Skip to main content
2021年4月10日23時53分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯

世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(13)あめにはさかえ

2021年3月24日13時31分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:ジョン・ウェスレー
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(1)猛火から救われて+
ジョン・ウェスレー(1703~91、画像:Frank O. Salisbury)

その頃ウェスレーは、刑務所の改善に尽くしていたジョン・ホワードと出会い、親交を結ぶようになった。2人はたそがれ迫るロンドンの町を歩いていた。

「ごらんなさい。まるで地獄だ」。ホワードは言った。「ジンをあおって道路に寝転ぶ浮浪者。スリや強盗が人を脅し、孤児は辻にたむろして通行人からパンや金をせびっている。また売春が当たり前のように行われている。繁栄の町といわれるロンドンがこんな状態ですから、他の町はもっとひどいでしょう」。2人はやがて「浮浪者収容施設」の前にやってきた。「ここはいわゆる人生の掃きだめと呼ばれる場所です」。再びホワードは言うのだった。

その時、一人の男が大鍋を下げて庭に出てきた。すると、あちこちから着物は破れ、髪はボサボサ、首筋にはあかがこびりついている男たちが駆け寄ってきた。そして、手に手にブリキの缶を差し出し、奇妙な声を上げた。すると、男は乱暴なやり方でひしゃくに一杯ずつ鍋のスープをついでやるのだった。それは水より薄い、何の具も入っていないスープだったが、彼らは一息で飲み干してしまった。「これじゃ、腹の足しにならねえよ」。彼らは鍋を持った男に躍りかかると、その鍋を奪い取った。もうスープは一滴も残っていなかった。すると彼らはだしに使った鳥の骨を手づかみで拾い上げると、互いに奪い合いを始めた。

「何て浅ましい」。2人は顔をそむけた。「パンをくれよう!」男の一人が目をギラギラさせて詰め寄ってきた。ウェスレーとホワードは、それぞれポケットからありったけのお金をはたき出し、スープを配っていた係員に渡した。「これでパンを買ってこの人たちにあげてください」。係員は、近くのパン屋に行き、パンを買ってきて浮浪者たちに与えた。「さあ、情け深い方たちがパンを下さったぞ。感謝して頂きなさい」。すると、彼らはパンに飛びつき、それをむさぼるように食べた。

ウェスレーは、ここで少し話をさせてほしいと言い、語り始めた。「皆さん、聞いてください。私たちはパンがなくても生きられます。着るものがなくても、住む家がなくても生きられます。でも、愛がなければ生きることができません。私たちがこうして生きているのは、神様の愛があるからです。思えば、この世にあるものはすべて神様の愛によって造られたのです」

そして彼は、神が罪人である人間を救うためにイエス・キリストをこの世に遣わして、十字架でその罪の代価を支払ってくださったことを切々と語った。いつの間にか、薄暗い建物の中に浮浪者たちが詰めかけ、押し合うようにしながら話に聞き入っていた。「先生、私はイエス様を信じるよ」。突然一人が叫ぶと、次から次へと手が上がった。そして何とその日に15人が洗礼を受けたのであった。その中には、スープを配っていた係員の姿もあった。

2人が外に出たとき、ちらちらと雪が降り出した。「今夜はクリスマス・イブですね」。ジョン・ホワードが言った。そこへ、チャールス・ウェスレーが、シー・キンチンという人の家で集会が開かれると告げに来た。彼はもうすっかり病気も癒え、健康を取り戻していた。

――と、そこへ、突然警官が一通の手紙を手にして現れた。「ウェスレーさん。残念ながら、議会の名において、今後あなたは一切英国国教会の中に足を踏み入れることも、説教することも禁じられました。もしこの法を破った場合には、逮捕します」。そして、手紙を渡すと行ってしまった。ウェスレーは、しばらく手紙を握りしめたままそこに立ち尽くしていた。

「私は、牧すべき教区を失った」。彼は、ポツンとつぶやいた。「しかし、今や世界が私の教区だ」。この時、チャールスは群がる人々の中から男の子と女の子をつれてきて並ばせた。「兄さんに、この賛美歌をささげます」。たちまち、かわいらしい合唱が流れ出した。それは、後に世界的に有名になり、大人にも子どもにも愛された「あめにはさかえ」(讃美歌98番)であった。素晴らしいクリスマス・イブとなった。

