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非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯

非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(11)山頂から谷間に下る

2015年12月10日16時32分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:マーティン・ルーサー・キング

1965年1月。キングはSCLC(南部キリスト者指導会議)のメンバーと共にウエスト・サイドのローンディールというスラム街を視察した。ここは14万にも上る住民のうち失業者が大半を占め、麻薬中毒者や追いはぎ、やくざなどが町にたむろしていた。彼らは貧困に打ちひしがれ、より良い生活への希望を諦めてしまっていた。

キングは、このような人たちこそ自分の真のきょうだいであることを感じた。そして、あたかも最後の使命に導かれるかのように、家族をアトランタに残し、彼らと生活を共にするために古いアパートを借りて移り住んだ。

「ノーベル賞を取るような人が、どうしてわざわざこんな吹き溜まりのような所に住むんですか」と、インタビューで尋ねられたとき、彼は答えた。

「何千何万というきょうだいたちが惨めな状態に置かれているのに、自分だけ特権を持つつもりはありません」

キングとSCLCのメンバーが来たことで、どん底生活をしている人々の間に希望のようなものが生まれてきた。1月早々、「スラム街をなくそう」という標語がウエスト・サイドの居住地にくまなく掲げられた。そして、レンガ塀といわず、レストランの看板といわず、ビルの廊下といわず、美しく印刷されたビラやチョークで書かれた標語が張り出された。

人々は、自分たちの住居や町をきれいにすることに励むようになり、少しずつではあるがスラムは改善されていった。3月の初め、自動車労働組合が従業員を送ってくれて、彼らは4日間にわたり間借り人を「スラム撲滅連合」に加入させ、家主たちと修理や改築の交渉をするために精力的に働いた。一方、キングたちは「自由祭」というイベントを計画し、ハリー・ベラフォンテやマヘリア・ジャクソンなど高名な歌手を招いてコンサートを開き、資金を集めることに成功したのだった。

この頃アメリカは、ベトナム戦争に突入しており、多くの若者たちが戦場に送られる中、各地で反戦運動が高まっていた。育児学の権威者であるベンジャミン・スポック博士とエール大学教授ウィリアム・スローン・コフィンはベトナム戦争に反対し、ワシントンに集まった1万5千の群衆を前に演説した。この時コフィンは、キングから託されたメッセージを読み上げた。

「戦争の拡大は、国内の福祉計画を縮小させ、白人、黒人を問わず、貧しい人々に戦場や銃後で最悪の重荷を負わせるものです」

反戦運動をしているうちに、またしても痛ましい事件が起きた。ミシシッピー大学に、差別を受けながらもただ一人だけ入学を許された黒人学生ジェームズ・メレディスが、ミシシッピー州を一人で行進すると宣言し、メンフィスを出発したところで狙撃され、重傷を負ったのである。キングは彼が撃たれた国道51号線沿いにバーナントまで、ハイウェー・パトロールが見守る中、仲間たちと腕を組んで行進した。

フィラデルフィアに入ると、例の3人の学生――チェニー、グッドマン、シュワナーが殺害された現場に行き、祈りをささげた。それから目抜き通りに差しかかると、白人たちが押し寄せてきて野次を飛ばしたり、サクランボの種を投げ付けたりした。そのうちに白人の少年たちが群れをなしてやってきて、デモ隊員に殴り掛かったり、石をぶつけたりし始めたので、キングは大統領に電報を打って保安官を派遣してほしいと要請したが、保安官は来なかった。

キングたちがトラックからテントを降ろし始めると、待ち構えていた州の警官や保安官たちがいっせいに催涙弾を発射した。黒人たちを守るはずのハイウェー・パトロールもそれを止めるどころか、一緒になって黒人に暴行を加え始めたのである。

「黒ん坊め! これでもくらえ!」。州兵の一人がガスにまかれてよろめく黒人女性の脇腹を蹴飛ばし、彼女が倒れるとその体を踏み付けた。それを止めようとした白人医師のチャールズ・メイヤーは警官に銃の台尻で殴られ、両手を折られた上に胸の片方をつぶされてしまった。

7月6日。キングは4万5千の群衆を率いてソルジャーフィールドからシティホールまで行進し、ダリー市長に「人種平等のための計画書」を提出した。そしてその後ワシントンに行き、テレビを通じて人々に語り掛けた。

「みんなの心が開けたら、白人と黒人は隣り合って住むこともできるのです。そしてその日、本当の自由が与えられるのです」

ここにおいて、ようやく市当局も改善に乗り出し、8月26日、キングとデリー市長の会談が実現した。そして差別撤廃の協定が成立したのであった。

■ 非暴力で差別と闘った人: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)(12)

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:マーティン・ルーサー・キング
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