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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(3)アフリカの現状

2021年6月30日14時59分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

航海を続けるうちに、リビングストンはドナーソンという船長と親しくなった。この船長はリビングストンに船の動かし方や六分儀(航海中に太陽や星などの位置を測る機器)を使って方向を測定する方法などを親切に教えてくれた。そして、リビングストンがアフリカの奥地に伝道に行くことを知ると、感心したように彼を見つめ、こう言った。

「とにかく健康には気を付けなさい。アフリカという所は想像もできないような奇妙な習慣や迷信、それから暴力がはびこっていますからね。自分の命は自分で守るしかありません。ケープタウンに行ったらオランダ人と原住民のカウィル人がいがみ合っているから気を付けるように。カウィル人はかつてオランダ人に征服され、オランダ本国に連れていかれたのです。それで残った原住民は心からオランダ人を憎んでいるのです」

そして船長は、伝道所のあるクルマンはポート・エリザベス港から560キロの場所にあることを教えてくれたのだった。

やがてジョージ号はケープタウンに着いた。現地の宣教師たちが親切に迎えてくれたが、リビングストンは彼らとしばらく話をするうちに失望の思いが込み上げてきた。彼らはケープタウンでその生活を保障され安楽に暮らしており、現地の不幸な人々のことを思いやる気持ちがなく、どん底生活をする者に福音を伝えようという熱意など全く見られなかったからである。それでも、彼らはリビングストン個人にはとても親切で、彼の宿泊先のジョーン・フィリップス博士の家までの地図を書いてくれるのだった。

ジョーン・フィリップス博士は、『南部アフリカの諸探究』という本を書いた有名人であった。会ってみると、とても柔和で謙遜で、リビングストンと同じように欧州人に搾取されているアフリカの原住民に深い同情の気持ちを持っていた。そして、アフリカ伝道を志すリビングストンに貴重な言葉を送ってくれたのだった。

「若くて純粋な人は現地の人を救いたいという思いからアフリカ伝道を志すが、あまりにも苛酷な現状の前に望みを打ち砕かれて引き返してしまう人が多いのは残念だ。彼らは夢や理想と現実との間に立ちふさがる大きな壁を乗り越えられなかったのだ。最後に君に言いたいのは、私たちは一生を通じてその理想の半分も実現できないという事実だ。けれどもそれは無駄ではない。神の国をこの地上に実現する働きに参与しているわれわれは、ただ苦しみにあずかるというだけでも意味がある。この仕事の本当の完成者は、イエス・キリストなのだからね」

この博士の言葉は、後になって想像を絶するような多くの困難にぶつかったとき、どれほどリビングストンの心の支えとなったことだろう。

間もなくケープタウンでの滞在期間が終わり、船は次の港ポート・エリザベスに着いた。ここはケープタウンとは全く違った港町で、カウィル人が黒い肌を日にさらしながら歩いていた。「クルマン伝道所」の指示で、リビングストンはここに1週間滞在することになった。この時彼は、伝道所に赴任する予定の医師ウィリアム・ロスと知り合いになり、気さくで明るい性格の彼とすぐに親しくなった。2人はポート・エリサベスからクルマンまで、牛車に揺られて旅をしたが、道々それぞれの抱負を語り合ったり、途中で休憩しながら素晴らしい自然を満喫したりと、とても楽しい旅であった。

数日後に、ようやく目指すクルマンの村に着いた。牛車が進むにつれ、村人たちがワイワイ騒ぎながら飛び出してきて、歓迎のしるしに手を振りながら叫んだ。リビングストンとロスは思わず顔をほころばせて手を振った。「白人だ!白人が来た!」彼らはワイワイ大声を上げながら牛車の後ろにまつわりついて走った。

「クルマン伝道所」に着くと、所長のロバート・モファット博士が自ら出迎えてくれた。「人違いかと思ったよ。何と立派にたくましく成長したのだ」。以前ロンドンの病院で彼を指導した博士はこう言って肩を叩いた。「よろしくお願いします」と、彼は頭を下げた。博士の横には令嬢のメアリーが立っていて、歓迎の言葉と共に握手を求めた。

この伝道所にはロジャー・エドワーズという気難しい執事がいて、家政をすべて取り仕切っていた。彼は夕食の用意をしてから、リビングストンにこう言うのだった。「ここはね、暴虐と無知と危険とに満ちた暗黒地帯です。この恐ろしい大地に一歩足を踏み入れたら、身を食い尽くされることを覚悟しなくてはなりませんぞ」

*

<あとがき>

船がケープタウンに着いたとき、リビングストンは2つの大切な体験をします。一つは、現地の宣教師たちの姿を見て失望したことです。彼らはこの町で生活を保障され、安楽に暮らしているために、アフリカ奥地で悲惨な生活をしている者たちを思いやる気持ちが全くないのでした。これはリビングストンの胸に、現地の人々のためにすべてをささげて神の愛を伝えようという情熱を新たに燃え立たせることになりました。

もう一つは、有識者のジョーン・フィリップス博士と出会ったことです。博士はこう言います。「人間は、一生を通じてその理想の半分も実現できない存在だ。しかし、神の国をこの地上に実現させる働きに召されている自分たちは、ただ苦しみにあずかるというだけでも意味がある。本当の完成者はイエス・キリストなのだからね」と。このアドバイスこそ、その後のリビングストンの働きを支えた大切なバックボーンとなったのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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