富についての考察(12)ヨブの富の概念 木下和好

2015年2月3日07時15分 コラムニスト : 木下和好 印刷
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我々は、「富=罪」という概念を持ちやすいが、聖書には多くの富豪が登場する。その典型的な例がヨブである。ヨブ記1:3は「彼は東の人々の中で一番の富豪であった」と言っている。ではヨブは悪人だったのだろうか? 実はその逆だった。1:1は「この人は潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっていた」と記している。でもヨブの本性はそうではないと言った者がいる。それはサタンだった。サタンは神に「あなたの手を伸べ、彼のすべての持ち物を打ってください。彼はきっと、あなたに向かってのろうに違いありません」(1:11)と言った。神はサタンの試みを許可されたので、ヨブは家族と財産と健康の全てを失った。

ヨブの3人の友人は、彼の悲惨な状態を見て、ヨブの落ち度を指摘した。彼らがヨブの富に嫉妬していたとするなら、富を失うことが当然であると思ったに違いない。彼らの論法は、サタンが言ったように、ヨブの敬虔さは、物質的祝福が前提になっていて、本物の信仰から出るものではないという考えに傾いて行く。でもヨブの悲劇に関して、ひとりだけ異なる評価をした者がいる。それはエリフという若者で、彼の言い分によると、人に降りかかる災いは、その人の罪のせいでなく、その災いを通して更に霊的成長をもたらすものである(32~37章)。すなわち、ヨブが所有する富のネガティブ要素が彼に災いをもたらしたのではないということになる。

ヨブの富概念は、「わたしは裸で母の胎を出た。また裸でかしこに帰ろう。主が与え、主が取られたのだ。主のみ名はほむべきかな」(1:21)という言葉に集約される。ヨブにとって富が神に置き換わることはなかった。そして富(人の命も含む)の源は神で、富を与えられるのも神、取り去られるのも神であった。また富は罪でもなかった。もし富が罪であるなら、「主が与え、主が取られたのだ」とは言わなかっただろう。神が人に罪を押し付けることはないからだ。でも富は人に一時的に託された物なので、永遠の所有権を主張したり、神の代わりに富に頼ることは出来ない。なぜなら裸でしか、かしこに帰れないからだ。こうしたヨブの富概念は、「富を失えば、きっと神に向かってのろうに違いない」というサタンの予測を覆した。

ヨブ記がTheodicy (=災いの中にあっても神の行うことは正しい)というレッスンで終わっていないのが面白い。最後の42章では、彼の財産は災い以前の2倍になった。これは神からの祝福であった。また新しい家族は、失った家族と同じ数が与えられた。永遠の命の信仰があれば、他の財産同様、家族も2倍になったことになる。このように、富の正しい概念を持っていたヨブに、神は2倍の祝福を与えられたことは、興味深い。我々もヨブと同じ信仰を持っていれば、神は大いなる富を委ねてくれるに違いない。そして主が与え、主が取られるのだから、どんなことがあっても主のみ名を褒め称えることが出来る。

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木下和好(きのした・かずよし)

1946年、静岡県生まれ。文学博士。東京基督教大学、ゴードン・コーウェル、カリフォルニア大学院に学ぶ。英会話学校、英語圏留学センター経営。逐次・同時両方向通訳者、同時通訳セミナー講師。NHKラジオ・TV「Dr. Kinoshitaのおもしろ英語塾」教授。民放ラジオ番組「Dr. Kinoshitaの英語おもしろ豆辞典」担当。民放各局のTV番組にゲスト出演し、「Dr. Kinoshitaの究極英語習得法」を担当する。1991年1月「米国大統領朝食会」に招待される。雑誌等に英語関連記事を連載、著書20冊余り。

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