Skip to main content
2025年11月7日19時15分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯

世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(7)悔い改める人々

2020年12月30日14時23分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:ジョン・ウェスレー
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(1)猛火から救われて+
ジョン・ウェスレー(1703~91、画像:Frank O. Salisbury)

1735年4月のことであった。ウェスレーは姉のエミリーから「父病重し」との手紙を受け取った。急いで弟のチャールスと共に故郷のエプオースに駆けつけると、父サムエルは骨と皮ばかりになって病床に横たわっており、一目でもう長くないことがすぐに分かった。

「ジョンや」。父は、まず彼を呼び寄せると、その手を握りしめて激励した。「福音は喜びの訪れだ。それは人に生きる勇気と希望を与えてくれるものだということをあらゆる人に語りなさい。特に貧しい者、虐げられている者、社会から見捨てられている者たちにそうしてほしい」

それから、そばに立っているチャールスに言うのだった。「チャールス。おまえが神をたたえる歌を作りはじめていることを知っているよ。どうか最高の賛美の歌をささげなさい。多くの人がそれによって心の平安を得られるように」

その晩から、急に容体が変わり、次の日にサムエル・ウェスレーは天に召されていった。葬儀は彼の牧していた教会で挙げられることになり、ウェスレーは説教を委ねられた。

彼は、サムエル・ウェスレーがどんなに心の正しい、曲がったことの嫌いな人であったか、そしてどんな人にも優しく親切で、子どもまでが彼を慕っていたことを語った。その生涯はまさにイエス・キリストのしもべにふさわしく、黙々と苦難を耐えしのび、迫害を受けても抵抗せず、悪意や嘲笑に対しても愛をもって報いたことを、エプオースの民を前にして語った。

「父は限りなくこのエプオースと、ここに住む人々を愛していました。その昔――私はまだ小さくてよく覚えていませんでしたが――迫害に遭って牧師館が焼き払われたとき、皆がもう少し安全な場所に移ることを勧めました。その時、父ははっきりと申しました。自分はこのエプオースの人々を心から愛している。どうして離れられよう。自分がここを去ったら、いったい誰が彼らを愛し、キリストの愛を伝えるのだ、と」

その時、集まった人々は、こらえ切れずに涙にむせび始めた。「でも、父は確信していました。いつの日にか必ずエプオースは神を信じる人で満ちあふれるだろうということを。私は、父がエプオースのために祈るとき、いつでも涙を流しているのを見ました。父の生涯は、本当に報われることの少ない、苦難に満ちたものでしたが、愛につらぬかれたものでありました」

そう言って、ウェスレーが話を終えたときである。いきなり、一人の初老の男が苦しそうに喘ぎながらよろよろと講壇に近寄ってきたかと思うと、何か言いたげに唇を震わせていたが、がっくりとサムエル・ウェスレーの棺に覆いかぶさるようにして倒れ伏した。驚いたウェスレーが抱き起こすと、男は死んでいるではないか。会衆は立ち上がると、ざわめき始めた。

「この人はなあ、先生」。一人の男が泣きながら飛び出してくると、大声で言った。「この牧師さんにあやまろうとしていただよ。いつでもそう言っていた。この人が昔、牧師館に火ィつけたからだ」

ウェスレーは、言葉もなく立ちつくしていた。「あんなことをしたもんで、ばちが当たっただな。苦しんでいた。そして、とうとう、こんなに落ちぶれて、不幸になっちまった」

髪に白いものが混じったその男は泣きながら続けた。「こんないい牧師さんに、本当に何ちゅうことしただ。でもばちが当たって、この人はひどい病気で死にかけているってうわさがあったんだけど、サムエル・ウェスレーという牧師さんが死んだと聞いて、あやまりたいと思って来たに違いないだよ。だから許してやってくだせえ!」

「おらたちだってそうだ!」そこへ、2、3人の村人が駆けてきて言った。「牛を刺し殺したのはおらだあ!」「火ィつけたの、この人だけじゃねえ。おらたち、みんなで相談してやっただよ」。「おらが、先生んちの犬を切り殺しただ!」

彼らは一緒にその場にひざまずき、ウェスレーとその家族に心から許しを乞うた。それから一同は、棺のそばに横たわった男を、サムエル・ウェスレーと並べてやったのだった。

この時から、悔い改めが波のように広がり、やがてそれがエプオース村を生まれ変わらせる運動へとつながっていったのだった。

*

<あとがき>

人間は自分が犯した過ちについて、理屈ではそれが悪いと知っていても、心情から納得しないと悔い改めることはないといわれています。ウェスレーの郷里エプオース村の住民もそうでした。彼らはかつて牧師館を襲撃し、家畜を殺して放火した罪を心の中で認めてはいましたが、日常生活の中でそれを忘れようとし、昼間から酒を飲み、駄じゃれを飛ばし、賭博にのめり込む――というような生活をしていました。

しかし、突然それが一変しました。サムエル・ウェスレー牧師が天に召されたのです。この時、ジョン・ウェスレーは、父がどんなにエプオースとその村人を愛していたかを切々と語りました。すると、彼らはこらえ切れなくなったように、泣きながら昔の罪を告白したのです。この中から真の悔い改めが生まれ、やがてそれは信仰復興の波となって広がってゆき、エプオース村が新しく生まれ変わるきっかけとなったのでした。まことに愛のみが真に人を生まれ変わらせることができるのでありましょう。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジョン・ウェスレー
  • ツイート

関連記事

  • 鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(1)故郷を離れて

  • 太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯(1)稲穂のように

  • ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

  • 戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(1)叫び求める声

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • ひと足ひと足、主にすがりて 菅野直基

  • 主は生きておられる(241)カレンダーあと1枚 平林けい子

  • ワールド・ビジョンがクリスマスキャンペーン、教会で酒井美紀さん登場のコンサートも

  • 都合の悪いお言葉(その2) マルコ福音書10章1~12節

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(251)聖書と考える「良いこと悪いこと」

  • ワールドミッションレポート(11月7日):スーダンのマディ族のために祈ろう

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.