Skip to main content
2025年6月17日19時55分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
不条理なる死を不可知の光で中和せよ

やっかいな話(その2)

2022年3月10日07時37分 コラムニスト : 藤崎裕之
  • ツイート
印刷
関連タグ:藤崎裕之
やっかいな話(その2)+

不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(17)

※ 前回「やっかいな話(その1)」から続く。

戦うイエス

主イエスは悪霊を追い出す方である。もちろん、われわれは主イエスが悪霊を追い出すためにこの世に来られたとは考える。しかし主イエスは、悪霊に取り憑(つ)かれて苦しんでいる人を助けるために悪霊を追い出すのであって、悪霊除去そのものが目的ではない。だがわれわれは、善と悪の戦いというモチーフを好んでいるので、ついついその図式に主イエスを当てはめがちである。結果として、善と悪の戦いに見えるのは、人間を助けようとされる方は、一方で悪に立ち向かう方であるからだ。

もう少し見方を変えると、「われわれ人間はこの世界において善と悪の戦いの渦中にある」と短絡的に考えてよいのかと問いたい。確かに善と悪の戦いというのは、何かを理解する上で分りやすい構図である。まさか人は、自分が悪の側に属して善と戦っているとは思わない。つまり、そこまで悪になりきれはしないのだ。大抵の人は、自分がどちら側にいるのかさえ分からないのである。ここでは、罪と悪を同列にしてはならない。悪霊というものはもちろん人間ではないし、人間の成れの果てでもない。人間は罪を持つが、罪そのものであるとはいえないし、罪人が死して悪霊に転生するなどと間違っても考えてはならないのだ。

正義の側に立ちたいという欲望

罪が人間を支配しているといえば、確かにそうともいえる。悪が人間を支配しているということも同じである。しかし人間は罪ではないし、悪でもない。人間は人間にすぎないのだ。だから人間という存在が罪に属しているといえるとしても、罪を取り除くというときに「その人間そのもの」を取り除くというのはまったくナンセンスなのだ。悪に関しても同じことである。

罪や悪に支配されるのが人間であるから、罪や悪との戦いにおいてその人間を抹殺してよいわけがないのである。当たり前のことだ。当たり前のことであるが、しかし、人間の熱情、しかしも善に属しているという熱情は、時として人間に過ちを犯させる。罪や悪との戦いと称して、人間そのものを抹殺してもよいのだという狂気に人はしばしば支配される。実はこれこそが悪霊の仕業そのものであることを、われわれは事実として理解できてないのだ。

「聖は邪に関わらず」というわけにはいかない

悪霊を追い出す主イエスは、悪霊が支配していた人間を滅ぼすことはないのだ。そういう事例があるのなら、どうか筆者に教えてほしい。悪霊に苦しむ人間に向き合うのが主イエスであるからこそ、われわれはその方の声に聞こうとするのである。何も正義の味方を求めているわけではない。

しかし一方で、主イエスは悪霊に立ち向かう方であるから、批判を受けた方でもある。「彼は悪霊の頭ベルゼブルによって悪霊を追い出している」(ルカ11:15)と、ある人が主イエスを中傷したのである。まるで、主イエスが悪霊の頭をこき使うかのごときである。恐らく当時の人々には、「聖者は悪しきものごとには関わらない」という共通意識があったのではないか。「聖は邪に関わらず」である。そのようなことをしたら「邪」が乗り移ってしまうと、いういわば迷信めいた観念というものがあるだろう。これもまた世界共通である。そういう意味で、この中傷は、イエスに対して「この人は聖者でも何でもない」という本音を吐露したものであろう。聖者であるなら「邪」に関わらず、聖者らしく「清く」あるべしということだ。もっとも主イエスご自身は、ご自分を聖者だと宣伝する気もなかったわけだが。

