米メガチャーチ「グレース・コミュニティー教会」(カリフォルニア州)を半世紀以上にわたって牧会し、福音派の講解説教者として著名なジョン・フラートン・マッカーサー・ジュニア牧師が14日、肺炎のため死去した。86歳だった。同教会が公式サイト(英語)で発表した。
1939年、同州ロサンゼルス生まれ。バイオラ大学の神学大学院であるタルボット神学校卒業後、69年にグレース・コミュニティー教会に赴任。以来、56年にわたって牧会し、同教会をメガチャーチへと成長させた。就任と同時に始めたメディア宣教の働き「グレース・トゥー・ユー」(英語)によって、その説教はテレビやラジオ、ネット配信を通じて、教会外の何百万人もの人々に届けられた。
85年には、マスターズ大学(旧ロサンゼルス・バプテスト神学校)の学長に就任。翌年には、フルタイムの牧師・宣教師養成に特化したマスターズ神学校を設立し、学長に就任した。
1979年のインタビュー(英語)によると、自身で5代目となる牧師の家系で、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサーとは遠戚関係にあるという。
ベストセラーを含む数百冊の著書があり、20カ国語以上に翻訳されている。1997年出版の『マッカーサー・スタディ・バイブル』(英語)は、翻訳版を含め200万部を超える売り上げがあり、『マッカーサー新約聖書注解』(全34巻、英語)も売り上げが100万部を超える。日本では、『混迷の中のキリスト教』『イエスの福音』『聖書に登場する12人の非凡な女性たち』など、一部が邦訳本として出版されている。
2006年には、米福音派誌「クリスチャニティー・トゥデイ」の創刊50周年記念企画「過去50年で最も影響力のある説教者25人」の1人に選ばれている。
一方、ペンテコステ派や女性説教者、進化論、LGBTQ(性的少数者)の権利などに対しては否定的な見解を公に表明し、論争の的になることがあった。
また、新型コロナウイルスを巡っては、グレース・コミュニティー教会は当初、集会の開催を制限する州当局の規制に従っていたが、制限の長期化に伴い、対面での礼拝を再開するなどしたことで、州当局と訴訟に発展した。しかし、この訴訟は21年、州当局側が訴訟費用として計80万ドル(1億1800万円)を支払うことで合意し、教会側の勝訴的和解で終結した。
米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」(英語)によると、2023年1月、説教直後に呼吸困難に陥り入院。その後、計3回にわたり心臓と肺の手術を受けた。退院後も健康問題を抱え続け、昨年の大半は説教壇に立たず、今年に入ってからは説教を一度もしていなかったという。
61年間連れ添った妻のパトリシアさんとの間に4人の子どもがおり、15人の孫、9人のひ孫がいる。