山上の垂訓から学ぶ「キリストの人材教育」(25)黒田禎一郎

2015年8月5日19時56分 コラムニスト : 黒田禎一郎 印刷
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今日の日本社会における最大の問題は何かといえば、私は結局のところ「心の問題」ではないかと思います。企業にある汚職や不正の問題、家庭にある問題、そして大きな混乱を抱える教育界の問題など、突き詰めれば「人の心の問題」であり、個人の内側が問われています。聖書は私たちに、内側にあるものが外側に表れるといいます。したがって、私たちの思考や願望など内側にあるものが、外側に出てくることを教えています。ところで、聖書で最もよく知られた個所は、「山上の垂訓」と呼ばれる個所でしょう。これはイエス・キリストが公生涯で、初期のころ多くの群衆を前にして語られたお言葉です。この美しい垂訓を一読して、「山上の垂訓」は私たちの日常生活と関係ないのではと思われる方もおられましょう。しかしながら、この「山上の垂訓」は大変重要な視点を教えています。

マタイの福音書(5:3~10)には次のように書かれています。

1. 心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人たちのものだから。
2. 悲しむ者は幸いです。その人たちは慰められるから。
3. 柔和な者は幸いです。その人は地を受け継ぐから。
4. 義に飢え渇く者は幸いです。その人たちは満ち足りるから。
5. あわれみ深い者は幸いです。その人たちはあわれみを受けるから。
6. 心のきよい者は幸いです。その人たちは神を見るから。
7. 平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子どもと呼ばれるから。
8. 義のために迫害されている者は幸いです。天の御国はその人たちのものだから。

ここに「・・・者は幸いです」という八つの垂訓が書かれています。これを「山上の垂訓」と呼び、別名「八福の教え」とも言われます。この八訓を注意して読みますと、第一訓から第四訓までが、神と人との関係です。そして後半の第五訓から第八訓までが、人と人との関係について書かれていることが分かります。原文では、この「幸いです」という言葉が冒頭に来ています。ドイツ語訳や英語訳聖書の多くは、「幸いです」という言葉で始まります。また日本語の口語訳聖書も「幸いなるかな・・・」という書き出しです。すなわち強調文が冒頭に来ているのです。

この垂訓は、「幸いである人」が一体どのような人かを、八面の異なる角度から教えています。さらに端的に言うことが許されるならば、「人が人として生きる生き方」を教えていると言えましょう。人生にはさまざまな試練があり、窮地に陥ることもあります。絶体絶命の窮地に立つとき、どのような判断をするかが問われます。日頃の習慣の積み重ねが、その人の判断と行動に大きな影響を与えるものです。今日は第六訓(8節)の「心のきよい者は幸いです。その人たちは神を見るから」という一節から考えてみましょう。この文章は、短く簡単ですが含蓄ある深い文章です。

まず、「心のきよい者」とは一体どのような人でしょうか。聖書の語る「心」という言葉は、人の考え、思考、情、意思の総合的存在を表しています。ですから、人の中心と言ってもいいかもしれません。そして、「きよい」という言葉はギリシャ語(新約聖書はギリシャ語で書かれている)で、「カサロス」という言葉です。この言葉の意味は「混ざり気が何もない」「水で希釈もされていないほど純粋なもの」という意味です。ですから、「心のきよい者」とは、「二心でなく、一心に、ひたすらに神を求める人」を指します。

■ キリストの人材教育: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)
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黒田禎一郎

黒田禎一郎(くろだ・ていいちろう)

1946年、台湾・台北市生まれ。70年、ドイツ・デュッセルドルフ医科大学病院留学。トリア大学精神衛生学部、ヴィーダネスト聖書学校卒業。75年、旧ソ連・東欧宣教開始。76年、ドイツ・デュッセルドルフ日本語キリスト教会初代牧師就任。81年、帰国「ミッション・宣教の声」設立。84年、グレイス外語学院設立。87年、堺インターナショナル・バイブル・チャーチ設立、ミニスター。90年、JEEQ(株式会社日欧交流研究所)所長。聖書を基盤に、欧州情報・世界 情報、企業講演等。98年、インターナショナル・バイブル・チャーチ(大阪北浜)設立、活動開始。01年、韓日ワールドカップ宣教GOOL2002親善大使として活躍。著書に『世界の日時計』(Ⅰ~Ⅲ)、『無から有を生み出す神』『新しい人生』『愛される弟子』『神のマスタープランの行くへ』『ヒズブレッシング』、韓国語版『聖書と21世紀の秘密』、中国語版『神の聖書的ご計画』他訳書あり。

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