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こころと魂の健康

こころと魂の健康(27)もっとやらなくては 渡辺俊彦

2015年9月7日11時18分 コラムニスト : 渡辺俊彦
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関連タグ:渡辺俊彦

私の近くに、何でも一生懸命に仕事や奉仕をする人がいます。その人は、どんなことでも熱心で忠実です。人への心配りも良くできる方です。そして、周囲の人々から信頼され尊敬を受けています。しかし、その人の姿を見ると、「そんなにしなくても良いのに」「そこまでしなくても良いのに」「十分です。少し休んでください」と声を掛けてしまいたくなります。ところが、どんなに声を掛けても走り続けます。そして、仕事や奉仕などたゆまず努力し続けるのです。会社では、仕事熱心な人となるでしょう。教会では、忠実で信仰深い人となるでしょう。でも実際は、心が疲れているのです。いつかバーンアウトしてしまうかもしれません。

献身者はどうでしょう。献身者には特に、神様と教会と人々に仕えることが求められます。神学校では、献身者を土曜日や日曜日にミッションとして派遣します。その派遣先の教会で、仕える訓練と称して雑巾のようにされるケースが少なくありません。意見でも言うものなら、「不忠実だ」「不信仰だ」「高慢だ」と評価されてしまいます。献身者は、ミッション先の評価が怖くて「もっとがんばらないと、人は認めてくれない」と走り続けてしまうのです。心の叫びが聞こえてくるようです。そのため、うつ病になった人も存在するのが現実です。

牧師も同じようなものです。牧師は、教会員の必要に応えなければと一生懸命に仕えようとします。しかし、仕えても仕えても、牧師批判しか聞こえてこないことは少なくありません。そして、「もっとがんばらないと、教会員は認めてくれない」「一生懸命にやっているのに、どうしてこうなるのか」と走り続けます。その結果、牧師のバーンアウトが起こってしまいます。

この逆も起こります。それは、教会員が、牧師の評価が気になり、「もっとがんばらなくては、評価されない」と奉仕にがんばってしまうのです。そして、自分の期待通りの評価がないと、「一生懸命にやっているのにどうしてこうなるのか」と失望し、教会から離れるのです。教会から離れた人々は、どこに行くでしょうか。二度と教会に来ない人々もいますが、自分を認めてくれる牧師を捜し求め、教会を転々とする人々も存在します。

何が、このような行動に駆り立てているのでしょうか。このような人の心の中に、「まだ足らない、まだ足らない」という感覚があったりします。また、自分の中で「どんなにやっても、もっとやらなくては」と言い聞かせながら駆り立てていることが少なくありません。そして、今の状況の中にとどまって、努力し続けるのです。苦しい、つらいという心の叫びが聞こえてくるようです。これらの人々に見えてくる共通点は、「もっと努力しなさい」です。

この「もっと努力しなさい」は、私たちの信仰にも影響を与えていることがあります。それは、「もっと努力する」ことによって信仰が成長すると勘違いしてしまう人がいます。確かに、努力することによってスキルは身に付き、姿形をまねることはできるでしょう。しかし、信仰の成長とは違うものです。

詩篇の詩人は、「神へのいけにえは、砕かれた霊。砕かれた、悔いた心。神よ。あなたは、それをさげすまれません」(詩篇51:17)と言っています。神様が私たちに望んでおられるのは、「砕かれた、悔いた心」です。これが本当の謙遜であり、信仰の成長です。この恵みが分かったら、自分と人を比較したり、人の評価を気にしたりすることから解放されます。そして、「もっと謙遜な者にさせていただこう」と、神の前に出る者に変えられます。

私たちが「努力しなさい」を肯定的に用いるなら、聖書を読み祈る時間を確保するために努力しましょう。

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◇

渡辺俊彦

渡辺俊彦(わたなべ・としひこ)

1957年生まれ。多摩少年院に4年間法務教官として勤務した後、召しを受け東京聖書学院に入学。東京聖書学院卒業後、日本ホーリネス教団より上馬キリスト教会に派遣。ルーサーライス神学大学大学院博士課程終了(D.Mim)。ルーサーライス神学大学大学院、日本医科大学看護専門学校、千葉英和高等学校などの講師を歴任。現在、上馬キリスト教会牧師、東京YMCA医療福祉専門学校講師、社会福祉法人東京育成園(養護施設)園長、NPO日本グッド・マリッジ推進協会結婚及び家族カウンセリング専門スーパーバイザー、牧会カウンセラー(LPC認定)。WHOのスピリチュアル問題に関し、各地で講演やセミナー講師として活動。主な著書に『神学生活入門』『幸せを見つける人』(イーグレープ)、『スピリチュアリティの混乱を探る』(発行:上馬キリスト教会出版部、定価:1500円)。ほか論文、小論文多数。

■ 上馬キリスト教会ホームページ
■ 上馬キリスト教会ツイッター

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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