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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(10)不幸な仲間を救ってください

2021年10月6日19時00分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

1851年。消息を絶っていたオースウェルが、たくさんの家畜や食料品を持ってコロバングに帰ってきた。彼はリビングストンの報告書を間違いなく王立地理学会に出してくれていた。「英国中があなたのうわさでもちきりですよ」。オースウェルは言った。リビングストンは感謝を込めて彼の手を固く握りしめた。

その年の4月。リビングストンとオースウェルは、いよいよ幻の湖に住む大首長セビチュアネに会いに出掛けることになった。メアリーと子どもたちはどうしても同行したいと言うので、今回も連れていくことになった。

初めのうち旅は順調で楽しいものだったが、そのうちに災難が襲った。一人の黒人従者が不注意から水の入った樽を転がして、中からはほとんどの水が流れてしまったのだ。皆の水の配分は1日スプーン1杯で、喉の乾きは激しく、子どもたちは泣き叫んだ。やがて一滴の水もなくなってしまったので、一人の従者に川を探してほしいと言うと、彼は出て行ったきり、姿をくらましてしまった。次に、いつも忠実に用をしてくれる残りの従者全員に川を探しに行ってもらうと、ついに彼らは川を見つけ、手に手に水の入った瓶や桶を持って帰ってきた。一同はおなかいっぱい水を飲み、ようやく元気が回復した。

「川の向こうがマコロロ村で、そこに大首長が住んでいるということです」。一人が報告したので、一同は力を新たにしてマコロロ村に入り、そこから160キロほど離れたリンヤンティという町に住む大首長セビチュアネに面会することに成功した。

大首長セビチュアネは話に聞いていたよりもずっと威厳があって立派だった。取りあえずメアリー夫人と子どもを別の部屋で休ませ、2人は広間で話し合った。

「私はもともと戦争が嫌いでな。しかし、身寄りがなく、武力だけを頼りに大きくなった。そして、首長となってからは絶えず襲ってくる部族の攻撃から自分の民を守らねばならなくなった。そして、私は幾つかの部族を統一してマコロロという国を作ったのだ。しかし、われわれがいくら武力を誇っても、しょせん白人にはかなわないのだ。彼らは私の民を奴隷に売るために連れ去ってしまう。だが、問題はわれわれにある。白人が悪いわけではない。このアフリカの原住民は無知なために仲間を白人やアラビア人に売りつけているのだ」

リビングストンは、いつか自分が目撃した奴隷売買の悲惨な状況を話し、何とかしてこの忌まわしい制度をなくしたいので協力してほしいと言った。すると大首長は悲しそうに下を向き、ハラハラと涙をこぼした。しかし、それも一瞬で、微笑するとうなずいた。「この問題については考えなくてはならない。また明日話そう」。そして、この会見を打ち切った。

翌日。セビチュアネから呼び出されるのを待っていたが、夕方になっても何も言ってこない。そこへオースウェルが来て言った。「セビチュアネ大首長は、昨夜から高熱を出し、面会謝絶だそうだよ」。リビングストンは不吉な予感を覚えた。3日目に迎えが来て、大首長がひどく悪いから来てほしいと言う。リビングストンが駆けつけると、彼は高熱にあえぎ、呼吸困難になっていた。

「来てくれたのかね?」セビチュアネは微笑した。「どうか、本当のことを教えてくれ。私は死ぬのか?」リビングストンは、彼の手を握って言った。「大丈夫ですよ。私たちはたとえ死んでも、イエス様と一緒にまた生きるのです」

「やっぱりだめなのだな」。セビチュアネはしゃがれ声で寂しそうに言った。それから、じっとリビングストンを見つめると、ささやくように言った。「あなたにお願いする。私にはできなかったが、どうかアフリカの不幸な仲間を救ってください」。それから、妻のほうを向いて言った。「マヌンカ、先生のロバート坊やにミルクをあげておくれ」。彼の妻は、その通りにした。

「あなたに会えてよかった。でも、もう少し早かったら――」。そう言った途端に、その体がのけぞり、彼は死んでしまった。たちまち、屋敷は嘆き悲しむ人の声で満ちた。困難な旅をしてやっとここまでたどり着いたのに、リビングストンはこの偉大な大首長とたった3日しか一緒にいられなかったのである。彼は涙ながらに、セビチュアネの冥福を祈らずにいられなかった。

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

王立地理学会が、リビングストンのヌガミ湖発見の記事を報じると、英国中が沸き立ち、彼はたちまち英雄扱いされるようになります。しかし、リビングストンの宣教活動は苦難に満ち、危険と隣り合わせのものでした。それは彼自身のみならず、家族の命をも損ないかねない、まさに一か八かの毎日でありました。それでも、一行は何とかマコロロ村にたどり着き、うわさの大首長セビチュアネに面会することができました。

セビチュアネは、リビングストンと膝を交えて親しく語り合い、自分の部族を守るために心ならずも多くの部族と戦わざるを得なかったことを悲しげな口調で告白します。そして、白人やアラビア人に売られる自国の民を救ってほしいと彼に懇願するのでした。しかし、彼はすでに悪性の熱病に侵されており、リビングストンの手を握りしめてあの世へと旅立っていきます。不幸なアフリカの兄弟を救ってほしいとの彼の遺言は、そのままリビングストンの探検の目標となりました。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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