富についての考察(17)所有権と危機管理 木下和好

2015年4月13日10時15分 コラムニスト : 木下和好 印刷
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ニッポン放送株を買収したライブドアと、それに抵抗するニッポン放送の壮絶な戦いが日本中の関心事となったことがある。ある人はその戦いを「新しいぶどう酒と古い皮袋」と呼んだが、確かにそのように見える。私個人としては、どちらかの味方でもなく、またどちらかの敵でもない。でも第三者的に見ると、ニッポン放送側の危機管理が甘かったような気がする。

私は株式の専門家ではないが、ある会社が株式市場に上場する時、所有権の一部を株売却という形で手放すことになる。そして所有権を放棄した時に莫大な資金を調達することにもなる。普通は不特定多数の人がその株を購入するので、会社の所有権が特定な人に移ったという感覚はない。でももし50%以上の自社株を市場に放出した場合、会社の所有権の半分以上をすでに手放しているのと同じことなので、いつでも買収される危険性がある。

マンションを丸ごと買うことが合法的であるように、ある会社の市場に出回っている株を買い集めることも合法的なので、いつか誰かが買い占めることが可能だ。それでもし絶対他人に買収されたくなければ、51%以上の株を保持しておかなければならない。言いかえるなら、危機管理のためには、資金調達をほどほどにしておく必要がある。日本では会社の経営者が所有者でもあるかの錯覚があるようだが、株の概念が一般に浸透しているアメリカでは、経営者ではなく株主が会社の所有者であることは常識となっている。

我々も、人間としての危機管理が甘いようだ。我々は自分の所有権は自分にあると思い込んでいるが、実はずっと昔に、買収が行われていた。創造主なる神に造られた人間の所有権は、最初は100%創造主にあった。でも堕落(原罪)の出来事により、サタンがこっそり所有権の一部を奪ってしまった。我々は何でも自分で決めて行動しているように思うが、実はサタンの議決権の影響下で生きている。それですべきと分かっている良いことができず、してはいけないと思っていることをしてしまう。

この原罪からの解放は「贖い」と呼ばれているが、実は「贖い」は「買い戻す」という意味である。株の買い戻しと似ている。しかし人間は自分で自分を買い戻すことができないので、キリストが身代わりとなって買い戻してくれた。そして我々の所有権を100%買収する方法が、十字架上の死であった(ヘブル9:15)。キリストが十字架上で発した最後のことばは、「完了した」(ヨハネの福音書19:30)であったが、実はこの「完了した(ギリシャ語で teleo)」ということばの語源的意味は、「負債を全額返済した」という経済用語である。キリストが我々の所有権を100%買い戻してくれたことにより、我々は究極的な危機管理を実行していることになる。なぜなら永遠の死かあるいは永遠の命かの選択を済ませているからである。

我々はどんな理由があれ、二度とこの所有権を手放してはいけない。

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木下和好

木下和好(きのした・かずよし)

1946年、静岡県生まれ。文学博士。東京基督教大学、ゴードン・コーウェル、カリフォルニア大学院に学ぶ。英会話学校、英語圏留学センター経営。逐次・同時両方向通訳者、同時通訳セミナー講師。NHKラジオ・TV「Dr. Kinoshitaのおもしろ英語塾」教授。民放ラジオ番組「Dr. Kinoshitaの英語おもしろ豆辞典」担当。民放各局のTV番組にゲスト出演し、「Dr. Kinoshitaの究極英語習得法」を担当する。1991年1月「米国大統領朝食会」に招待される。雑誌等に英語関連記事を連載、著書20冊余り。

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