Skip to main content
2025年11月3日22時54分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯

非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(3)バス・ボイコット運動の始まり

2015年8月14日07時21分 執筆者 : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:マーティン・ルーサー・キング

1955年12月1日。下町のデパートでお針子をしているローザ・パークス夫人は、帰宅しようとバスに乗った。そして、同僚である3人の黒人と一緒に白人専用席のすぐ後ろの席に座ったところ、間もなく大勢の白人がどやどやと乗り込んできた。すると運転手は彼女に後ろの席に行くよう命令した。他の3人はすぐにそうしたが、彼女はとても疲れて足が痛かったので立たなかった。

「降りろと言ってるんだ!」。運転手は怒鳴りつけたが、彼女はそうしなかった。すると運転手は降りて警官を呼んできた。警官は乱暴に彼女を縛り上げて警察に連行した。そして、市の「人種差別条例」違反の罪で12月5日裁判にかけると言い渡し、ひとまず帰したのである。

パークス夫人は人柄もよく、誰にも好かれていたので、これを聞いた黒人たちは怒った。悩んだ末に、彼女は「寝台ポーター組合」の活動家E・D・ニクソンに相談した。

「こんな非道なやり方ってありませんよ」。憤慨したニクソンは、第一バプテスト教会牧師ラルフ・デービッド・アバナシーに訴えた。キングとは同じ聖職者として地元の人のために活動し、「ラルフ」「マーティン」と呼び合うほど親しい仲であったアバナシーは、すぐさまキングの所に飛んでいった。

「夫人逮捕に抗議してバスのボイコット運動をしたらどうかとニクソンは言うんだがね」。アバナシーの提案にキングは賛成した。この時、キング家は長女ヨランダの誕生のためにあわただしかったが、彼は即座に運動の準備に取りかかった。

「12月5日。出勤、買い物、登校、その他どこへ行くにもバスには乗らないこと」。教会でこのようなビラが7千枚以上印刷され、黒人たちにくまなく配られた。地元の白人誌『モントゴメリー・アドバタイザー』は、このビラを入手し、すぐさま宣伝したので、ボイコット運動は盛り上がった。このデモに賛成し、参加を表明した者の中には各界の有名人も多く、MIA(モントゴメリー地位向上協会)という委員会もできた。彼らは市内の黒人タクシー会社と折衝。200台のタクシーを動員してバス代と同じ10セントで市内のどこへでも乗せてもらうようにした。

そして、その日が来た。6時の始発バスは空っぽだった。2台目も3台目も乗客は一人も乗っていなかった。キングは自分の車を動かして偵察に出かけた。ラッシュアワーだというのに、30分見回っても、行き合ったバスに乗っていた黒人はたった8人であった。

「素晴らしい!」。キングは、MIAのメンバーと共に法廷に乗り込んだ。パークス夫人は有罪の判決を受け、10ドル以上の罰金刑となった。

その夜キングは、会合が持たれたホルト・ストリート・バプテスト教会で4千人近い黒人たちを前に語った。

「今夜われわれがここに集まったのは、これまで長い間差別され、侮辱され、虐待されてきたことにもはや耐えられないということを、身をもって示すためであります。民主主義の栄光の一つは、権利のために抗議することです。白人市民会議やKKK団(黒人等を排斥するための秘密結社)は私たちの抗議に耳を貸さず、この社会に人種差別という悪を永続させるために必死で妨害しています。しかし、われわれの抗議の方法は彼らのやり方とは違うことを見せなくてはなりません。われわれは、十字架を焼いたり、白人を家から引きずり出して殺害したりするようなまねはしません。脅迫も侮辱もしません。私たちはキリスト教の深い教理に従って行動しなくてはならないのです。今ここで、幾世紀を隔てて、再びイエスの言葉に耳を傾けなくてはなりません。『あなたの敵を愛しなさい。あなたを呪う者を祝福しなさい。あなたを虐げる者のために祈りなさい』――これであります。いかに不当な扱いを受けようとも、恨みを抱いて白人のきょうだいを憎むようなことをしてはならないのです」

拍手喝采は会堂を揺るがせた。

『ミネアポリス・スター』紙の記者カール・コーワンは、バス・ボイコット運動は毎日95%の成功率を示していると報じた。黒人たちは、今や共通の目標のために一致団結したのだった。車を持つ人は使用人を乗せてやり、タクシーに乗れない人は毎日10キロ以上もある道を歩き通した。そんな時、ジュリエット・モーガンという白人の老婦人が黒人たちのボイコット運動をガンジーの無抵抗主義のそれになぞらえ、その崇高な精神をたたえる一文を『ザ・モントゴメリー・アドバタイザー』誌に投書し、これが掲載されたことから、キングたちの運動は一躍世界の注目を集めたのだった。

■ 非暴力で差別と闘った人: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)(12)

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(イーグレープ、2015年4月)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:マーティン・ルーサー・キング
  • ツイート

関連記事

  • キリスト教出版のミライは!? 若手書店ボーイと牧師がトークライブ

  • 贖罪論なきキリスト教は可能か?  関西学院大学で高橋哲哉氏が講演

  • キング牧師描いた映画『グローリー』予告編公開 ドラマはJ・J・エイブラムスが製作(動画あり)

  • キング牧師、その比類なき伝説

  • オバマ米大統領、イースター朝餐祈祷会で演説 「愛のない」表現に懸念も

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 花嫁(36)薄明かりの祈り 星野ひかり

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(31)夢の中での再会

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(6)恐れずに主の導きに従う 加治太郎

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 花嫁(36)薄明かりの祈り 星野ひかり

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • ワールドミッションレポート(11月2日):エジプト 福音の力—何世代にもわたる暗闇を撃破(2)

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.