観の萌芽は、古代の教父アウグスティヌスにさかのぼれるのです。

直線的時間と進歩の思想

【科学の本質を探る㉔】近代科学の基本理念に到達した古代の神学者(その2)最大の教父アウグスティヌスの思想 阿部正紀

ギリシャ人は、世界に終末が訪れた後、再び創造が行われ、時間は永遠にわたって循環すると考えました。つまり円環的な時間の概念を抱いていました。

これに対し、アウグスティヌスなどの教父たちは、直線的な時間の観念を提起しました(図1)。すなわち、神は創造の時に時間を創造し、その時から世界は創造された目的に従い完成(終末)に向かって一方向的に進む、というユダヤ・キリスト教的な直線的な時間の観念を樹立したのです。これによって、ギリシャ思想の円環的な時間の観念が打破されました。

この直線的時間の観念は、やがて、18~19世紀に、神の手によらずとも、人間のわざ、すなわち科学によって世界が限りなく進歩して完成に近づくという“進歩の思想”を生み出しました。進歩の思想と結び付いた直線的な時間の観念は、キリスト教的な史観に立つ人々のみならず、キリスト教に反対する啓蒙主義の進歩史観や、マルクス主義の唯物史観の中にすら形を変えて忍び込んでいます。

占星術と魔術を否定したアウグスティヌス

アウグスティヌスの神学では、世界で起こる全ての出来事は、神にその原因が求められます。それゆえ彼は、占いや魔法(人間が自然を超自然的に支配する行為)を厳しく禁じている旧約聖書の教えに従って、占星術や魔術を退けました。ここから、西欧の正統的キリスト教で魔術を厳しく退ける伝統が作り出されました。

しかし、実際には魔術は根絶されることなく、正統的なキリスト教思想の対抗文化として存在し続けました。また、天文学者は占星術で生計を立てていました。コペルニクス、ケプラー、ニュートンなど近代科学の先駆者たちが魔術的な神秘思想とキリスト教的な世界観を結び付けて自然を探求したことは、第21回で説明した通りです。

その後、18世紀にヨーロッパで魔術と神秘主義思想から脱却して近代科学が完成しましたが、その際に、聖書に立脚したアウグスティヌスの魔術否定の見解が重要な役割を果たしたのです。

【まとめ】

  • アウグスティヌスは、アレクサンドリアの教父たちの動的な世界観から、ギリシャ哲学の二元論に基づく静的な世界像に逆戻りさせ、神は法則によって間接的に世界を支配していると唱えた。
  • このようなアウグスティヌスの思想が、近代科学の根底にある機械論的な自然観の萌芽になった。
  • 教父たちが「直線的な時間」の観念を唱え、またアウグスティヌスが魔術を退けたことによって、18世紀に魔術と神秘主義思想から脱却して近代科学が完成する備えがなされた。

【次回】

  • 教父たちの学問を継承した中世のスコラ学者が、信仰と理性の衝突を避ける近代的な合理的思想の枠組みを作って、自然科学が発展する基礎を築いたことを説明します。

◇

阿部正紀

阿部正紀

(あべ・まさのり)

東京工業大学名誉教授。東工大物理学科卒、東工大博士課程電子工学専攻終了(工学博士)。東工大大学院電子物理工学専攻教授を経て現職。著書に『基礎電子物性工学―量子力学の基本と応用』(コロナ社)、『電子物性概論―量子論の基礎』(培風館)、『はじめて学ぶ量子化学』(培風館)など。

【お問い合わせ】阿部正紀先生の連載コラム「科学の本質を探る」に関するご意見・ご質問は、メール([email protected])で承っております。お気軽にお問い合わせください。

【関連記事】あなたは創造論?進化論? 教会で東工大名誉教授と語るティーサロン(第6回「東工大名誉教授と語り合うティーサロン」)

■ 科学の本質を探る

① アインシュタインは“スピノザの神”の信奉者
②-④ 量子力学をめぐる世界観の対立 (その1) (その2) (その3)
⑤-⑨ インフレーション・ビッグバン宇宙論の謎 (その1) (その2) (その3) (その4) (その5)
⑩-⑬ ニュートン力学からカオス理論へ (その1) (その2) (その3) (その4)
⑭-⑯ 複雑系における秩序形成と生命現象 (その1) (その2) (その3)
⑰ コペルニクスの実像―地動説は失敗作
⑱ ケプラーの実像―神秘主義思想と近代科学の精神が共存
⑲-㉒ ガリレイの実像 (その1)(その2)(その3)(その4)
㉓-㉔ 近代科学の基本理念に到達した古代の神学者 (その1)(その2)
㉕-㉗ 中世スコラ学者による近代科学への貢献 (その1)(その2)(その3)
㉘ 中世暗黒説を生み出したフランシス・ベーコンの科学観とその崩壊
㉙ 中世暗黒説の崩壊と科学革命の提起
㉚-㉛ 常識的な科学観を覆したパラダイム論 (その1)(その2)
㉜-㉟ 脳科学の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)
㊱-㊶ 生物進化論の未解決問題 (その1)(その2)(その3)(その4)(その5)(その6)
㊷ 科学の本質と限界

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:阿部正紀
  • ツイート

関連記事

  • Grace and Peace! 恵みと平安が溢れる一年を! 万代栄嗣

  • 時の流れに身をまかせないで 安食弘幸(34)

  • 牧師の小窓(10) 福江等

  • なにゆえキリストの道なのか(22)神はなぜユダヤ人を選んだのか 正木弥

  • 【子ども聖書クイズ28】ノアさんが作った箱舟の長さは?

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.