神の存在証明(4)インマヌエル・カントによる神の存在証明 山崎純二

2015年3月20日06時23分 コラムニスト : 山崎純二 印刷
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インマヌエル・カントによる神の存在証明

今回は、今までも少しずつ触れてきた、4つの「神の存在証明」をまとめて紹介したいと思います。箇条書きにすると拍子抜けするほどシンプルですが、これらは人類の英知の結晶と言えるかと思います。

【4つの存在証明の概要】(※)

  1. 目的論的証明(自然神学的証明):世界が規則的かつ精巧なのは、神が世界を作ったからだ。
  2. 本体論的証明(存在論的証明):「存在する」という属性を最大限に持ったものが神だ。
  3. 宇宙論的証明:因果律に従って原因の、原因の、原因の・・・と遡っていくと根本原因があるはず。この根本原因こそが神だ。
  4. 道徳論的証明:道徳に従うと幸福になるのは神がいるからだ。

なぜこれらが人類の英知の結晶かと言えば、それはこれらが比類なき天才たちが理性の限り議論を戦わせた末の結論だからです。この議論に加わった人々を列挙しろと言われると、紙面が足りなくなるほどかと思いますが、中でも中世の大哲学者インマヌエル・カントを知らない人はいないでしょう。

彼はかの「純粋理性批判」という独自の理論により、理性によってはどのような方法を用いても神の存在も不在も証明することはできないと結論づけました。その概要は、カント独自の理論やドイツ語の言葉の用法などのゆえに非常に分かりづらいのですが、私なりに説明させていただくと、このようなものです。

「理性自体や『神の存在』に関することは、理性で扱える範疇外のものである」

彼はデカルトのように、全てのものが疑い得るものだとしたのではありません。日常の経験に基づく一般的な認識に関しては、それを妥当だとしました。しかし彼は、「理性自体」や「神の存在」に関することは、理性の認識能力の範疇にはなく、それらを語ることは、理性の「僭越」だとしたのです。

カントはこの理論により、それまでにあった最初の3つの「神の存在証明」を退け、「実践理性批判」の中で独自の証明法を打ち出していきます。それは、「道徳論的証明」と言われるものですが、彼はこのように説明します。

道徳に従うことが善いことである。そして道徳に従う者には相応の幸福が与えられなければならない。人が道徳に従い、それに応じた幸福が与えられることこそが、完全な意味の最高の「善」である。しかしそれが実現するためには、その幸福を与える神の存在がぜひとも「要請」されなければならない。

日本風に言うと、「『お天道様が見ているから、真っ当に生きなさい』と言えるためには、お天道様が実際に存在しなければならない」という感じでしょうか。

つまり彼は、これこれこうだから「神が存在する」と理性的に帰結したのではなく、パズルのように世界の全てのピースを当てはめた結果、最後に残った空白に「神」というピースが当てはまるはずだと思惟 (denken)したのです。認識(erkennen)したのではなく。もっと言うと、「神が存在しないと具合が悪いので、ぜひともいてもらわないと困る」という感じです。

しかしどうでしょう。「要請されなければならない」とか「思惟する」と言われて「なるほど」とうなずけるでしょうか。納得される方もいるかもしれませんが、私は個人的には4つの「神の存在証明」の中で一番弱い理論だと感じます。もう一人の大哲学者であるヘーゲルが、カントの「道徳論的証明」を「ずらかし」として批判したのも、ちょっと頷けるかなという感じです。

とは言え、哲学を語るにしても、「神の存在証明」を語るにしても、インマヌエル・カントをスキップすることはできません。この人物の影響を非常に多くの人が受けていくことになったのですから。

結果的に、これはデカルトの場合と同様の現象ですが、人々はカントによる神の存在証明よりも「純粋理性批判」を熱狂的に受け入れました。結果、残念ながら「神の存在」を否定する人々が徐々に増えていくことになります。

今回は「道徳論的証明」に納得されないにしても、偉大な大哲学者であるインマヌエル・カントが「神の存在証明」をも試みた人物であることだけでも押さえておいてください。ちなみに、彼の名前である「インマヌエル」というのは、「神が人と共におられる」という意味だそうです。

次回は「神の存在証明」の二大支柱である、「宇宙論的証明」について「宇宙人説」と共に書かせていただきたいと思います。

Wikipedia 「神の存在証明」より引用

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山崎純二

山崎純二(やまざき・じゅんじ)

1978年横浜生まれ。東洋大学経済学部卒業、カナタ韓国語学院中級修了、成均館大学語学堂(ソウル)上級修了、JTJ宣教神学校卒業、ブルーデーター(NY)修了、Nyack collage-ATS M.div(NY)休学中。韓国においては、エッセイコンテスト「ソウルの話」が入選し、イ・ミョンバク元大統領(当時ソウル市長)により表彰される。アメリカでは、クイーンズ栄光教会に伝道師として従事。その他、自身のブログや書籍、各種メディアを通して不動産関連情報、韓国語関連情報、キリスト教関連情報を提供。著作『二十代、派遣社員、マイホーム4件買いました』(パル出版)、『ルツ記 聖書の中のシンデレラストーリー(Kindle版)』(トライリンガル出版)他。本名、山崎順。

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