富についての考察(5)王国は誰の物 木下和好

2014年10月26日17時31分 コラムニスト : 木下和好 印刷
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+木下和好氏

富の所有権は誰にあるのかは、重要問題である。もし神にあるなら富は良い物となり、サタンの支配下にあるなら、富は悪い物になる。歴史上いつでも一番富んでいたのは王様で、王の支配する国そのものが王の富を象徴していた。ダビデ王国もそのひとつであった。

でも全ての富の提供者は創造主なる神であり、人にはその管理責任が与えられているに過ぎない(創世記1:28)。たとえ悪い王であっても、神の許しのもとでのみ、その権威を維持することが出来る。パウロはローマ人への手紙13:1で「神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである」と言っている。聖書には、ソドムとゴモラのように道徳的に退廃し滅ぼされた小国でも、その所有権がサタンに譲渡されたとは記されていない。

イエス・キリストの公生涯は、サタンの誘惑で始まった(マタイの福音書4:1~11)。それらはパンの誘惑、身投げの誘惑、そして王国の誘惑であった。このサタンの誘惑を比喩的に理解する人もいるが、前後関係から見て、比喩ではなく現実的出来事であったことは、明らかである。すると、高い山から見えたすべての国々とその栄華は、実在の都市ということになる。

ところで、「これらを全部あなたに差し上げましょう」というサタンの言葉は、人の富の欲・所有欲につけ込んだ誘惑であるというメッセージを何度も聞いたことがある。でも私は、その解釈に疑問を持った。なぜならパレスチナの高台から見え、サタンが「差し上げる」と言った都市の所有権は、もともとサタンにはなかったからだ。

聖書を良く読み返して見ると、そこにはサタンの2つの罠があったことがわかる。ひとつは所有権の無い都市を見せ、あたかも自分の所有のように思わせること。すなわち神の権威を自分の権威に見せかける罠。「神である主を試みてはいけない」というイエスの言葉は、誘惑が神の権威に対するサタンの挑戦であったことを暗示している。神はもともとサタンから指図を受ける必要などない。第二の罠は、所有権のうそを通して、自分に「ひれ伏し拝ませる」ことだった。すなわち偶像礼拝への誘惑だ。言いかえるなら、サタンの誘惑は、神の言葉と主権から、人の注意を反らせ、自分のことばに耳を傾けさせることであった。

イエスは第二のアダムと呼ばれているが、最初のアダムに対するサタンの誘惑も全く同じであった。アダムが見せられたのは「善悪を知る木」の美味しそうな実、イエスが見せられたのは「王国と栄華」。いずれもサタンの所有ではなかった。アダムは「食べるな」という神のことばでなく、「食べろ」というサタンの言葉に従ってしまった。そして第二のアダムであるイエスは、それと同じ種類の誘惑に打ち勝つことから公生涯を始められた。

富(被造物)の所有権がサタンにあるという見方は、神の物を神の物と認めない罪に匹敵する(ローマ人への手紙 1:21)のではないだろうか。

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木下和好(きのした・かずよし)

1946年、静岡県生まれ。文学博士。東京基督教大学、ゴードン・コーウェル、カリフォルニア大学院に学ぶ。英会話学校、英語圏留学センター経営。逐次・同時両方向通訳者、同時通訳セミナー講師。NHKラジオ・TV「Dr. Kinoshitaのおもしろ英語塾」教授。民放ラジオ番組「Dr. Kinoshitaの英語おもしろ豆辞典」担当。民放各局のTV番組にゲスト出演し、「Dr. Kinoshitaの究極英語習得法」を担当する。1991年1月「米国大統領朝食会」に招待される。雑誌等に英語関連記事を連載、著書20冊余り。

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