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わが人生と味の道

わが人生と味の道(5)卑屈な少年 荘明義

2015年5月22日06時25分 コラムニスト : 荘明義
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卑屈な少年

やがて父親が、不安定ながらも何とか職を得たので、また私たち家族は一緒に暮らすことができるようになりました。私もその年の春には小学校に通い始めたのですが、ここもまた戸惑うことの多い世界でした。51人の生徒の中で外国人は私だけだったのです。日本語があまりよくできなかった私は、友だちとうまく話ができず、自分の気持ちを相手に伝えることも容易でなかったので、なかなか友だちができませんでした。向こうから話しかけてきた友だちに対しても、自分の気持ちが伝わらないのではないかと恐れて、親近感を表すことができず、相手は離れていってしまいました。

「あの子、変な子なんだよ。仲良くしようと思って話をしても何も言わないし、変な目でこっちを見るんだよ」「もう遊んでやらないほうがいいよ。あっかんべえーっ!」

私は学校ではいつも一人ぼっちでした。そして仲間はずれにされた私は、そのうちいじめられるようになりました。彼らは私が外国人だからいじめる――というのではなく、私が親近感を見せないから、そして友だちらしい会話ができないために、気取ってお高くとまっているものと思っていじめたのでしょう。今のように一人を集団で徹底的に痛めつけるような陰湿ないじめはなかったものの、嫌味を言われたり、悪口を言われたり、口汚くののしられたり、持ちものを隠されるということは始終ありました。また、「ガキ大将」とよく言われる子どもたちのリーダーが、子分を連れて学校の帰りに待ち伏せをしていて、わざと家までついて来たり、私が怒って向かっていくと、一斉に飛びかかってきて、足をすくって転ばせたりすることもあったのです。

こんなことから、小学校の3年生になったとき、私はもう学校に行くのが嫌になりました。でも、休むと言えば両親に心配をかけるので、朝カバンを持って「行ってきます」と言って家を出、そのまま学校に行かずに公園で遊んでいました。このようなことが続いたので、当然学校の授業についていかれなくなって成績は目に見えて下がっていき、当時としては珍しく2年続けて落第をする――という事態になりました。それは、2年下の弟と同じ学年になったということで、これはずいぶん恥ずかしいことでしたが、私は弟といっしょに勉強することになったのです。

この時、国語の先生でとても熱心な先生がいました。この先生は私のことを気にかけて、特別に見てくれることになりました。この先生の素晴らしい所は、決して知識を無理やり詰め込むということをせずに、なるべく授業が面白く感じられるように、教科書からの勉強だけでなしに、色々な訓話や物語を聞かせてくれたことでした。例えば、日本や世界の名作が教科書に載っていたとすると、それを書いた人の話や、その人が生きた時代のことなどを分かりやすく話してくれるのでした。特に私の胸を打ったのは、志を立てて、逆境にも負けずに努力して世のため、人のために尽くした偉人の話でした。細かなことは記憶に残っていませんが、この先生が次のような言葉で励ましてくれたのを覚えています。

「立派なことをする人は、みんな子ども時代に悲しいことや苦しいことがあってもそれに打ち勝ち、乗り越えてきた人なのだよ。子どものときに苦労した人というのはね、それが宝物になって返ってきて、その人を磨き上げるのです」

不思議なことに、この先生に勉強をみてもらうようになってから、私は勉強が面白くなってきたのです。そして、国語だけでなしに、他の学科も好きになり、その知識を学びたいという欲求が湧いてきたのでした。こうして、私は遅れた成績も取り戻し、2年間のギャップを埋めて、何とか小学校を卒業することができました。

同じ年の春。私は弟と一緒に中学に入学しました。このころ、父親はようやく田村町にある四川飯店という中華レストランに職を得たのですが、父1人の収入では家計が苦しく、それで家族全員が生活していくのは難しい状態でした。その時父は、そのレストランで一緒に働いていた今は亡き陳建民先生に相談したようです。陳建民先生は、日本に初めて「麻婆豆腐」を紹介して有名になり、その他多くの四川料理をもって日本人に親しまれている偉大な人です。彼は父から相談を受けるとこう言いました。

「きみには2人の男の子がいるんだろう? どっちかの手に職をつけさせて、将来の糧にしたらどうかね」

それから間もなく、弟は勉強が好きで成績も良かったので、父は私にこう言いました。

「お前、どうしても今の中学にずっと通いたいならお父さんはもうこんな相談をお前にしないが、どうしても――というのではなかったら、少し働いて家計を助けてくれないかな」

私はもともと勉強がそれほど好きというわけではなかったし、そんなに良くできるというわけでもなく、学校生活にそれほど未練があるように思えなかったので、承知しました。

「いいよ、お父さん。僕、働くよ」

こうして私は中学校を辞め、父の借金返済の穴埋めと家計を助けるために、田村町の四川飯店にコックの見習いとして行くことになったのでした。

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◇

荘明義

荘明義(そう・あきよし)

1944年中国・貴州省生まれ。4歳のときに来日、14歳で中華料理の世界に入り、四川料理の大家である故・陳建民氏に師事、その3番弟子。田村町四川飯店で修行、16歳で六本木四川飯店副料理長、17歳で横浜・重慶飯店の料理長となる。33歳で大龍門の総料理長となり、中華冷凍食品の開発に従事、35歳の時に(有)荘味道開発研究所設立、39歳で中華冷凍食品メーカー(株)大龍専務取締役、その後68歳で商品開発と味作りのコンサルタント、他に料理学校の講師、テレビや雑誌などのメディアに登場して中華料理の普及に努めてきた。神奈川・横浜華僑基督教会長老。著書に『わが人生と味の道』(イーグレープ)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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