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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説

2021年6月2日19時10分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

1813年3月19日。スコットランドの寒村ブランタイヤーの貧しい商人の家に男の子が生まれた。この村は、子どもが一人生まれただけで家計が苦しくなるような貧困家庭が多く、リビングストン家もその例にもれなかった。リビングストン氏はお茶を売りながら妻と子どもたちを養っていたが、熱心なクリスチャンである彼は、教会関係の仕事に身を入れるあまり、商売のほうがおろそかになりがちであった。

「ご主人が教会の仕事ばかりなさっているので大変でしょう?」近所の主婦がそう言うと、リビングストン夫人は微笑しながら言うのだった。「いいえ。あの人が商売より教会のほうを大事にしてくれるのが私にはうれしいです」。夫妻は信仰があつく、また温かく豊かな人柄を備えていたので、子どもたちも両親の影響を受け、常に神に感謝をし、周囲の人を思いやって日々を過ごしていた。

そんな彼らにとって土曜日の夜はとても楽しいものだった。それは、夕食が済んでから、母が子どもたちを集めて面白い話を聞かせてくれるからだった。その晩は、先祖が住んでいたというウルバ島に伝わる話だった。

「ウルバ島というのはね。青々とした海に囲まれ、なだらかな丘と緑の牧場が広がるとても美しい島なの。そんな所にも波の荒い恐ろしい所があります」。そして母は、キルスティという所に伝わる悲しい伝説を語り始めた。

「このウルバ島では、皆農業をやって生計を立てていましたが、どの人も正直で『絶対にうそをつかない』ということを誇りにしていました。そんな中に、大変貧しい母親と娘が身を寄せ合って生活していました。ある日のこと。母親が仕事から帰ると、娘が空腹に耐えかねてチーズの切れ端をかじっているのが目に入りました。それをどこで手に入れたのかと問い詰めると、これはもらったんだと娘は言って、その後口を閉ざしてしまいました。実は通りがかりの女の子が、あんまり彼女がひもじそうにしているのでこっそりくれたものだったのです。しかし娘は、自分が物乞いのように人から食物をもらったことが恥ずかしくて、どうしてもそれが話せませんでした。すると母親は、てっきり娘がチーズを盗んだものと思い込み、十分に訳も聞かずに棒切れでピシピシと娘を叩き続け、とうとう死なせてしまったのでした。これは、両方があまりにも正直で、島の誇りである『絶対にうそをつかない』という掟を守ったからでした。ところが、これを知った島の人々は、自分の娘を殺した母親のことを怒り、彼女を捕まえると袋の中に入れ、キルスティ岩の上に置き去りにしました。だんだん潮が満ちてきて、波が打ち寄せ、とうとうキルスティ岩を覆い隠したとき、この哀れな母親を入れた袋も見えなくなってしまったということです」

母親の話が終わったとき、次男のデービッドはわっと泣きながら言った。「どうして? お母さん、みんな正直な人たちなのに、どうしてこんな悲しいことが起こったの?」「そうねえ」。母は彼の頭をなでながら言った。「正直なのはいいことです。でもね、心が自分のことでいっぱいで人の気持ちを思いやれなくなったとき、とても悲しいことが起こるの。神様の愛を知らないことは恐ろしい不幸を生むのですよ」

この時、デービッドは母の話を心に深く刻みつけ、将来はかわいそうな人たちに神様の愛を伝えてあげたいと強く思ったのだった。

それから1週間ばかりたったある日。デービッドは一人で近くの切り立った崖の「びょうぶ岩」まで探検に出掛けた。そして、頂上の岩に自分の名を刻みつけて帰ってきた。「ぼくは一人であの岩のてっぺんに登ったんだよ」。彼は友人を誘って崖の下まで行ってこう言ったが、彼らは信じようとしなかった。そこへ「ジョンおじ」と皆に呼ばれている猟師がやってきてその話を聞いた。

「よし。そんならおじさんが登ってみてやろうじゃないか」。そう言って、するすると「びょうぶ岩」を登り始めた。しかし、それは子どもが登れるような岩ではなかった。何とか頂上に行くと、そこにそびえる岩にナイフでD・Lと刻まれていたではないか。

「おまえは偉いやつだな。英雄だ」。降りてきた「ジョンおじ」は言った。「おまえ、今にいい猟師になれるぞ」。しかし、デービッドは首を振ると言った。「そんなものになりたくない。ぼくは気の毒な人に神様のことを伝えてあげたいんだ」

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

今月からD・リビングストンの生涯を紹介させていただくのは限りない喜びです。筆者は小学生の頃、アフリカ奥地の探検家としてのリビングストンの物語を美しい絵入りの本で読んで心躍らせたのを覚えています。日本においてリビングストンといえば探検家としての顔しか知られていないようですが、欧米――中でも英国では、彼は宣教師としてその名を覚えられています。

「リビングストンの本領は冒険なのか? 伝道なのか?」とはしばしばクリスチャンの間でも議論されます。しかしながら、彼の生涯を調べると、その人生の土台をなすものが「世界で一番惨めな人たちに神の愛を伝えたい」という信念であることが分かります。それは敬虔な信仰と温かな隣人愛を持っていた彼の両親の影響も強かったようです。つまり、彼のアフリカ奥地への探検は宣教そのものだったのです。最期の日に、彼がアフリカの人たちのために祈りつつ天に召されたという故事は、世界中に知られています。

次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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