Skip to main content
2025年10月30日20時30分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
三浦文学の魅力と底力

三浦文学の魅力と底力(3)旧宅解体と保存運動の渦の中から 込堂一博

2018年11月2日11時31分 コラムニスト : 込堂一博
  • ツイート
印刷
関連タグ:三浦綾子三浦綾子記念文学館旭川めぐみキリスト教会森下辰衛込堂一博
三浦文学の魅力と底力(3)旧宅解体と保存運動の渦の中から 込堂一博+
旭川めぐみキリスト教会での三浦夫妻

三浦夫妻から譲り受けた旧宅をいつまでも空き家としておくのは、防災などの面から心配があると指摘され、教会として旧宅をどうすべきか、判断に迫られました。一部からは、三浦文学誕生の貴重な住宅なので、「三浦綾子文学館」にしてはという声も上がっていました。

そのため私が直接、三浦綾子さんに相談したところ、「私の名前が付く文学館などつくらないでください。そんなことをしたら、先生と絶交よ」と、いたずらっぽく微笑まれて固辞されました。そのことを旭川めぐみキリスト教会の役員会に伝え協議し、三浦夫妻にも承認いただいた上で「旧宅を解体し、その土地を教会の駐車場として活用しよう」という結論になりました。

ただ貴重な住宅なので、1993年11月7日に旧宅解体式を行うことを公に発表し、新聞などでこのことが報道されました。私個人は、役員会で解体を決定したものの、せっかく寄贈してくださった建物を解体することは、三浦夫妻に申し訳なく、多少重い気持ちで日曜日午後の解体式に臨みました。

その解体式には三浦夫妻も参加され、各部屋を懐かしそうに見て回られ、その表情はとても悲しそうでした。解体式の席上で綾子さんは、旧宅の思い出を時折、声を詰まらせて語られました。解体式には、報道関係者や三浦文学ファンも何人か参加していました。

三浦文学の魅力と底力(3)旧宅解体と保存運動の渦の中から 込堂一博
解体式後、旧宅前で粉雪が舞う中での記念撮影

解体式を終えてしばらくしてから、旭川大学の山内亮史教授(後に学長)をはじめとした有志から、旧宅を解体するのではなく、保存してほしいという突然の申し出があり驚きました。有志の方々は、保存できるように一旦解体し、倉庫に保管し機会を見つけて復元したいという希望でした。14日に山内教授と教会との話し合いに入り、①家の骨格全体を保存する、②保存場所は山内教授らが確保する、の2点について同意しました。

この一連の事柄も地元紙などで大きく報道され、市民の関心事となりました。当時の「あさひかわ新聞」(1993年11月23日号)に次のような記事が掲載されました。

保存運動の高まりについて三浦さんは「旧宅は教会に寄贈したものなので、自分からどうして欲しいということは一切ない。(元旭川大学長で文芸評論家の)高野教授と教会との協議で決めてもらいたい」と話し、高野氏に全幅の信頼を置いているようだ。一方、教会側は「今年6月に解体の方針が決まり、新聞にも報道された。その際、市内の学者から『保存しては』との談話が掲載されたので、もしかすると保存運動が起こるのではと予想していた。しかし、以後一切保存の動きがなかったので、今回の保存運動はある意味で意外な面も感じる」(込堂牧師)と戸惑いを隠さない。ただ、今回の解体の延期を受け入れた以上、「保存の動きが市民運動となるのであれば、その考えを尊重したい」(同)と当面は静観の構えのようだ。

この保存運動を契機に、市民の間から「三浦綾子さんの文学館が旭川に必要ではないか」という声が上がり始めました。一方、三浦夫妻は、自分たちが教会に寄贈した旧宅のことで牧師や教会が、保存運動の騒動に巻き込まれたことを大変気にされていました。

翌年1994年3月10日、小説『銃口』が小学館から発行され、綾子さんから真新しい『銃口』上下巻を頂きました。その上巻の表紙裏に綾子さんの震える文字で「謹呈 その節は何かとご迷惑をおかけ致しました 1994,3,5 三浦綾子  込堂一博先生 初枝様」と記されてありました。しかも『銃口』の主人公・竜太の上官に「近堂」という名前の一等兵が登場します。『銃口』には、近堂一等兵について、次のように書かれています。

近堂一等兵は内務班(宿舎)で竜太に戦友として与えられた古年兵であった。軍隊には、初めて軍隊生活をする初年兵一人々々に対して、直接細やかにその指導する古年兵がついていた。(中略)竜太は入隊の日に近堂に会ったのだが、その時の印象が忘れられなかった。近堂は雪焼けした丸顔一杯に微笑を湛(たた)えて竜太を迎えた。それはあたかも久しぶりに肉親にでも出会ったような、あたたかい笑顔だった。(『銃口』〔下〕134〜135ページ)

綾子さんはよく小説に、自分とゆかりのある人の実名を少し変えて取り入れることがあります。この「近堂」という名前に、私も気になって後日、三浦綾子読書会顧問(現在は代表)の森下辰衛(たつえい)氏にお聞きしたことがありました。森下氏は「綾子さんは、明らかに込堂牧師の名前から近堂という名前を付けていますね。間違いありません」とのコメントをいただきました。この近堂一等兵は素晴らしい人物で、最後にはソ連の戦闘機に銃撃され、部下をかばって身代わりの戦死を遂げます。私は、明らかに『銃口』の近堂一等兵のような立派な人間ではありません。ただ綾子さんは、旧宅騒動のことで申し訳ない気持ちの表れとして「近堂」という名前を付けられたのかもしれません(このことについて、綾子さんには生前直接お聞きしませんでした)。

この旧宅解体がきっかけで、三浦綾子文学館設立の動きが一気に高まり始めました。一方、旧宅の復元については保存運動の方々の尽力で、小説『塩狩峠』の舞台である和寒(わっさむ)町との交渉が進められていました。旧宅解体決断から、綾子さんに関わる事態は大きく動き始めました。(続く)

<<前回へ     次回へ>>

◇

込堂一博

込堂一博

(こみどう・かずひろ)

北海道室蘭市生まれ。聖書神学舎卒業。屯田キリスト教会協力牧師、三浦綾子読書会相談役。著書に『三浦綾子100の遺言』『人生の先にある確かな希望(天のふるさと)』『三浦文学の魅力と底力』『終わりの時代の真の希望とは』他。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:三浦綾子三浦綾子記念文学館旭川めぐみキリスト教会森下辰衛込堂一博
  • ツイート

関連記事

  • 三浦文学の魅力と底力(2)三浦夫妻と旭川めぐみキリスト教会 込堂一博

  • 三浦文学の魅力と底力(1)三浦夫妻との出会いと交流 込堂一博

  • 三浦綾子読書会旭川全国大会2018(1)旭川六条教会でシンポジウム 三浦文学に関わる4氏が講演

  • ちいろば先生・榎本保郎と三浦綾子にとって「一番大切だったもの」とは?

  • 人が人らしく生きられるとは? 青山学院大で三浦綾子『銃口』展

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • 花嫁(36)薄明かりの祈り 星野ひかり

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(31)夢の中での再会

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(6)恐れずに主の導きに従う 加治太郎

  • ワールドミッションレポート(10月30日):イエメン 苦難はあれど希望は消えず

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 神の前に高ぶらないで生きよう 菅野直基

  • 私たちを生かす主キリストの御業 万代栄嗣

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.