【寄稿】紛争を武力で解決する国際貢献ではなく 日出忠英

2015年5月21日16時06分 執筆者 : 日出忠英 印刷

現在、日本の政治は、戦争に加担できる国、戦争ができる国へと着々とレールが敷かれつつあります。それに対して「無関心」「平和ボケ」したと言われないために、ここで、先の戦争について、特に戦場となった地域をまず見てみますと、北はアラスカに近いアリューシャン列島(アッツ島ほか)から、南はオーストラリア大陸のすぐそばのガダルカナル島までで、一方大陸は、中国本土、またインド国境からビルマ、タイなどのインドシナ半島、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、パプアなどの南洋諸島に至るまでの広大な地域に日本の軍隊は出ていって戦いました。この事実を見て、「侵略戦争」ではなかったなどと、誰も言えないと思います。

一方で、敗戦が色濃くなった日本国内はどうだったのでしょう。地上戦となった沖縄で日本軍は完敗し、沖縄県民も4人に1人が犠牲になったといわれます。アメリカ軍も多数の死者、負傷者を出し、これ以後、アメリカ軍は戦術を転換し、軍艦からの艦砲射撃と空爆に切り替えました。そして、北海道から鹿児島まで、全国津々浦々、さらに内陸部も、400カ所以上の市町村が艦砲射撃と空襲を受けました。日本の木造家屋を焼き払うために研究開発された焼夷弾が、雨霰(あられ)と投下され、全国各地が焼野原になり、逃げまどう人々を低空飛行で機銃掃射し、虫けらのように民間人も無差別に殺されました。死者は約50万人といわれます。そして、広島、長崎に原爆が投下されました。戦後70年、自分が今住んでいる町が空襲を受けたことを、どれくらいの人が知っているのでしょうか。私は3歳の時の気仙沼での空襲の経験を記憶しています。アッツ島では日本軍最初の玉砕となり、ガダルカナル島も激戦で敗北し、最後はほとんどが餓死、病死で、死んだ戦友の肉を食べる者まで出たとのことです。これが戦争の現実です。

ところで、日本国憲法は、制定された当初は世界でも珍しく注目されましたが、今ではその「平和主義」「国際協調」「戦争放棄」は、多くの国々の憲法に影響を与えています。

1999年、オランダのハーグで世界100カ国以上から700以上のNGO、1万人が集まった「ハーグ平和市民会議」で、「各国議会は、日本国憲法第9条のように、自国政府が戦争することを禁止する決議をすること」と基本原則第1項で述べられ、また2000年5月の「国連ミレニアム・フォーラム」で「全ての国が日本国憲法第9条で述べられる戦争放棄の原則を自国の憲法において採用すること」が確認され、08年5月、第9条の理念を世界共通のものにする目的で「9条世界会議」が日本の幕張メッセで開かれ、約2万人が参加しました。また、「東南アジア友好協力条約」では、「武力による威嚇、または武力の行使の放棄」を基本原則にするなど、アジアの国々に、そして世界の国々に9条の理念が広まっています。私たち日本人は、このような世界の動き、流れをどれだけ知っているでしょうか。

紛争が起き、武力でそれを解決する国際貢献ではなく、紛争の原因となる貧困や外部からの圧迫に苦しんでいる地域、国々に人道援助をして助け、また外交努力で不当な圧迫をやめさせるように努力することを、まず日本は平和貢献として取り組むべきではないでしょうか。

(文・日出忠英=岩手県、73歳)

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