*

<あとがき>

社会事業家のジョン・ホワードと共にロンドンの裏町を歩いていたウェスレーは、そこにたむろする下層階級の人々の悲惨な姿に胸が締め付けられる思いでした。そして、2人が「浮浪者収容施設」の前を通りかかると、ここでもスープのだしに使った鶏ガラを奪い合うあさましい人々の姿を目にしなくてはなりませんでした。ウェスレーは、こうした社会から見捨てられた人々に心を込めて福音を語りました。

その後、裏町をたどって行くと、突然一人の警官がやってきて彼に手紙を渡しました。それは英国国教会の名において、二度と教会の中に足を踏み入れることも、説教することも禁じるというものでした。悲しみに打ちひしがれるウェスレーに、この直後、素晴らしいクリスマス・イブの贈り物が与えられました。ここにやってきた弟のチャールスが少年少女を集めて自作の賛美歌を歌わせたのです。この「あめにはさかえ」は世界的に有名になり、今なお教会の内でも外でも親しみを込めて歌われています。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

関連タグ:ジョン・ウェスレー
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(12)嵐の中の平安

  • 世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(11)見捨てられた者への伝道

  • 世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(10)アルダス・ゲートの体験

  • 世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(9)失意のどん底に

  • 世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(8)インディアンに福音を

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

新型コロナウイルス特集ページ

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • ティム・ケラー牧師が語る「死と復活の希望」 末期がんの闘病生活の中で新著出版

  • ジャスティン・ビーバー、イースターに率直な信仰歌った新EP「フリーダム」リリース

  • 神戸女学院大学、新学長に中野敬一氏 「愛神愛隣で学びを他者のために用いる教育へ」

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(118)大海原に漕ぎ出して素人になろう! 広田信也

  • 英フィリップ殿下死去、カンタベリー大主教「キリスト教奉仕の優れた模範示した」

  • 米神学校、チャペルをワクチン接種会場として開放 バイデン大統領が訪問

  • 主が共におられる 菅野直基

  • 西アフリカのマリでスイス人女性宣教師の遺体発見される イスラム過激派が拉致

  • 主は生きておられる(176)息づかい 平林けい子

  • 世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(14)巡回伝道を始める

  • クリスチャン投資家ビル・ファン氏のアルケゴス社めぐる取引で最大1・1兆円の損失 野村HDなどにも影響

  • オウム元幹部に牧師が語る「罪人が新しくされるキリスト教の力」

  • ジャスティン・ビーバー、イースターに率直な信仰歌った新EP「フリーダム」リリース

  • 西日本福音ルーテル教会、礼拝休止を休業扱いしコロナ助成金受給 検証委設置へ

  • 神父の言葉で決意 河井克行元法相、無罪主張から一転買収認める

  • イースター・メッセージ「復活の朝」 鮫島紘一

  • ティム・ケラー牧師が語る「死と復活の希望」 末期がんの闘病生活の中で新著出版

  • イースター、2つの証言 山崎純二

  • 西アフリカのマリでスイス人女性宣教師の遺体発見される イスラム過激派が拉致

  • ジャスティン・ビーバー、牧師と刑務所訪問 「神に対する見方、恐れから愛に変わった」

  • クリスチャン投資家ビル・ファン氏のアルケゴス社めぐる取引で最大1・1兆円の損失 野村HDなどにも影響

  • オウム元幹部に牧師が語る「罪人が新しくされるキリスト教の力」

  • 西日本福音ルーテル教会、礼拝休止を休業扱いしコロナ助成金受給 検証委設置へ

  • ジャスティン・ビーバー、イースターに率直な信仰歌った新EP「フリーダム」リリース

  • 神父の言葉で決意 河井克行元法相、無罪主張から一転買収認める

  • ジャスティン・ビーバー、牧師と刑務所訪問 「神に対する見方、恐れから愛に変わった」

  • 三浦綾子の小説原作に矢嶋楫子の生涯を映画化、来年1月公開 宣教師役などキャスト募集

  • 技能実習生が主人公 第45回日本カトリック映画賞に「コンプリシティ/優しい共犯」

  • イースター・メッセージ「復活の朝」 鮫島紘一

  • ティム・ケラー牧師が語る「死と復活の希望」 末期がんの闘病生活の中で新著出版

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 論説委員・編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2021 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.