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不条理なる死を不可知の光で中和せよ

やっかいな話(その3・最終回)

2022年3月24日14時53分 コラムニスト : 藤崎裕之
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関連タグ:藤崎裕之
やっかいな話(その3・最終回)+

不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(18)

※ 前回「やっかいな話(その2)」から続く。

出ていった汚れた霊は帰ってくるのか

ルカによる福音書11章24節以下、主イエスが語られた汚れた霊についての比喩を取り上げてきた。人はわが身の汚れを気に留める。それは人生を台無しにするものだと考えるからだ。また、しばしば自らが汚れた霊に取り憑(つ)かれ苦しんできたという自覚もあるだろう。何も人生がうまくいかないのは、自分だけに責任があるわけではない。なぜなら、外から入ってきて個々人の人生に干渉する邪なる存在がいるからだ。ここまでそのような汚れた霊の気まぐれさについて語ってきた。そして、せっかく出ていってくれた悪霊がますます強力になって戻ってしまうかもしれない事実を、主イエスは比喩として語りながら、人間の本質に迫ろうとしている。

政治的なスローガンには辟易(へきえき)するが

自助・共助・公助だったか。時の日本の総理大臣がなぜ突然にそのように言い出したのか、その根底にあるものはよく分からない。要するに公助だけを頼りに生きていくのは甘っちょろいということか。自助・共助なるものは、「お上」の負担がないから財政健全化に帰するということなのだろうけれども。いずれにせよ、人の生き方を何でもスローガン化するのは嫌な感じがする。とにかく自助というものは、どうにもあてにならないものなのだが、さりとて人間の世というのは自助抜きで生きていけないことも重々承知のことである。自らをわが手をもって助けるというのは、物は言いようで確かに格好良い。ところが実際のところ、自助など大抵はなし得ぬことなので、どうしてもわれわれは、自助できなかった理由を語りながら自己弁護を繰り返すしかないのだ。

精いっぱい頑張った結果が「これ」なのであって、「これ」が限界なのだと自分にも人にも説明しなければならない。つまりは結局のところ、悪霊は気まぐれに出ていくのであるが、そうではなく「自分が努力して悪霊を追い出したのだ」「今は清い姿なのだ」と、精いっぱいの虚栄を張るしかないのだ。それが、人間の外側磨きということである。

外側を磨いても内側が汚れていては本末転倒である。他人の目は鋭い。人は他人様の内面をじっくりと観察しているものである。隣の家の親父(おやじ)さんなり、お袋さんのちょっとした仕草を嗅ぎ取って、あらぬことを想像してしまうのである。いや、そうではない。人は他人の欠点を見破るのが大好きなのだ。「私は清い」と言ったところで、周りの人たちは心の中で「ドロドロの人生なのに」と薄ら笑いを浮かべていることだろう。

帰ってくるものは致し方なし

出来の良い夫は出ていくと帰ってこないが、ロクでなしの夫はとっとと帰ってくるものらしい。夫と女房を入れ替えても同じことだ。ブーメラン状態である。汚れた霊も砂漠に行ったものの、落ち着く先がないので元の家主に頼らざるを得ないわけだ。悪霊が去ったから、「あー、やれやれすっきりした」とせっせと掃き清めるところで、またロクでなしの霊が戻ってきたらなすすべなしだ。しかも主イエスに言わせると、前よりも居心地が良くなっているから、自分よりたちの悪い他の7つの霊も連れてきて、そこに住み着くというのだ。オー・マイ・ガットである。まったくもって、主イエスの例えというのはグサグサと突き刺さるのである。

やはりわれわれは的外れである

汚れた霊が立ち去り、掃き清められた家というのは、もちろんわれわれ自身のことである。やっと悪霊がいなくなったので、喜んでわが身を清めに入るわけである。自助というか、自浄のごとく勘違いして、自分で清くなったと錯覚してしまう。実は、悪霊は勝手気ままに外を散歩しているだけなのに。わが身の清さは証明済みですと言わんばかりに自分磨きに精を出すのだ。それもまた味わい深いし。そうでなければ生きていけない。それほどに人の世は歪んでいるのだ。

勇気を出して人は言う。「かつて私には恐ろしい悪霊が住んでおりまして、そいつがいろいろな悪さをして、家族や周りに迷惑をかけました。おかげさまでそいつもいなくなりまして、今はせっせと自己啓発にいそしんでいる毎日でございます」と。あー、悲しきこと。確かにわれわれにはそういう傾向がある。今は大丈夫になったから、これからのことを考えて自分を鍛えようと躍起になっているのだ。心の目が開いたとばかりに、今まで気にもしなかった宗教真理に関心を寄せたりする。聞きかじりにすぎない修道などをまねてみたり、得意げな顔で掟(おきて)を遵守しているふりをしたりする。自分磨きでもしないと落ち着かないのであろう。

霊は戻ってくるから考えるしかなかろう

悪霊に取り憑かれ、苦しんでいたときに抱いていた心情はどこに行った? 「神よ、われを憐(あわ)れめや」と日ごとに口にしていたときの、あの切羽詰まった心はどこに行ったのか。共に悪霊どもに苦しんでいる同類などへ、あれほど同情の念をもって優しく振る舞えたお前はどこに行ったのか。われは清くなりしと自慢げに生きて、自分磨きと称して傲慢になっている。あー、それこそ人間の悲劇ではないか。

悪霊憑きもまた人生なり。邪悪に取り囲まれるもまた人の生涯である。そんなことは神が人間の歴史を見てとうの昔にご存じのことである。自分自身を掃き清めよ、と神から要求されたことはあるのか。神はわれわれに、神の憐れみを求めよ、と言われたのではなかったか。主イエスは悪霊を追い出しておられた。誰のためにそのような苦労を引き受けたのか。

キリストこそが汚れた霊を追い出し、その後の人生を整えてくださる。だから、キリスト教信仰は基本的に自助ではない。自助といえる部分はわずかしかないはずだ。悪霊どもがうろちょろしているこの世というものは、真にやっかいなものである。戻ってこなくていいのに戻ってくるのは、放蕩息子と悪霊と悪運、そして何であろうか。

キリストが戻ってこられるという事実は、聖書においてもさまざまな書き方で表現されている。何も終わりの日に限ったことではない。わが人生にキリストが戻ってくるとはどういうことなのか。しっかりと正面を向いて受け止めていくことが、信仰的な自助である。悪霊どもはこそこそと戻ってくる。キリストは「栄光のうちに」戻ってくる。その栄光は個々人の人生において実現しない事柄であろうか。私は実現することを期待している。(終わり)

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◇

藤崎裕之

藤崎裕之

(ふじさき・ひろゆき)

1962年高知市生まれ。明治から続くクリスチャン家庭に育つ。88年同志社大学大学院神学研究科卒業。旧約聖書神学専攻。同年、日本基督教団の教師となる。愛知、北海道で地域伝道に従事する。オホーツク、道南過疎地での伝道から多くを学んだ。「小さな教会を諦めない」ことをモットーにしている。日本基督教団正教師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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