悪霊除去は結果でしかない

そこで主イエスは、邪を持って邪を滅すことを国家内紛に例えて語る。なるほど分かりやすい。悪霊をもって悪霊を追い出しても、結局はより強い悪霊が残るだけである。また、先に述べたように、主イエスの目的は悪霊除去ではない。目の前で苦しんでいる具体的な人間の救済なのだ。当時はいろいろな苦しみを悪霊の仕業と表現するしかなかったであろうし、もちろん、悪霊の仕業であると理解するのは自由であるが、とにかく主イエスが向き合うのは人間である。悪霊除去は、人間への向き合いの結果でしかない。結果でしかないものを、主イエスの存在の目的であるかのように語ることはできない。

われわれにはいるべき場所がある

主イエスがなさった事柄によって、主イエスの偉大さや神聖さを語るのはよいと思う。それでも筆者が言いたいことは、主イエスの偉大さや神聖さを語るとしても、その時にあたかも自分たちも主イエスの側に立てるかのごとくうぬぼれてはならないということである。「われわれも主イエスの戦いに参加して、罪や悪を滅ぼしましょう」と簡単にのぼせ上がってはならないのだ。

果たてしてわれわれは聖者だろうか。仮にわれわれが聖者なる主イエスの側に立ち得たとしても、われわれはその衣の房に触っているにすぎないのだ。けしてわれわれ自身が聖者にはなれないし、聖者の従者面もできないのだ。むしろわれわれに期待されていることがあるとしたら、主イエスが癒やされた人の側に、謙虚に自分の居場所を見つけることではないだろうか。

それでも考えざるを得ない

では、方向性を変えてみるが、何にしても悪霊は現に存在するのであって、われわれはどのようにして悪霊から身を守れるのであろうかということである。同時に罪も存在するのであるが、その罪からどのようにしてわれわれは逃れられるのであろうか。

実のところ、よく分からない。聖性をまとって邪悪を避けるというのが人間の基本行動であるが、その聖性というものが実にまったく分からないのである。護符的な何かなのか。それは普通にそうであろう。でも護符も万能ではない。効果がない!などと無粋なことを言う気はないが、護符にはまると「銭失い」になるかもしれない。

固い信仰心というものは確かに効果があるように思う。それでもせいぜい、自分自身を守るにすぎない。筆者は熱烈ピューリタンの家庭に育ち、37歳から20年以上も両親と再同居している。熱心な祈り人である両親はもちろん息子のことも祈る。しかし、悪霊は無情にも時として息子を支配するのだ。両親が悪霊に支配された様子はないから、その信仰心というものは彼ら自身にはある程度は効果があったと思う。しかしその程度のものである。過大評価はできないのだ。

そもそも人間は罪や悪から逃れられない。ただの一人も逃れ得ないのだ。「天地創造の初めよりアダムの過ちによって人間は罪と呪いの中にあるのだから致し方ない」という原罪論的な絶望感もわれわれに希望をもたらさない。ではどのようにしてわれわれは邪なるものから身を守れるのだろうか。われわれは日々悩むのである。(続く)

<<前回へ     次回へ>>

◇

藤崎裕之

藤崎裕之

(ふじさき・ひろゆき)

1962年高知市生まれ。明治から続くクリスチャン家庭に育つ。88年同志社大学大学院神学研究科卒業。旧約聖書神学専攻。同年、日本基督教団の教師となる。現在、日本基督教団隠退教師、函館ハリストス正教会信徒。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:藤崎裕之
  • ツイート

関連記事

  • やっかいな話(その1)

  • 人生は三度くらいおいしい(その1)

  • 転生なきビジョンはない(その1)

  • エデンの東 終日(ひねもす)のたり のたりかな(その1)

  • 人間とは何か?「裸」で生まれた者として(その1)

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(231)聖書と考える「波うららかに、めおと日和」

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月17日):ブルガリア 聖書の学び会と占い師の回心

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 待ち望む力 佐々木満男

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.