米福音派神学者ジョン・マッカーサーらが「社会正義と福音に関する声明」 約7千人が署名、否定的な声も

2018年9月11日15時06分 印刷
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+米福音派神学者ジョン・マッカーサーらが「社会正義と福音に関する声明」 7千弱が署名、否定的な声も
グレースコミュニティー教会のジョン・マッカーサー牧師(写真:同教会)
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米国の福音派を代表する神学者であるジョン・マッカーサー牧師(グレースコミュニティー教会=カリフォルニア州)らが最近、「社会正義と福音に関する声明」(英語)を発表した。邦訳書も出されているマッカーサー牧師はここ最近、米国社会で広がりを見せる「社会正義」が福音に対する脅威となっていると訴え続けており、声明はその流れで出された。11日現在、約7千人の署名者が集まっている。一方、声明に否定的な声を上げる人もいる。

声明の「序文」は次のように始まる。

「現在、われわれの文化に入り込み、キリスト教会に大きく食い込んでいる、社会学的、心理学的、政治的理論を疑問視する視点から、われわれは、幾つかの鍵となるキリスト教教義と、聖書に規定された道徳原理を明確にすることを望んでいる。これらの諸問題を明確にすることは、福音を脅かし、聖書を誤解させ、イエス・キリストにある神の恵みから人々を乖離(かいり)させる危険な偽の教えの猛威から信者や教会を守る。

具体的には、世俗文化から取り入れられた価値観が、人種や民族性、男女の特性や性の分野で聖書をむしばみつつあることを、われわれは深く懸念する。これらの諸問題に関する聖書の教えは、いわゆる『社会正義』に対する懸念について、広くかつやや漠然とした規定の下に挑戦を受けている。

これらの点で聖書の教義が妥協を許さずに再確認され、擁護されない限り、これらの危険な概念や腐敗した道徳的価値は、他の領域の聖書教義や聖書的原理にまでその影響を広げると予測できる十分な理由がある」

その上で声明は、福音に関連する14の争点を挙げ、正義とは何かを含め、各争点について明確にすべき点を提示。昨年8月に米国を中心とする福音派指導者らが出した「ナッシュビル声明」と同じく、「われわれは〜を支持する」「われわれは〜を否定する」という形式で、支持または否定する価値観を宣言している。

第3項「正義」の項目では、次のように述べている。

「真の正義は文化によって定義付けることができるとか、社会によって据えられた正義の基準が聖書と同レベルの権威を持ち得るということをわれわれは否定する。また、聖書が規定する義以外のいかなる原則の下にある世の中で、クリスチャンが公正に生活できるということをわれわれは否定する。相対主義や、社会的に構築された真理や道徳の基準、また常に流動的な美徳や悪の観念が、真実の正義に至る可能性はない」

具体的には述べられていないが、声明はいわゆる「白人の罪悪感」(自分以外の白人が有色人種を差別することで白人が抱く罪悪感)などの複数の概念も取り扱っており、アダムから伝わる原罪に関連した問題は別として、人は祖先の罪の故に断罪されるべきではないと述べている。

性の問題に関しては、「同性愛のクリスチャン」という概念を否定し、聖書的な結婚を強く支持している(第10項「性と結婚」)。

「人間の性は社会によって構築される概念であるということをわれわれは否定する。また、個人の性は流動的であるということを否定する。『同性愛のクリスチャン』は聖書的に妥当な範疇(はんちゅう)であるということをわれわれは否定する。また、生涯にわたる契約としての男女一夫一婦制の結婚以外のパートナシップや結合は、それがいかなる種類のものであっても結婚と呼ばれることをわれわれは否定する。また、われわは『性的少数者』という認識の仕方を否定する。この表現は神のかたちを持つ者として創造された人間の性を尊重しておらず、文化的な分類を示す表現だからである」

また声明は、人種による隔離政策や組織的人種差別は非聖書的であるとして、強く反対している(第14項「人種差別」)。

「組織的人種差別は、福音派の歴史的信念に見られる中核的原理と調和するということをわれわれは否定する。不公平や偏見、あるいは民族性に対する蔑視を助長したり、正当化したりするために聖書を使うことが正しいとすることをわれわれは否定する。現代の福音派の活動には、特定の人種グループ(の地位)を高め、他の人種グループを従わせようとする故意の目的があるということをわれわれは否定する。また、社会問題(あるいは文化の再構築を目的とした行動主義)に関する講義が、福音宣教や聖書講解と同程度に教会生活や教会の健全性に不可欠であるということをわれわれは強く否定する。歴史的に見るなら、そのようなことは必然的に福音からの逸脱につながる要因となる傾向がある」

一方、この声明に対し否定的な意見もある。英ロンドンにあるグレースバプテスト教会のライアン・バートン・キング牧師は、声明への支持を依頼されたことを明かしつつ、4日付のブログ記事(英語)で、「善良な良心」ではこの声明を支持できないと述べている。

「私が見たところでは、この声明はシニカル(冷笑的)で誤解を招く文章です。間違った人により、間違った時に、間違ったやり方で、間違った考えや理解に基づいて書かれているのです」とキング牧師は言う。

「福音派において、聖書的な福音から偽の社会的福音への移行が起きているという趣旨のことが述べられています。『社会正義と福音に関する声明』は善意によって書かれていると思いますが、率直に言って、対象となっている人々が述べていることをまったく『理解して』いないと思います。よく言ったとしても、そういうことです。最悪の場合、聖書的な社会正義を訴え、国家や教会の悔い改め、意義深い和解を求めて叫ぶ敬虔な人々を辱め、傷つける有害な意図を表しているのです。私は、この声明が(福音的信仰の)正統性を測るリトマス紙とならないことを望みます。署名していない人たちがあたかも『健全でない』かのように見なされるべきではありません」

キング牧師はその後、保守派で知られるラッセル・ムーア氏(南部バプテスト連盟〔SBC〕倫理宗教自由委員会委員長)や、アナコスティア・リバー教会(ワシントン)のタビチ・エニヤブワイリ牧師など、著名な福音派指導者で今回の声明に署名していない人々の名前を数多く挙げ、それでも彼らが米国の人種的な罪に反対していることを指摘した。

エニヤブワイリ牧師やコーナーストーン・バプテスト教会(テキサス州)のドワイト・マキシック牧師は、キング牧師による声明の包括的な却下を称賛。マキシック牧師は自身のツイッターに次のように書き込んだ。

「キング牧師は、この声明が不要な理由をすべて明らかにしました。この文書への署名は、署名者が聖書的な社会正義(社会問題)や今日必要とされる政策提言について、本当に正しく聖書的な立場を取っているかを考える上で、一つの指標となるでしょう」

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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