こころと魂の健康(17)怒りの処方箋Ⅱ 渡辺俊彦

2015年4月6日12時56分 コラムニスト : 渡辺俊彦 印刷
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前回の続きです。私たちの内に蓄積された怒りは、破壊的な自分、未成熟な自分に気づきを与える大切なものです。しかし、一般的に怒りの感情は、とても悪いものとして扱われています。それは、この怒りの感情が人間関係の中で負なるものとなって表れているため、問題に感じるのです。しかし、それは問題ではなく、過度な反応です。私たちの内にある怒りが小さく反応する時、無意識に怒りを抑圧しコントロールしています。その結果、私たちは笑ったり、知性化したり、合理化したりして、「私は怒っていません」と言っています。その瞬間、自分と他者に対して自分を偽り、不正直、不誠実な者となっているのです。この怒りを抑圧し続けると、精神的、霊的、人間関係に深い影響を与えてしまいます。

逆に、この怒りが大きいと、激怒、暴力、殺人などの反応となって表れます。このような人は日常生活を、イライラした思いで過ごしていることが多いのです。そればかりか、怒りに対応することができないため、突然、奇異な行動をしてしまいます。その怒りの感情は、過去に起こった子ども時代の感情であることが多いのです。この怒りの感情を抱えたまま成長すると、人間関係に問題が生じ、恨み、憎しみ、苦痛、敵意を感じてしまいます。また、沈黙や冷たさとなって表れることもあります。

このような、自分の怒りに対する過小、過大な反応のどちらも不適切で、罪意識が伴う両極端な不健康な反応なのです。この怒りをそのままにしておくと、心身に大きな影響を与えるばかりか、心身症的問題となって表面化します。具体的に、大腸炎、胸痛、頭痛、潰瘍、脱毛、うつなどが表れます。これらの根本的な原因は、抑圧された怒りの感情です。私たちが抑圧している怒りの感情を健康に処理していないと、バランス感覚の欠如を感じながら生活することになります。

私たちの内に抑圧された怒りの感情は、神との霊的関係や生活にも影響を与えます。私たちにとって、日常の中で神(インマヌエル)が遠く離れた存在に感じてしまいます。そして、人生に対する無意味さ、無価値を味わい、神に怒りを感じてしまいます。

怒りは、自分を知るために必要なものです。怒りが正しく理解されないと、自分の人生を自分でコントロールできなくなるのです。私たちは、この怒りの感情を健康的に、正しいやり方で表現することが求められます。

健康的で正しいやり方とは、どんな方法でしょうか。今まで私たちは、嫌われたり、愛されなくなったりするのが怖い、関係が壊れるのが怖いなどの感情から、良い子を演じてきました。また、私たちは、相手の怒りを恐れるあまり、相手にコントロールされてきた側面があります。このようにして私たちは、傷つき、傷けることを恐れてきました。

健康的な処理の方法は、相手を侮辱(否定)しない方法で怒りを表現することです。本当に良い、親しい関係は、自分の怒りを表現することができる関係です。怒りを表現することのできる関係は、冷淡さや陰口から自由になるものです。詩篇の詩人たちは、怒りを神にぶつけています。また、イエス様ご自身は十字架上で、「どうして私をお捨てになるのですか」と父なる神に怒りをぶつけられました。しかし、父なる神との関係は崩れることはありません。そして、十字架上のイエス様は、「我が霊を御手に委ねます」と言って息を引き取られました。

正しい怒りは、自分で感じ、対応し、表現することができるのです。そして、自分の怒りに対して自分で責任を取ることができるものなのです。この姿こそ、情緒的に成熟した姿なのです。怒りを正しく処理する秘訣を身につけることによって、互いの徳を高めることができ、良い人間関係を築くことができるようになるのです。

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渡辺俊彦

渡辺俊彦(わたなべ・としひこ)

1957年生まれ。多摩少年院に4年間法務教官として勤務した後、召しを受け東京聖書学院に入学。東京聖書学院卒業後、日本ホーリネス教団より上馬キリスト教会に派遣。ルーサーライス神学大学大学院博士課程終了(D.Mim)。ルーサーライス神学大学大学院、日本医科大学看護専門学校、千葉英和高等学校などの講師を歴任。現在、上馬キリスト教会牧師、東京YMCA医療福祉専門学校講師、社会福祉法人東京育成園(養護施設)園長、NPO日本グッド・マリッジ推進協会結婚及び家族カウンセリング専門スーパーバイザー、牧会カウンセラー(LPC認定)。WHOのスピリチュアル問題に関し、各地で講演やセミナー講師として活動。主な著書に『神学生活入門』『幸せを見つける人』(イーグレープ)、『スピリチュアリティの混乱を探る』(発行:上馬キリスト教会出版部、定価:1500円)。ほか論文、小論文多数。

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