Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯

太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯(4)クエーカー教徒との出会い

2019年10月16日15時23分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:新渡戸稲造クエーカー

それは札幌農学校3年目、1880(明治13)年の夏だった。稲造はなぜか急に母に会いたくなったので、休暇を利用して札幌を出発した。久しぶりに旅をするのでゆったりした気分になり、あちこち寄り道をしてから、ようやく盛岡の実家に着いた。ところが母せきはすでにこの世の人ではなかった。

「電報を打ったんだけど、間に合わなかったのよ」。姉のミネが言った。「お母さん、とてもあなたに会いたがってた。でも、あなたには札幌の学校でしっかり勉強してもらわなくてはとがまんしていたの」

大きな衝撃が稲造を襲った。なぜ寄り道などしたのだろうと。いくら悔やんでも遅かった。この時以来、稲造は常に母の手紙をふところに入れて持ち歩いていたといわれている。

1881(明治14)年。稲造は札幌農学校を卒業。北海道庁に勤めることになった。彼は祖父伝の志を引き継ぐかのようにコツコツと森林を切り開き、水路を作り、荒れた土地を開墾して人々の生活が少しでも楽になるようにと必死で働いたので、庁舎の中でも評判が良く、土地の人からも好感をもって受け入れられた。

しかしながら、稲造の心の中には別の思いがあった。もっと違う形で神と人に奉仕する道を模索していたのである。1883(明治16)年5月。彼は職を辞して上京した。そして、東京帝国大学(現在の東京大学)に入学する。ここで経済学と英文学を専攻したが、これをもってしても満足できなかった。

ついに彼は渡米を決意する。この時、外山正一教授が「きみは何を目的として渡米するのかね?」と尋ねると、稲造は、こう言った。「もし天が許すなら、自分は太平洋の橋となりたいのです」

1884(明治17)年、東京帝国大学を中退した稲造は米国に渡り、アレゲニー大学を経てジョンズ・ホプキンス大学に入学した。ここで経済学、農政学、歴史学、英文学を学び、後に米国大統領となるウィルソンと親交を結ぶなど益となることが多かった。

さらに、この町で稲造は生涯を決定する重要な出来事に遭遇した。それはクエーカー派の人たちとの出会いである。クエーカー派(米国においてはフレンド派とも呼ばれる)は、平和主義と人道的社会活動で知られているキリスト教の一派である。

1886(明治19)年、彼が「ボルティモア友会」の会員として認められると、クエーカー派の婦人たちは彼を「フレンド・ミーティング・ハウス」に招いて話を聞いた。この聴衆の中に、フィラデルフィアでせっけんとろうそくの製造業を営むエルキントン家の娘メリーがいた。

この翌年、稲造はフィラデルフィアに講演に行った。この時「クエーカー派婦人外国伝道会」の会長モーリス夫人の家のティー・パーティーに招かれた。この場にメリー・エルキントンも来ており、稲造は個人的に言葉を交わしたが互いに引かれるものを感じた。

稲造はこの日のスピーチで「社会は女性の教育にもっと力を入れるべきである」と熱心に語ったのだが、メリーは心を動かされ、友人にこう言った。「私の生涯の仕事がどこにあるのかを教えてくれたのはイナゾーだけだった」と。

2人は急速に親しくなり、翌年彼がドイツに留学したときも交際は続いた。ドイツのボン大学で稲造は農政学、農業経済学を修めた後、ハレ大学において「日本外交史」を研究した。

1890(明治23)年、ハレ大学より博士号が授与される。その頃、郷里では長兄の七郎が3年前に死去したことから、稲造は再び新渡戸性を名乗ることになった。

稲造とメリー・エルキントンは結婚の約束をしたが、当然両家から激しく反対された。稲造の養父太田時敏は「日本人は異人種と結婚すべきではない」と言い、メリーの父ジョセフ・エルキントンは「娘が異人種と結婚して未開の地につれて行かれるなどとんでもない」と言った。

しかし、2人の決意は揺るがず、その年の10月30日、「アーチストリート・ミーティング」の月例会で結婚の意思を伝えた。そして12月25日、メリーの3人の弟と叔母夫妻の同意のもとに結婚が許可されたのだった。

1891(明治24)年1月1日。新渡戸稲造とメリー・エルキントンはアーチストリートの「フレンド・ミーティング・ハウス」で結婚式を挙げた。2人は1月12日、日本に旅立つためにサンフランシスコに向かう。ここに至って、2人の結婚に反対し続けた父ジョセフも妻マリンダと一緒に彼らを見送り、祝福してくれたのだった。

*

<あとがき>

東京帝国大学でさまざまな学科を学ぶうちに、突然稲造は中退して渡米を決意します。ある教授から何を目的として渡米するのかと尋ねられると、「もし天が許すなら、自分は太平洋の橋となりたい」と言った話は有名です。

この時はまだ明確な形を取っていなくても、彼の心の中には将来国際的な貢献がしたいというビジョンが形作られていたのではないでしょうか。しかし、それだけでは道は開けませんでした。ここに神の不思議な導きが介入するのです。

彼は米国でクエーカー教徒たちと出会います。平和を尊び、人道的な活動に積極的に奉仕するその信仰に深く影響された彼は、ボルティモアで会員となり、またフィラデルフィアに講演に行きます。

この時、メリー・エルキントンと出会い、互いに理解し合って結婚したのです。メリーという外国人の伴侶を得たことで、稲造はその理想にさらに一歩近づくことができたのでした。

(※これは史実に基づき、多少のフィクションが加えられた伝記小説です。)
(記事一覧ページの画像:新渡戸記念館提供)

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:新渡戸稲造クエーカー
  • ツイート

関連記事

  • ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

  • 戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(1)叫び求める声

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

  • 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(1)暗い出生

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.