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非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯

非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(7)自由のためのバス運動と、暴力の応酬

2015年10月8日07時39分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:マーティン・ルーサー・キング

1961年になると、CORE(人種平等会議)は座り込み運動を街頭に進出させる必要があると提案した。そして5月4日。白人黒人双方の志願者の中から、6人ずつが選ばれCOREのオブザーバーと共に長距離バスに乗った。このバスはバージニア、南北カロライナ、ジョージア、アラバマ、ミシシッピー諸州を通過する。そして停車するたびに、白人黒人双方が公共施設の差別状況を調査するものであった。

しかし、ノース・カロライナのロックヒルにバスが到着すると、そこには白人の暴徒たちが待ちかまえていた。黒人の神学生ジョン・ルイスが白人専用の待合室に入ると、2人の暴徒が襲いかかり、他の3人が白人のアルバート・ビギローを殴り付けた。しかし2人は抵抗しなかった。警官はこの暴行を黙って眺めているきりで、白人女性ジェネビーブ・ヒューズが地面に引き倒されると、ようやく止めに入った。白人差別主義者たちは何とかして黒人の運動を阻止しようと暴徒化してきたのである。

5月14日。アラバマ州アニストンにバスが着くと、手に手に棒を振りかざした白人暴徒が襲い掛かった。彼らはバスの窓をたたき割り、タイヤに穴をあけ、火炎ビンを投げ込んだ。煙に包まれたバスから乗客が飛び出すと、待っていましたとばかりに殴り付けた。警官はその場で9人の白人を「襲撃罪」で逮捕したが、全員不起訴となった。その後、バスがバーミングハムに着き、チャールス・パーソンとジェームス・ペックの2人が白人専用の待合室に入った途端に、暴徒が襲い掛かった。「思い知らせてやるぞ! 黒ん坊め!」。そう叫んで殴り続けたので、通報により警官がやって来た時には、2人は気を失っていた。

5月20日午前。モントゴメリーにバスが着くと、そこにはKKK団(黒人を排斥する秘密結社)が待ちかまえていた。白人大学生ジェームス・ズワーグが降りると、数人の暴徒が「黒ん坊びいきのこせがれをたたきのめしてやれ!」と叫びつつ、彼につかみかかって打倒した。そして何一つ抵抗しない彼に殴る蹴るの暴行を加えた。警官がやってきたが助けようともせず、たっぷり20分ほど暴徒のなすがままにさせてから、初めて催涙弾を使って暴徒を追い散らした。この時、KKK団によって同じく暴行を受けた黒人大学生ウィリアム・バービーは5針も縫うほどの重症を負ったのだった。この日は一日中暴力が荒れ狂い、ついには関係のない黒人まで巻き添えにされ、頭から灯油をかけられ火だるまにされる事件が起きた。

キングは深い憂いを心に抱きつつ、アバナシーの教会で「自由のためのバス運動」の運動員のために集会を開いた。この時、1200人もの黒人が集まった。すると、郊外から白人が車をつらねて教会に乗りつけ、その周辺にたむろする人々と合流し、あっというまに数千人の群衆が教会を取り囲んだ。彼らの目は殺意と残虐性にギラギラ光っていた。やがて彼らはビンや舗道の石をはいで投げ付け、窓を割り、会衆の一人を傷つけた。

「さあ、手をつないで賛美歌を歌いましょう」とキングが言い、会衆は歌い始めた。さすがに駆け付けてきた連邦保安官は催涙弾を使って群衆を追い散らしたが、一部の者たちはまだ投石を続けていた。この時、ワシントン政府の命令で州兵が多数出動し、ようやく暴動は収まった。教会の中ではキングを中心にして会衆が、混み合った暑苦しい空気の中で夜を徹して祈り、賛美をしていた。

こうした彼らの苦難と苦闘は決して無駄ではなかった。米国社会は「人種差別」の深刻さに初めて目が開かれたのだった。11月1日以後、長距離バスは車内に次のような表示を掲げた。

「州商業委員会の命により、座席には人種、肌色、信条、国籍の区別なく座ることを許可します」

バスターミナルにも同じような表示が出され、ついには切符にも印刷された。こうして「自由のためのバス運動」は暴力に勝った。

その後キングは、さらなる黒人の地位向上のためにデモ行進を計画したウィリアム・アンダーソンに協力するため、アバナシーと共にオールバニーに赴いた。町に着くと3人は先頭に立ち、「人種差別撤廃」の旗印を掲げて大通りを行進した。しかし、無許可のままデモ行進をした罪により直ちに投獄された。自宅でテレビを見ていたキングの6歳になる娘は、父親が逮捕されるのを見て泣き出した。すると、コレッタ夫人は言い聞かせた。

「お父さんは、気の毒な人を助けるために行ったんですよ。もっとたくさんの人を助けなくてはならないの。でも、きっと帰ります」

■ 非暴力で差別と闘った人: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)(12)

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:マーティン・ルーサー・キング
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