Skip to main content
2025年9月4日23時03分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯

世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(6)メソジスト教団の結成

2020年12月16日14時42分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:ジョン・ウェスレー
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(1)猛火から救われて+
ジョン・ウェスレー(1703~91、画像:Frank O. Salisbury)

さて、大学内に賛美歌が響き渡るようになると、教授や一部の学生たちは眉をひそめるようになった。

「あの人たちは会議室を使って集会ばかりやっているじゃないか。耳ざわりだよ」。「それに、うわさですが、彼らは貧民くつに行って病人と話をしたり、物乞いに食物をやったりしているそうですよ」

「ホーリー・クラブ」が盛んになるにつれ、大学内には次第に反感が高まってきた。教授たちにとってみれば、オックスフォード大学は教養のある人が集まる所であり、高度な水準を持った学問の研究機関であった。それが一部の奇妙な人たちに会議室を独占され、彼らは毎日声高らかに祈ったり、賛美歌を歌ったりし、学生に呼び掛けて祈祷会を開いたりしているのだ。さらに、集団で裏町の貧民くつに出掛けてゆき、無知で道徳的に低い人たちと交わり彼らの世話までしているというのだから、どうにも我慢できないことであった。

一方、学生たちも、教授に同調してこのグループの悪口を言い、こきおろした。彼らは授業が終わると、行きつけの酒場に行き、一杯やりながらこのグループのうわさをしたり、物まねをしてはやし立てるのが習慣になった。

「そうだ、いいあだ名を思いついたよ」。ある学生がグラスを高く上げて言った。「それは何だい?」「つまり、やつらはきちょうめん屋――メソジストだ」

「メソジスト! ぴったりじゃないか」。彼らは、どっとはやし立てた。

その頃、ウェスレーたちは、一人の男の臨終をみとるために裏町のみすぼらしい大工の家にいた。その男は、仕事中に足を滑らせて屋根から落ち、大けがをして医者からもう助かる見込みはないと言われたのだった。床にぼろぼろの布団を敷き、そこに男は横たえられていた。彼にとりすがって、妻と子どもが泣いていた。

その時、突然男は呻き声を上げた。そして迫り来る死に抵抗するように目をかっと見開き、しびれて動かない体を必死で動かそうとした。妻は、ウェスレーにすがりつくようにして頼んだ。

「先生、この人死ぬのを怖がっているんです。何とか言ってやってくださいな」。ウェスレーは、今にも息を引き取ろうとしている人の上にかがみ込み、その手をしっかりと握って聖書を読んでやった。

「あなたがたは心をさわがせないがよい。神を信じ、またわたしを信じなさい。わたしの父の家にはすまいがたくさんある」(ヨハネ14:1〜2)

すると、男はしきりに胸の上で十字を切っていた。その意味を感じ取ったウェスレーは、器に水を入れてきてもらい、死にゆく者に洗礼を授けた。「父と、子と、聖霊の名によって、あなたにバプテスマを授けます」。その場にいた者たちは、声をそろえてアーメンと言った。

すると、その時である。恐怖と苦痛に歪んでいた男の顔が変わり、平和と喜びに満たされ、彼はまるで遠くの空を仰ぐように目を上げた。それから、感謝するようにウェスレーの方を見て笑った途端に、息が止まった。最後に、疲れた労働者がその仕事をなし終えたときのように、ほっと幸福そうな吐息がその口から漏れたのをウェスレーは聞いた。

すでに汚らしい部屋は神聖な場所に変わっていた。ウェスレーは小さな娘の手を握りしめると言った。「お父さんはね、神様を信じて平安のうちに天に召されたんですよ。あなたもイエス様を信じていたら、また天国でお父さんに会えますからね」

「先生」。その時母親はきっぱりと言った。「ありがとうございました。私どもも勇気を出して、何とかやっていきます。私と娘にもどうか洗礼を授けてくださいまし。そうすれば、天国で主人と会ったとき、喜び合えますから」。その場で、母と娘もただちに洗礼を受けた。

「これを葬式の費用にしてください」。その時、ジョージ・ホイットフィールドがポケットからありったけの小銭を出してこう言うと、「ホーリー・クラブ」の者たちもわずかずつ小銭を集め、1ポンドほどになった。彼らはこれを母親に渡して、この家を出た。

「よう、メソジストの先生方!」家の前にいた学生たちがはやし立てた。「きちょうめん屋さんたち!」しかしこの時、ウェスレーたちはこのあだ名を喜び、自分たちの教団の名称としたのだった。

*

<あとがき>

「ホーリー・クラブ」という小さな祈りのグループが、やがては伝道と社会事業によって暗黒の英国に光をもたらすようになろうとは誰が予測したでしょうか? その中には不思議な神様の摂理があったのでした。「メソジスト」という言葉は、英語で「きちょうめん屋」との意で、大学の中で生まれたあだ名でした。ウェスレーたちに反感を持つ教授や学生たちがこの祈りのグループをこう呼んではやし立てたのですが、彼らはこれこそ自分たちの活動にふさわしい名前だとして神様から頂戴したのでした。

「メソジスト教団」はこうして生まれ、やがて素晴らしい活動の第一歩を踏み出しました。刑務所伝道、病院や孤児院訪問、炭坑の町での教育活動など、まさに社会から見捨てられた人々に向けて力強く福音が語られ、その生活への支援がなされたのです。まさに、英国の地獄のような無法地帯に、恩寵の光が射し込んだ瞬間でした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジョン・ウェスレー
  • ツイート

関連記事

  • 鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(1)故郷を離れて

  • 太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯(1)稲穂のように

  • ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

  • 戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(1)叫び求める声

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり

  • 私の名を使って(その3) マルコ福音書9章38~41節

  • キリストの道 穂森幸一

  • 「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(2)心が人生を決める 加治太郎

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(242)聖書と考える「DOCTOR PRICE」

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(27)希望のかけらも残らずに

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • ウクライナ、米大衆伝道者フランクリン・グラハム氏に勲章授与 人道支援を評価

  • アフガニスタン東部地震、死者1400人超 ワールド・ビジョンが緊急支援募金開始

  • DVを受けた人のための礼拝「やすらぎ」 第1回、東京・吉祥寺で9月28日

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • ウクライナ、米大衆伝道者フランクリン・グラハム氏に勲章授与 人道支援を評価

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • アフガニスタン東部地震、死者1400人超 ワールド・ビジョンが緊急支援募金開始

  • DVを受けた人のための礼拝「やすらぎ」 第1回、東京・吉祥寺で9月28日

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

編集部のおすすめ

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.