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世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯

世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(11)見捨てられた者への伝道

2021年2月24日18時05分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:ジョン・ウェスレー
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(1)猛火から救われて+
ジョン・ウェスレー(1703~91、画像:Frank O. Salisbury)

アルダス・ゲートの体験以来、ウェスレーは別人のように変わり、その顔は生き生きと輝き、言葉は確信に満たされていた。彼は今、何のためらいもなく、この社会から見捨てられた者への伝道を始めたのだった。

あのオックスフォードの刑務所を訪ねると、まだクリフォードは牢につながれていた。「ああ、先生」。クリフォードは涙に濡れた顔にあふれるばかりの微笑をたたえて手を差し出した。「明日・・・だそうです。もうお目にかかれないと思っていたんですが、よく来てくださいました」

彼はすでに心の平安を得ており、落ち着いていた。「いつぞや先生は、人間は皆罪人(つみびと)だとおっしゃいましたね。私は今までの罪深さが分かり、泣きながら祈りました。そうしたら、先生、イエス様はこんな私の罪を残らず許してくださったんです。こんなに安らかな気持ちになったのは初めてです。これで安心して死んでいけます」

驚くべきことに、このやりとりを傍らで聞いていた2人の看守が感動して、この時から信仰を持つようになったのであった。ウェスレーは、間もなく死に赴く者を受け入れてくださいと祈ってから、死刑囚の頭に手を置いて祝福した。最後にクリフォードはこう言ったのだった。「死はいっとき潜らなくちゃならない門かもしれませんが、その向こうでイエス様が待っていてくださるんですから、それを楽しみにしています」

次に、ウェスレーはニューゲートの刑務所を訪れた。ここの死刑囚たちは心が荒れすさみ、手がつけられないほどの恐慌をきたしていた。ウェスレーは彼らにこう語った。「イエス様は、一緒に十字架につけられた強盗に向かって、今日一緒にパラダイスに入るべしと言われました。今日なのですよ。いつでもイエス様は信じる者を救いに導いてくださいます」

ニューゲートの牢獄の看守たちはこの言葉を聞いて苦々しく思った。死刑囚は社会的に制裁を受けるべきものなのだから、彼らに伝道するなどもってのほかだと考えたのである。そこで彼らはウェスレーに刑務所伝道が許可されるような証明書を持っているのかと尋ねた。当然ウェスレーには英国国教会で説教する資格があったので、自分はどこに行っても福音をのべ伝えることができるのだと答えた。

それから、彼は社会から見捨てられた者たちの方を向いて言った。「イエス様は今、あなたがたを招いておられますよ。信じる決心をするのを待っておられます」。「こんな社会のごみみたいなわれわれでもいいのかね? その方は、立派な行いをする人だけを救うのと違うか?」。「どんな人でも、何をしてきた人でも、信じる者をすべてイエス様は救ってくださいますよ」

このようにして、少しずつ死刑囚たちの頑なな魂にイエス・キリストの愛と許しを語るうちに、彼らはまるで幼な子のように素直にそれを信じた。そして、その日のうちにウェスレーは5人の死刑囚に洗礼を授けたのである。

ロンドンの刑務所の囚人たちも、ウェスレーをまるで慈父のように慕っており、続々と洗礼を受けた。彼らの一人のモリソンという若者は、死刑の当日までおびえていたので、ウェスレーは刑場まで付き添っていった。「あの人殺しが死刑になるんだとよ」「あれ? 付き添っているのは、あのメソジストの牧師じゃないか」。道の両側には、もの見高い人々がぎっしりと詰めかけ、このありさまを眺めていた。

「ウェスレーさん、あなたの名誉のためにこういうことはなさらないほうがいいですよ」。その時、国教会派の牧師が彼に注意した。しかし、ウェスレーはそれを無視し、死刑囚に最後の祝福を祈るのだった。「では、安らかにお行きなさい。イエス様はあなたの魂を抱き止めてくださるために、両手を広げて待っておられますよ」

この時、驚くべきことが起きた。今までおびえ、悪口を吐き散らしていたモリソンという若者はにっこり笑ってこう言った。「では行ってきます、先生」。それから、まるで遠くに旅行にでも出掛けるかのように晴れやかに手を振って絞首台に登っていったのである。ウェスレーが行ったこの刑務所伝道は、その後「刑務所の改善」という大きな社会問題を呼び起こすことにもなったのであった。

*

<あとがき>

ウェスレーの時代には、聖職者が刑務所を訪れるなどとんでもないことと考えられていました。しかし、アルダス・ゲートの回心で内的に変えられたウェスレーは、臆することなく刑務所を訪れ、見捨てられた人たちに福音を伝えたのです。オックスフォード刑務所のクリフォード死刑囚は、ウェスレーから福音を聞かされ、今はあれほど恐れていた死をも再びイエス・キリストに会える喜びに変えられ、平安のうちに召されてゆきました。

ウェスレーは、さらにニューゲート、ロンドンの刑務所をも訪れ、囚人に福音を語り、彼らを祝福して天国に送りました。凶悪な犯罪者たちはウェスレーを慈父のように慕い、一人残らずイエス・キリストの福音を信じたのでした。実に「・・・多くの者はあとになり、あとの者は先になるであろう」(マルコ10:12)と聖書に書かれているように、社会から排除され、軽んじられている者こそ先に天国に入るのでありましょう。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジョン・ウェスレー
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