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世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯

世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(7)悔い改める人々

2020年12月30日14時23分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:ジョン・ウェスレー
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(1)猛火から救われて+
ジョン・ウェスレー(1703~91、画像:Frank O. Salisbury)

1735年4月のことであった。ウェスレーは姉のエミリーから「父病重し」との手紙を受け取った。急いで弟のチャールスと共に故郷のエプオースに駆けつけると、父サムエルは骨と皮ばかりになって病床に横たわっており、一目でもう長くないことがすぐに分かった。

「ジョンや」。父は、まず彼を呼び寄せると、その手を握りしめて激励した。「福音は喜びの訪れだ。それは人に生きる勇気と希望を与えてくれるものだということをあらゆる人に語りなさい。特に貧しい者、虐げられている者、社会から見捨てられている者たちにそうしてほしい」

それから、そばに立っているチャールスに言うのだった。「チャールス。おまえが神をたたえる歌を作りはじめていることを知っているよ。どうか最高の賛美の歌をささげなさい。多くの人がそれによって心の平安を得られるように」

その晩から、急に容体が変わり、次の日にサムエル・ウェスレーは天に召されていった。葬儀は彼の牧していた教会で挙げられることになり、ウェスレーは説教を委ねられた。

彼は、サムエル・ウェスレーがどんなに心の正しい、曲がったことの嫌いな人であったか、そしてどんな人にも優しく親切で、子どもまでが彼を慕っていたことを語った。その生涯はまさにイエス・キリストのしもべにふさわしく、黙々と苦難を耐えしのび、迫害を受けても抵抗せず、悪意や嘲笑に対しても愛をもって報いたことを、エプオースの民を前にして語った。

「父は限りなくこのエプオースと、ここに住む人々を愛していました。その昔――私はまだ小さくてよく覚えていませんでしたが――迫害に遭って牧師館が焼き払われたとき、皆がもう少し安全な場所に移ることを勧めました。その時、父ははっきりと申しました。自分はこのエプオースの人々を心から愛している。どうして離れられよう。自分がここを去ったら、いったい誰が彼らを愛し、キリストの愛を伝えるのだ、と」

その時、集まった人々は、こらえ切れずに涙にむせび始めた。「でも、父は確信していました。いつの日にか必ずエプオースは神を信じる人で満ちあふれるだろうということを。私は、父がエプオースのために祈るとき、いつでも涙を流しているのを見ました。父の生涯は、本当に報われることの少ない、苦難に満ちたものでしたが、愛につらぬかれたものでありました」

そう言って、ウェスレーが話を終えたときである。いきなり、一人の初老の男が苦しそうに喘ぎながらよろよろと講壇に近寄ってきたかと思うと、何か言いたげに唇を震わせていたが、がっくりとサムエル・ウェスレーの棺に覆いかぶさるようにして倒れ伏した。驚いたウェスレーが抱き起こすと、男は死んでいるではないか。会衆は立ち上がると、ざわめき始めた。

「この人はなあ、先生」。一人の男が泣きながら飛び出してくると、大声で言った。「この牧師さんにあやまろうとしていただよ。いつでもそう言っていた。この人が昔、牧師館に火ィつけたからだ」

ウェスレーは、言葉もなく立ちつくしていた。「あんなことをしたもんで、ばちが当たっただな。苦しんでいた。そして、とうとう、こんなに落ちぶれて、不幸になっちまった」

髪に白いものが混じったその男は泣きながら続けた。「こんないい牧師さんに、本当に何ちゅうことしただ。でもばちが当たって、この人はひどい病気で死にかけているってうわさがあったんだけど、サムエル・ウェスレーという牧師さんが死んだと聞いて、あやまりたいと思って来たに違いないだよ。だから許してやってくだせえ!」

「おらたちだってそうだ!」そこへ、2、3人の村人が駆けてきて言った。「牛を刺し殺したのはおらだあ!」「火ィつけたの、この人だけじゃねえ。おらたち、みんなで相談してやっただよ」。「おらが、先生んちの犬を切り殺しただ!」

彼らは一緒にその場にひざまずき、ウェスレーとその家族に心から許しを乞うた。それから一同は、棺のそばに横たわった男を、サムエル・ウェスレーと並べてやったのだった。

この時から、悔い改めが波のように広がり、やがてそれがエプオース村を生まれ変わらせる運動へとつながっていったのだった。

*

<あとがき>

人間は自分が犯した過ちについて、理屈ではそれが悪いと知っていても、心情から納得しないと悔い改めることはないといわれています。ウェスレーの郷里エプオース村の住民もそうでした。彼らはかつて牧師館を襲撃し、家畜を殺して放火した罪を心の中で認めてはいましたが、日常生活の中でそれを忘れようとし、昼間から酒を飲み、駄じゃれを飛ばし、賭博にのめり込む――というような生活をしていました。

しかし、突然それが一変しました。サムエル・ウェスレー牧師が天に召されたのです。この時、ジョン・ウェスレーは、父がどんなにエプオースとその村人を愛していたかを切々と語りました。すると、彼らはこらえ切れなくなったように、泣きながら昔の罪を告白したのです。この中から真の悔い改めが生まれ、やがてそれは信仰復興の波となって広がってゆき、エプオース村が新しく生まれ変わるきっかけとなったのでした。まことに愛のみが真に人を生まれ変わらせることができるのでありましょう。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジョン・ウェスレー
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