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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(5)賢い首長セチェレ

2021年7月28日14時56分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

レペロレから一度クルマン伝道所に戻ったリビングストンは、今度はメバルーエという現地の黒人と共に伝説の大首長が住むといわれているチョアネに向かった。メバルーエは伝道所の雑役をして働いており、すでにクリスチャンであった。

2人が牛車から降りると、現地の人々が歓声を上げて出迎えた。ここの首長セチェレは立派な体格と気品を備えた王者であった。彼は礼を尽くして2人を迎えたが、白人が好きでないらしく顔を背けたまま、握手もせずに言った。「あんたがたの言う大首長とは私ではない。セビチュアネのことだろう。彼は幻の青い湖の国に住んでいる」

翌朝の4時ごろのこと。リビングストンはただならぬ騒ぎで眠りを破られた。そこに使いの者が立っていて首長の子どもが病気になったので来てくれと言う。そこで彼はカバンに薬や注射の道具、聴診器などを詰めて出掛けた。

「先生、息子を助けてくれ! お願いだ」。セチェレは昨日とは打って変わって、打ちのめされた態度ですがりついた。案内された部屋に入ると、傍らのベッドに小さな子どもが息も絶え絶えになって寝かされていた。リビングストンは子どもの手を握り、脈をとりながら聴診器を当てると、高熱のために呼吸が乱れていた。そこでワクチンを打って様子を見ていると、2、3時間たつうちに呼吸が整い、子どもは水を求めた。そこでセチェレに何かジュースのようなものを与えるよう要求すると、彼は大きなコップにパイナップル・ジュースを作って持ってきた。

「これで大丈夫でしょう。2、3日すると良くなります」。リビングストンはこう言って屋敷を出た。その言葉通り、子どもは3日後にすっかり丈夫な体に戻った。

「あんたはいい白人だ。白人は乱暴で貪欲だという考えを今から捨てることにしよう」。首長セチェレはリビングストンに上等のカモシカの肉や豆を振る舞いながら言った。「今私はあんたを友人として迎える」。2人はしっかりと手を握り合い、この時から良い友人同士になった。

リビングストンが彼にイエス・キリストの愛と贖(あがな)いを伝えると、セチェレは子どものように素直にそれを受け入れたのだった。「こんな素晴らしい話、みんなにも知らせてやらなきゃならない」。彼は勢い込んで言った。そして、大きな太鼓を叩いて近くの者たちを集めて言った。

「よいか、みんな! リビングストン先生がおっしゃるようにイエス様を信じるようになるんだぞ! そうすればこの国も良くなるし、みんな幸せになる」。それから脅すようにつけ加えた。「それでも信じないという者がいたらここに出てこい! このゲンコツでぶん殴ってやる。聞かないなら、ムチで引っぱたくからな!」

リビングストンは吹き出してしまった。そして信仰というものは強制ではなく、その人と神様とお話をすることだと教えた。「そうか、分かった」。セチェレはうなずいて、また命令した。「いいか! 先生のお話分かったか! 信じない者がいても殴ったりしてはいけないそうだ。こんなありがたい話を聞いてもまだ分からないやつがいたら、このゲンコツが飛ぶからな」

そのうち、賢い首長セチェレは、リビングストンに協力して近くに伝道所を建てる計画を始めた。彼は人をやって調べさせた結果、マボッサという町を見つけた。この町はリンポポ川を隔てて、あのレペロレと反対側にあった。丘の上にあるために空気は澄み、緑が多く、産物も豊かだった。そして、このマボッサの町の住民はセチェレの治めるチョアネの町の人々とたいそう仲が良かったのである。

セチェレはわざわざここに足を運び、マボッサの住民にリビングストンのことを紹介してくれた。やがてここの土地を買うことが決まり、畑もできたので、彼は念願の伝道所の建設をメバルーエに任せて、自分は荷物を取りにクルマンに戻った。

クルマンに着くと、良いニュースが待っていた。一つはロンドン伝道協会から正式に伝道の許可が下りたこと。もう一つは、インドに滞在するトマス・スティール大尉と友人のプリングル氏が休暇でアフリカに猛獣狩りに来ており、リビングストンの働きを助けたいと申し出たことである。ところがこれに反対したエドワーズはしきりに彼らの悪口を言い、またしてもリビングストンと意見を異にした。そして、この時から2人の間の亀裂は次第に広がっていったのであった。

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

リビングストンが次の伝道旅行で向かった先はチョアネでした。ここの首長セチェレは、白人を嫌っており、最初リビングストンの一行に冷淡な態度をとり、とても友好的な関係を築くのは難しいと思われました。しかし、彼の息子の病気を癒やしてあげてからは、たちまち彼は友好的になり、人々を集めてリビングストンの紹介をしたり、彼の説教を聞かせたりするのでした。

聖書の中で、イエス・キリストは「幼な子のようにならなければ天国に入ることはできない」と言われました。まさにこのセチェレは、幼な子のように素直に福音を受け入れ、これを信じたのでした。彼の言葉と行動を見ると、実にほほえましく、その人柄が好ましく思えてきます。反対に執事エドワーズをはじめとする一部の文明国の白人たちは、アフリカの教化という大義名分を掲げていますが、その心には一かけらの愛もなく、このセチェレのような人こそ真っ先に天国に迎え入れられることを私たちは知るべきです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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