富についての考察(9)富の循環 木下和好

2014年12月22日10時39分 コラムニスト : 木下和好 印刷
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聖書を生活の規範にしている人の中で、消費に関して全く異なる価値観を持っている人がいる。ある人たちは、「清貧に甘んじる」ことがより信仰的であると考え、生きていくための必要最低限の物しか持たない。しかも購入するより、人からもらうケースが多い。彼らは、「節約主義」の持主である。一方、立派な服を着、高級車を乗り回し、豪邸に住んでいる人もいる。そのような人たちの月々の生活費は、一般サラリーマンの月給をはるかに超えている。彼らは「消費主義」の人達だが、立派な信仰の持ち主でもある。貧困の中で育った私は、「消費主義」には違和感を覚え、信仰との矛盾があるのではないかと感じていた。でも、あらゆる富の源が創造主なる神により無償で提供され、全ての人は、富の循環の中で生み出される差額を利益(=収入)として受け取るのが経済のシステムであることに気づいた時、「消費」に対する考え方が変わった。

たとえば車が必要になった時、「節約主義者」だったら50万円の中古車を買うだろう。でも「消費主義者」は2000万円の高級車を買うかも知れない。すると後者に対しては「何という浪費!そんなお金があったら貧しい人に分けてあげるべきだ」という非難が向けられる。でも良く考えると、彼が支払った2000万円は、より多くの人の利益につながる。彼の浪費を知らずに自動車メーカーで働いている人の月給の一部にもなる。2000万円の浪費は、実は利益の放出となっている。50万円の中古車を買った人は、自らの利益を50万円分しか放出せず、世の中への還元率は40分の1ということになる。

日本が不況になってしまった大きな原因は、高齢者のタンス預金らしい。タンスにしまい込んだお金は、一切世の中に放出されない。すなわち他の人たちの利益に還元されることがない。タンス預金は、1タラントを預かったしもべが、失うかも知れないという不安から、そのお金を地中に隠してしまったのに似ている(マタイの福音書25:25)。埋められたお金は、世の中に1円の利益をももたらせなかった。1タラントは現在の1億円に相当するようなので、5タラントを預かった人は5億円を消費し、2タラント預かった人は2億円消費したことになる。でもそれは世の中に対する富の放出なので、結果として彼らは2倍の利益を生み出した。

私は経済的に世の中に貢献する方法が3つあると思う。ひとつは税金を納めること。ひとつは献金をすること。そして3つ目が消費すること。これらはすべて他人の利益につながる。貧しいことをあるいは節約を最高の徳と考えた場合、この3つ領域の貢献度が低くなる。もし世の中がそういう人ばかりになったら、富の循環、利益の循環がストップするので、神が無限の富を提供してくださっているのにもかかわらず、貧しい人の数が益々多くなる。我々はタラントのたとえ話を見直すべきではないだろうか。

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木下和好(きのした・かずよし)

1946年、静岡県生まれ。文学博士。東京基督教大学、ゴードン・コーウェル、カリフォルニア大学院に学ぶ。英会話学校、英語圏留学センター経営。逐次・同時両方向通訳者、同時通訳セミナー講師。NHKラジオ・TV「Dr. Kinoshitaのおもしろ英語塾」教授。民放ラジオ番組「Dr. Kinoshitaの英語おもしろ豆辞典」担当。民放各局のTV番組にゲスト出演し、「Dr. Kinoshitaの究極英語習得法」を担当する。1991年1月「米国大統領朝食会」に招待される。雑誌等に英語関連記事を連載、著書20冊余り。

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