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貧民救済に命賭けて

貧民救済に命賭けて―山室軍平の生涯(4) 人生の転機

2015年4月6日20時18分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:救世軍山室軍平留岡幸助石井十次

明治21年(1888年)9月。軍平は築地活版所を辞め、伝道学校に通うことになった。築地福音教会の会員で実業家の山中孝之助(やまなか・こうのすけ)という人が彼の生活を助け、学校に行って学ぶようにと勧めたからであった。彼は講義の合間を見ては路傍伝道をして歩き、九段から上野、両国橋へと足を延ばして説教した。

この日もパンフレットを配りながら九段へと足を向け、ある町角まで来たときである。彼はいきなり警察に呼び止められた。「おい。おまえはこの辺りで人を集めて話をしているが、一体何をしているんだ」

そう言ってパンフレットを引ったくり、ペラペラとめくって目を通した警官は、ちょっと来いと言って交番に引っぱって行った。そして聖書を取り上げ、色々と質問をしていると、そこに来合わせた人がこう言ってくれた。「この人はよく見かけますが、政治運動なんかするような人ではありませんよ」。その言葉を信用した警官は、「帰ってよろしい」と言って聖書を返してくれた。

軍平がお礼を言うと相手は身分を明かした。彼は銀座二丁目にある「サマリタン会」という福祉施設で、病人やけが人、生活を持ち崩した人や、貧しく生活力のない人などの世話をしている北島剛(きたじま・たけし)というクリスチャンの医師だった。彼は軍平に、患者たちを元気づけるために何か話をしてやってほしいと頼んだ。「人生のどん底を見てきた人ばかりなので、彼らは何ひとつ希望が持てないのです」。軍平は承知して、彼の後について行った。

その建物に足を踏み入れたとき、彼は不思議な感動を覚えた。このような社会事業の施設を初めて見たわけであるが、粗末な小屋のような建物と不潔なベッド、むっとするような臭気、そして横たわっている病人たち――そうしたもの全てが、神の栄光のまばゆい光を受け、福音の中に溶け込んでいるのを感じた。彼は、ベッドからベッドへ足を運び、これらの打ちひしがれた人々の手を握りながら、慰めの言葉をかけて回った。それから、体内から湧き上がるような力に動かされて、力強く語り始めた。

「みなさん、心配することは少しもありません。私たちの主(あるじ)キリストはひとたび死なれたが、よみがえり、今も私たちと共にいてくださるのです」

彼らは目を輝かせて聞き入っていた。こうして軍平は、伝道学校で学ぶ傍ら、このサマリタン会でしばらく奉仕を続けることになった。

明治22年6月。同志社大学で第一回の夏季学校が開かれることになり、全国から青年たちが集まった。軍平もかねてから尊敬していた新島襄(にいじま・じょう)が講師の中に入っていたので、あり金をかき集めて京都に向かった。

「今こそ日本全国の青年は立ち上がり、神の国建設のためにその若い力を余すところなく注ぐべきであります。一本の薪(まき)はいくら勢いよく燃えてもすぐに燃え尽きてしまう。しかし、たくさんの薪が集まれば、さかんに火は燃え続け、その勢いはますます大きくなってゆくのです」

新島襄は、こう言って青年を奮起させた。この夏季学校は、軍平に忘れられない印象を与えた。

夏季学校が終わると、軍平は友人になった吉田清太郎(よしだ・せいたろう)と一緒に岡山へ伝道に行くことになった。本郷村の家族のところに立ち寄ると、親兄弟は立派になった軍平の姿を見て喜び、大歓迎であった。彼は立ち去り難く、一週間以上もそこに滞在してしまった。

再び清太郎と合流した軍平は、高梁(たかはし)という町に伝道に出かけた。この伝道で郵便局長横尾幸完(よこお・こうかん)の妻亀子がクリスチャンになり、町の人々に大きな影響を与えた。また、後に刑務所を改善した留岡幸助(とめおか・こうすけ)の父、金助がキリスト教を受け入れるという大きな成果を得ることもできた。

最後に、2人は岡山孤児院を訪ね、石井十次(いしい・じゅうじ)の事業に大きな感銘を受けた。

「社会事業というのは、ただ憐れみや、単なる慈善の気持ちだけではできません」。石井は2人を中に案内し、隅々まで見せてくれた上でこう言った。「自分が本当に小さな者たちと連帯感を持てるかどうか。彼らの悲しみに泣き、その喜びを自分の喜びとすることができるかどうか――その確信を持たない限り、この仕事は続けられないでしょう」

軍平は、感動のあまりその懐をさぐって財布を出すと、中にあった20銭を残らず寄付してしまった。そして、この石井十次の言葉を深く心に刻み付け、生涯忘れることがなかったのである。(続く:飲まず食わずの日々)

■ 貧民救済に命懸けて:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(最終回)

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(イーグレープ、2015年4月)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:救世軍山室軍平留岡幸助石井十次
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