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新日本語訳聖書記念連載

ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

2018年4月4日13時14分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン新改訳日本聖書協会(JBS)聖書翻訳

昨年は「新改訳」聖書を全面的に改定した「新改訳2017」が発行され、今年12月には、日本聖書協会から「新共同訳」に続く新しい日本語訳聖書として「聖書協会共同訳」が出版されます。これを記念し、日本語の聖書翻訳事業に多大な功績を残した米国人医療宣教師ジェームス・カーティス・ヘボン(1815〜1911)の生涯を、聖書翻訳事業に焦点を当てて描く新連載「ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語」を始めます。全21回、毎月第1・第3水曜日の掲載予定です。

*

プロローグ―漂流する聖書

1832(天保3)年のこと。尾張の国(現在の愛知県)知多半島沖で、日本の米輸送船が折からの暴風雨のために難破しかけていた。強風のために帆は破れ、マストが折れ、傾いた船にはどっと海水が押し寄せてきた。

「だからもう少し天候を見て船を出しやよかったんだよ」。1人が波をかぶり、咳込みながら言った。「だがよう、こんなに天気が急に変わるとは思っていなかったからなあ」。仲間も必死で舵にしがみついて喘いだ。そのうち、巨大な波が押し寄せたかと思うと、あっという間に船は転覆し、彼らは波間に投げ出された。

気が付くと、生き残ったのは3人きりだった。彼らは流れてきた材木に必死でしがみつき、海上を漂流した末、半死半生のままカナダに流れ着いた。この3人は音吉、岩吉、久吉という名の年若い商人たちだった。彼らを見つけて助け上げたのは英国人で「ハドソン毛皮」会社の船長だった。3人はこの家族に保護された。

「気の毒に。どのくらい海を漂っていたのでしょう?」。人の好さそうな船長の妻は、3人の若者に着替えをさせ、温かな食物を与えるなどして親切に世話をした。「どこから来たの?」「何ていう名前?」。船長の子どもたちは3人の漂流者に興味を持って話しかけてきたが、3人はその言葉が分からなかった。

それから半年ばかりたつうちに、すっかり3人の若者は体力を回復させ、身ぶり手ぶりで話をするようになった。それとともに、彼らはこの船長の家族に心を開き、片言の英語で会話ができるほどになったのである。

「ハドソン毛皮」会社の船長は、真剣にこの3人の今後のことを考えていた。そんな時、彼は商用でマカオに行く機会があったので、その地に滞在しているギュツラフという宣教師の所を訪れた。彼らは親しい友人同士だった。

「実は今日本から来た漂流者を預かっているんですが、今後どうしたらいいでしょう?」。船長は今までの話をしてから、3人の日本人商人のことを相談した。すると、ギュツラフは彼らに興味を持ち、ぜひ彼らの世話をし、彼らが希望するなら安全な方法で日本に帰してあげたいと言うのだった。

1834年。日本人商人音吉、岩吉、久吉は親切な船長の手でマカオのギュツラフの元に送られた。ギュツラフは中国伝道の先駆者ロバート・モリソンやメドハーストの志を継ぎ、かねてから中国各地を遍歴して中国語を学び、マカオに定住して布教を続けていたのだが、日本人のために聖書を翻訳し、伝道したいという熱い思いを抱くようになった。そんな折に、友人が日本の若者を自分に引き合わせてくれたのである。

3人の商人、音吉、岩吉、久吉は、ギュツラフの明るく温かな人柄に接し、また親切な世話を受けるうちに彼に親しみを持ち、慕うようになった。ギュツラフはかねてから少しずつ日本語を勉強していたし、3人も船長の家族と暮らすうちにかなり英語が身に付いていたので、彼らはいろいろなことを語り合った。

そんなある日、ギュツラフは3人の若者に自分の夢を語った。「私は聖書を日本語に訳して、日本で伝道したいのです。協力してくれませんか?」。すると、3人の顔は蒼白になり、震え出した。「ヤソ教の教えに触れては、帰国後どんなお咎めがあるか分かりません。勘弁願います」

しかし、ギュツラフは3人をなだめつつ、英語で書かれた福音書を彼らに読んで聞かせてから、それを日本語でしゃべらせた。そして、その日本語をつづり合わせていったのである。ギュツラフの驚くべき語学力で、間もなく『約翰福音之伝』(ヨハネによる福音書)と『約翰第一書』(ヨハネ第一の手紙)から第三書までを完成させた。そして、彼はシンガポールのある印刷所に依頼して1500部を印刷した。

日本人を送り届ける仕事は中国貿易の商社「オリファント商会」のC・W・キングが協力を申し出た。彼は心から尊敬する宣教師ロバート・モリソンの名にちなんだ「モリソン号」で3人の若者と共に出航した。

1837年7月31日。船が浦賀に着くと、港から一斉に砲撃が浴びせられた。幕府は「外国船無二念打払令」(外国船を見たら攻撃せよとの意)を出していたのである。やむなく一行は上陸を諦めて、再びマカオに引き返さざるを得なかった。そして、ギュツラフの悲願もむなしく、日本語版『約翰福音之伝』はシンガポールの印刷所の倉庫の奥深くに眠ることになったのである。

*

<あとがき>

この物語は、ヘボン博士の生涯をたどりながらも、主役は聖書です。まず、時代は天保3年にさかのぼり、海で遭難した3人の日本人の若者が波間を漂流し、カナダに打ち上げられるところから物語は始まります。

3人を助けたのは英国人の船長で、彼は3人を自宅につれてゆき、家族と共に手厚く世話をしました。そのうちに、3人は心開き、片言で英語をしゃべるようになりました。船長は彼らの将来を心配し、友人である宣教師ギュツラフに彼らを預けることにしたのです。

ギュツラフは3人を引き取り、面倒をみながら、英語で聖書を読み聞かせ、それを日本語に訳してもらいました。こうして初めて「ヨハネによる福音書」「ヨハネ第一~第三の手紙」の日本語訳聖書ができたのでした。

しかし、日本に向かう彼らにとんでもないアクシデントが待ち構えており、ギュツラフの悲願はなりませんでした。

次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン新改訳日本聖書協会(JBS)聖書翻訳
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