Skip to main content
2025年11月9日20時20分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(3)アフリカの現状

2021年6月30日14時59分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

航海を続けるうちに、リビングストンはドナーソンという船長と親しくなった。この船長はリビングストンに船の動かし方や六分儀(航海中に太陽や星などの位置を測る機器)を使って方向を測定する方法などを親切に教えてくれた。そして、リビングストンがアフリカの奥地に伝道に行くことを知ると、感心したように彼を見つめ、こう言った。

「とにかく健康には気を付けなさい。アフリカという所は想像もできないような奇妙な習慣や迷信、それから暴力がはびこっていますからね。自分の命は自分で守るしかありません。ケープタウンに行ったらオランダ人と原住民のカウィル人がいがみ合っているから気を付けるように。カウィル人はかつてオランダ人に征服され、オランダ本国に連れていかれたのです。それで残った原住民は心からオランダ人を憎んでいるのです」

そして船長は、伝道所のあるクルマンはポート・エリザベス港から560キロの場所にあることを教えてくれたのだった。

やがてジョージ号はケープタウンに着いた。現地の宣教師たちが親切に迎えてくれたが、リビングストンは彼らとしばらく話をするうちに失望の思いが込み上げてきた。彼らはケープタウンでその生活を保障され安楽に暮らしており、現地の不幸な人々のことを思いやる気持ちがなく、どん底生活をする者に福音を伝えようという熱意など全く見られなかったからである。それでも、彼らはリビングストン個人にはとても親切で、彼の宿泊先のジョーン・フィリップス博士の家までの地図を書いてくれるのだった。

ジョーン・フィリップス博士は、『南部アフリカの諸探究』という本を書いた有名人であった。会ってみると、とても柔和で謙遜で、リビングストンと同じように欧州人に搾取されているアフリカの原住民に深い同情の気持ちを持っていた。そして、アフリカ伝道を志すリビングストンに貴重な言葉を送ってくれたのだった。

「若くて純粋な人は現地の人を救いたいという思いからアフリカ伝道を志すが、あまりにも苛酷な現状の前に望みを打ち砕かれて引き返してしまう人が多いのは残念だ。彼らは夢や理想と現実との間に立ちふさがる大きな壁を乗り越えられなかったのだ。最後に君に言いたいのは、私たちは一生を通じてその理想の半分も実現できないという事実だ。けれどもそれは無駄ではない。神の国をこの地上に実現する働きに参与しているわれわれは、ただ苦しみにあずかるというだけでも意味がある。この仕事の本当の完成者は、イエス・キリストなのだからね」

この博士の言葉は、後になって想像を絶するような多くの困難にぶつかったとき、どれほどリビングストンの心の支えとなったことだろう。

間もなくケープタウンでの滞在期間が終わり、船は次の港ポート・エリザベスに着いた。ここはケープタウンとは全く違った港町で、カウィル人が黒い肌を日にさらしながら歩いていた。「クルマン伝道所」の指示で、リビングストンはここに1週間滞在することになった。この時彼は、伝道所に赴任する予定の医師ウィリアム・ロスと知り合いになり、気さくで明るい性格の彼とすぐに親しくなった。2人はポート・エリサベスからクルマンまで、牛車に揺られて旅をしたが、道々それぞれの抱負を語り合ったり、途中で休憩しながら素晴らしい自然を満喫したりと、とても楽しい旅であった。

数日後に、ようやく目指すクルマンの村に着いた。牛車が進むにつれ、村人たちがワイワイ騒ぎながら飛び出してきて、歓迎のしるしに手を振りながら叫んだ。リビングストンとロスは思わず顔をほころばせて手を振った。「白人だ!白人が来た!」彼らはワイワイ大声を上げながら牛車の後ろにまつわりついて走った。

「クルマン伝道所」に着くと、所長のロバート・モファット博士が自ら出迎えてくれた。「人違いかと思ったよ。何と立派にたくましく成長したのだ」。以前ロンドンの病院で彼を指導した博士はこう言って肩を叩いた。「よろしくお願いします」と、彼は頭を下げた。博士の横には令嬢のメアリーが立っていて、歓迎の言葉と共に握手を求めた。

この伝道所にはロジャー・エドワーズという気難しい執事がいて、家政をすべて取り仕切っていた。彼は夕食の用意をしてから、リビングストンにこう言うのだった。「ここはね、暴虐と無知と危険とに満ちた暗黒地帯です。この恐ろしい大地に一歩足を踏み入れたら、身を食い尽くされることを覚悟しなくてはなりませんぞ」

*

<あとがき>

船がケープタウンに着いたとき、リビングストンは2つの大切な体験をします。一つは、現地の宣教師たちの姿を見て失望したことです。彼らはこの町で生活を保障され、安楽に暮らしているために、アフリカ奥地で悲惨な生活をしている者たちを思いやる気持ちが全くないのでした。これはリビングストンの胸に、現地の人々のためにすべてをささげて神の愛を伝えようという情熱を新たに燃え立たせることになりました。

もう一つは、有識者のジョーン・フィリップス博士と出会ったことです。博士はこう言います。「人間は、一生を通じてその理想の半分も実現できない存在だ。しかし、神の国をこの地上に実現させる働きに召されている自分たちは、ただ苦しみにあずかるというだけでも意味がある。本当の完成者はイエス・キリストなのだからね」と。このアドバイスこそ、その後のリビングストンの働きを支えた大切なバックボーンとなったのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(2)不幸な人々への献身

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • ワールド・ビジョンがクリスマスキャンペーン、教会で酒井美紀さん登場のコンサートも

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • ワールドミッションレポート(11月8日):ブラジル 世界最大のカトリック国で起きている劇的な地殻変動(1)

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

  • ワールドミッションレポート(11月9日):ブラジル 世界最大のカトリック国で起きている劇的な地殻変動(2)

  • 都合の悪いお言葉(その2) マルコ福音書10章1~12節

  • ひと足ひと足、主にすがりて 菅野直基

  • 主は生きておられる(241)カレンダーあと1枚 平林けい子

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(251)聖書と考える「良いこと悪いこと」

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.