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貧民救済に命賭けて

貧民救済に命賭けて―山室軍平の生涯(7) 救世軍に身を投じる

2015年5月20日12時06分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:山室軍平救世軍ウィリアム・ブース植村正久

明治28年(1895年)10月半ば、軍平は救世軍本営のライト大佐に面会に行く。ライト大佐はすぐに彼に入隊を勧めた。しかし、彼はもう少し勉強をしてから入隊したいと思った。そこで神田三崎町の伊藤為吉(いとう・ためきち)というクリスチャンの所に行き、大工の修行をさせてもらいながら少し暇があると病人を訪ねたり、貧しい人に食物を届けたりと愛の奉仕をした。そして、夜になると救世軍の本営に出かけて行き、勉強させてもらった。

ある時、ライト大佐は彼に、救世軍の創設者であるウィリアム・ブースが書いた『軍令および軍律』という本をくれた。それを読んだ瞬間、軍平は彼らの大きな理想と、実を結びつつある社会事業の働きを理解し、驚嘆した。

「この救世軍こそ、日本を救い、民衆を正しく導くものだ。自分が長い間それと知らずに探し回っていた命の捨て所は、この救世軍でなければならない」

今になって、やっとそれに気づいたのだった。彼は、社会的弱者を救済することをその活動の土台とする救世軍と、自分の理念がぴったり一致するのを覚えた。そこで、伊藤為吉にわけを話して暇をもらうと、本営に出向いた。「今から私は、全てをささげます。救世軍の士官にしてください」。その言葉に、ライト大佐は非常に喜んだ。

軍平は、当時盛んに集会が行われていた新橋の会館の一室を借りて住み込み、そこの下足番として使ってもらうことになった。こうして明治28年12月1日。23歳にして軍平は救世軍人になった。

彼の熱心な働きは他の士官たちの注目するところとなり、次第に彼は信用されて重要な仕事を任されるようになった。翌年1月3日。彼は中尉に命じられ、士官養成所に配属された。初めの仕事は、いろいろな出版物の翻訳だった。今まで苦労してきたので、相当の語学力がついていたが、まだ一冊の本を訳すだけの能力は彼になかった。そんな時、あの植村正久牧師を訪ねて協力を求めると、牧師は喜んで力を貸してくれた。

軍平はその年の5月に大尉に昇格した。その頃から、彼は日本人の手による救世軍の事業というものをもっと発展させる必要があると感じ始めていた。当時の伝道事業としては、東京第1軍営、東京第2軍営、東京第3軍営、横浜軍営、八王子軍営、岡山軍営などがあり、盛んに集会が催され、多くの人が救われた。社会事業としては、出獄人救済所と水夫館があり、本営は京橋の新富町、後に南金六町に移った。軍平は、全ての事業のために寝食を忘れて働いた。その頃になると、友人の矢吹幸太郎(やぶき・こうたろう)が入隊し、少し遅れて高城牛五郎も志願してきて、共に大尉になった。

救世軍が発行した機関紙『ときのこえ』もよく売れた。一人の出獄者が自分の体験談を『ときのこえ』に載せたのをある有名な新聞が取り上げて報道したことから、一躍救世軍の名は世間に広まった。今まであざ笑っていた人々も、この一団がサーカスか何かの見世物ではなく、日本を救おうとして命がけでやって来た団体であることを知って心を打たれた。また、ある船乗りが自分の体験談を語ったことが世間に広まり、いよいよ救世軍の名を高めることになったのである。

救世軍人たちが外を歩いていると、名も知らぬ人が頭を下げたり、「ご苦労さまです」と声をかけて通ったりするようになった。ある時など、立派な紳士が丁寧にあいさつすると、その場で50円の寄付をしてくれることもあった。しかし、また一方では誤った考えを持つ人もいて、出獄者を引き取って面倒を見ている軍平を前科者のように思ったらしく、「山室は前科者の親玉だ」と言う人もいた。しかし、軍平は何と言われても平気だった。

明治30年(1897年)6月1日。軍平は『ときのこえ』の編集主任に選ばれた。彼は昔心に抱いた願いを決して忘れることがなかった。

(福音は一般大衆のものだ。だから彼らに分かりやすい形で伝えなくてはならない)

あの築地活版所にいたとき、キリスト教は難しくて分からないと言って去って行った同僚の寂しそうな姿を彼は忘れることができなかった。今こそ、その福音を大衆の手にじかに届ける機会が与えられたのだ。彼は少しでも一般の人の目を引くように紙面を美しく飾り、きれいな挿絵を中に入れるようにした。また、文章も分かりやすく、感動的にキリストの福音を紹介した。このために、『ときのこえ』は飛ぶように売れた。

また、軍平は日本の救世軍の経済的自立――つまり日本の救世軍人が自活しながら日本独自の戦いを社会の中でしていく必要を感じ始めていたのだった。(続く:平民の福音)

■ 貧民救済に命懸けて:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(イーグレープ、2015年4月)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:山室軍平救世軍ウィリアム・ブース植村正久
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