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新日本語訳聖書記念連載

ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(2)運命の出会い

2018年4月18日14時37分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン

1841年夏。1人の若者がシンガポールの海外伝道協会印刷所を訪れた。彼の名はジェームス・カーティス・ヘプバーン。アメリカ人の医師だった。ノリスタウンの町で医院を開業し、同じアメリカ人のクララ・リートと結婚。生活のために捕鯨船の船医として働くためにその年の3月15日、ポトマック号で出航したのだが、クララが身ごもっていたために船酔いで流産してしまった。それで、やむなくシンガポールに下船したのである。

ここでヘプバーンは生涯の親友であり、同労者となるS・R・ブラウンと巡り合った。2人はいろいろ語り合ううちにすっかり意気投合してしまった。ブラウンは、マカオの「モリソン記念学校」で教師として働いていた。そしてこの日、ヘプバーンはこの友人に誘われて印刷所を訪れたというわけである。

その時、ヘプバーンの目は机の上に置いてある和製本仮綴の奇妙なパンフレットの上に落ちた。表紙を見ると、『約翰福音之伝』とある。「これは、日本語に訳された『ヨハネによる福音書』ですよ」。ブラウンが説明してくれた。それは縦10インチ、横8インチで、唐紙(からかみ)を使い、120ページほどのもので木版刷りだった。

ページをめくると、次の文章が彼の目に飛び込んできた。

ヨハンネスノ タヨリ ヨロコビ
ハジマリニ カシコイモノゴザル。コノカシコイモノ ゴクラクトトモニゴザル。コノカシコイモノワ ゴクラク。ハジマリニ コノカシコイモノ ゴクラクトトモニゴザル

「これは、ギュツラフという宣教師が訳した初めての日本語訳聖書です」。再び、ブラウンが説明してくれた。「どうして日本語訳の聖書がこんな所にあるのでしょう?」。ヘプバーンは首をかしげた。するとブラウンは、驚くべき話を物語った。

「ギュツラフは、難破して海の上を漂流していた3人の日本人を友人の船長から預かったとき、彼らに英語で聖書を読み聞かせ、それを日本語に訳させてから、この聖書を作ったのです。ギュツラフは心から日本を愛していました。だから日本人のために聖書を翻訳し、日本人に手渡したいと願っていたのです。しかし、彼らがモリソン号という船で日本に向かうと、幕府の役人たちは岸から砲撃をしてきたので、やむなくマカオに引き返したのです。ギュツラフは日本伝道の幻を胸に抱いたまま、それを果たせないまま、香港に行きました」

ヘプバーンは心を打たれた。ブラウンはギュツラフを知っていた。彼が勤めている「モリソン記念学校」の創立者がギュツラフ夫人だったので、ギュツラフ自身がたびたび訪れていたのである。

ヘボンは、このパンフレットの1冊を印刷所から譲り受け、ニューヨークの「長老教会海外伝道本部」に送った。彼は表紙に付箋(ふせん)をつけ、このパンフレットの成立事情を書いておいた。「難破した日本人の助けにより、ギュツラフ博士により日本語に訳されたヨハネによる福音書」

その後ヘプバーンはアメリカに帰り、1844年にクララとの間にサムエルが生まれると、ニューヨーク42番街に小さな医院を開いて働いた。その後は次々と子宝に恵まれたのだが、どういうわけかその子どもたちは皆死んでしまった。

(何が間違っていたのだろうか?)。彼は思い悩み、暗い気持ちで日々を過ごしていた。そんな時、ふと光に照らされたように次の文章が脳裏に浮かび上がった。

「ハジマリニ カシコイモノゴザル・・・」。ギュツラフが漂流した日本の若者たちに訳させた聖句である。「そうだ。自分はギュツラフの悲願を受け継いで、日本伝道に生涯をささげよう」。彼はそう決心した。そこですぐに、ニューヨークの「長老教会海外伝道本部」に手紙を書き、自分が寄贈したギュツラフ訳『約翰福音之伝』を返してほしいこと、そして自分を宣教師として日本に派遣してほしいことを願い出た。

それから間もなく、本部からパンフレットが送り返されてきて、それには「コノ者医者ノ名ノモトニ伝道ヲ行フ教師」と書かれた推薦状が添えられてあったのである。こうして、ヘボン夫妻は見えない手に導かれるようにして、未知の国である日本に向けて出航することになった。

*

<あとがき>

私たちの人生の中に働く幾つかの偶然。神の手はそれをひとつひとつ拾い集め、組み合わせて、まったく新しい人生を造り出されます。ヘプバーン(後のヘボン)は医者として充実した生活を送っていました。たまたま、彼は捕鯨船の船医としての安定した生活を求めてポトマック号に乗ったのです。

しかし、新妻クララが突然身ごもり、船酔いに苦しんだため、まったく予定していなかったシンガポールで下船しなくてはなりませんでした。ここで、偶然生涯の友となるS・R・ブラウンと出会い、意気投合します。そして、彼と共にシンガポールにある印刷所を訪れた折に、奇妙な小冊子を見つけます。これこそ、ギュツラフが、漂流した末にカナダに流れ着いた日本人の若者の助けを借りて日本語に翻訳した「ヨハネによる福音書」だったのです。

人間がいかに巧妙に人生の設計を立てようとも、これほど見事に偶然が必然に変えられる場面に立ち会うことはできないでしょう。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン
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