中国の政府公認カトリック教会、信者に国歌斉唱や国旗掲揚を命令

2019年10月3日22時37分 印刷
+中国
1605年に創建された北京最古のカトリック教会「宣武門天主堂」(通称・南堂)=2009年。政府公認のカトリック教会「中国天主教愛国会」で、現存する大聖堂は1904年に建てられた。(写真:Bridget Coila)

1日に建国70周年を迎えた中国。首都・北京の天安門広場では「中国史上最大」とされる軍事パレードが行われるなど、大規模な記念式典が開催された。一方、政府公認のカトリック教会内では、記念日前に信者らに対し、国歌斉唱や国旗掲揚を行うよう命令が出されていた。

中国政府の管理下にある2つのカトリック組織「中国天主教愛国会」と「中国天主教司教団」は、建国記念日の約3週間前の9月10日、中国のキリスト教徒は過去70年にわたる共産党の指導力に誇りを持ち、それを祝うイベントを開催すべきだと宣言する声明を発表した。声明は、中国全土のあらゆる地域の政府公認カトリック教会に出席する信者に対し、9月22日午前のミサの前に、国歌を斉唱し、国家のために祈り、国旗を掲揚しなければならないと命じていた。

中国の迫害状況を監視する米キリスト教団体「チャイナエイド」(英語)によると、この命令は現地のキリスト教徒たちの間に怒りを引き起こした。信者たちは「(国粋主義を表明させるとは)とんでもない」と怒りをあらわにしたという。

杭州市の政府非公認教会に通う周さんは、「杭州市の多くの教会は国旗掲揚や国歌斉唱を長期にわたって要求されてきました」と話す。「今、中国は不条理な時代に戻っており、一部の地域は文化大革命時代よりもひどくなっています」

また福建省出身の男性信者によると、男性の所属教会では、建国記念日を祝うために、愛国唱歌の歌唱コンテストや、書道、絵画、写真などの展示会を開催したという。

「国民は国家を愛するように強制されています」と、その男性信者は語る。「全国の教会は愛国唱歌を歌うことを余儀なくされています。愛国唱歌なんてばかげています。基本的に、愛国唱歌は文化大革命の混沌とした時代と結び付いているからです」

中国の政府公認教会に対する国粋主義表明の強要は、ますます一般化しつつある。中国共産党は教会を「中国化」しようとしており、政府の方針に合致させ、国家に献身を示すよう強制している。

河南省の教会は先月、政府の圧力で十戒を習近平国家主席の言葉に差し替えることを余儀なくされた(関連記事:「十戒」を習近平国家主席の言葉に差し替え 進む「宗教の中国化」)。命令に従わない場合、共産党に敵対していると見なされ、一部の教会は閉鎖され、別の複数の教会はブラックリストに載せると脅迫されたという。また、同省禹州(うしゅう)市では、政府公認のプロテスタント教会の牧師らが、聖書の教えと孔子の教えを融合させた新しい教本に基づいて説教を語るよう要求されるなどした。

チャイナエイドの創設者であるボブ・フー氏は昨年、米議会の公聴会で証言し、中国政府が、政府公認の2つのプロテスタント組織である「中国基督教三自愛国運動委員会」と「中国基督教協会」に対し、聖書を「中国化」する5年間計画に取り組むよう指示したと述べた。この指示には、聖書の再翻訳の可能性や聖書注解書の書き直しも含まれる(関連記事:中国公認教会、「キリスト教中国化5年工作計画要綱」を公布 聖書の再翻訳など示唆)。

フー氏によると、「聖書の中国化」計画には、仏教と孔子の教えを含む旧約聖書の要約作成や、新約聖書の新しい注解書の作成などが含まれるという。

「新しい聖書は西洋化されたものではなく中国的であるべきであり、孔子の教えや社会主義の中国的倫理を反映すべきだとする流れがあります。旧約聖書は、めちゃくちゃにされるでしょう。また、新約聖書には新たに注解書が作られます」

迫害監視団体「米国オープン・ドアーズ」が迫害のひどい国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト」(英語)によると、中国は現在、迫害がひどい50カ国の中で27番目に位置付けられている。

米国オープン・ドアーズのデイビッド・カリー会長兼最高責任者(CEO)はミッション・ネットワーク・ニュース(英語)に対し、教会に対する国粋主義の強制は、聖書の真理よりも世俗の指導者を重視させるため極めて危険だと述べた。

「(中国)政府がキリスト教徒の存在を許す場合、キリスト教信仰が『中国的』であり、政府に対して忠実であり、政府の政策を承認することを望んでいます」とカリー氏は語る。「中国の教会はそうすることを警戒しています。当然のことながら、教会の中国化は、いつかイエス様と中国政府のどちらかを選択せざるを得なくなることを意味するからです」

「中国について言うなら、教会が短期間で成熟するよう祈る必要があります」とフー氏は続けた。「中国の教会は、規模は大きいのですが、米国の教会と同じで大きくても浅い。ですから、中国の教会は(質的に)成長する必要があります。中国の教会は長期間、地下にあったため、法律や教育、政策の領域で有用な役割を果たすすべを知りません。そのため、キリスト教信仰がすべての領域に浸透しているわけではありません。中国(の教会)が健全な形で成熟するように祈る必要があります」

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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