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日本人に寄り添う福音宣教の扉

日本人に寄り添う福音宣教の扉(252)地域教会こそ日本社会の希望 広田信也

2026年7月11日20時02分 コラムニスト : 広田信也
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関連タグ:広田信也

社会構造の変化

長年日本人は、家や職場などの共同体に所属し、情でつながる人間関係を大切にするタテ社会構造の中で生きてきました。日本人にとって、このような自分の居場所になる絆の強い共同体はとても大切な存在でした。

戦後、高齢化、核家族化の進む中、個人主義を基調とする欧米文化の影響を受け、契約や資格によってつながるヨコ社会が増えました。それに伴い、絆の強い家や職場など、これまで日本人を支えてきたタテ社会の共同体が数多く失われ、日本人の多くが自分の居場所を失ってしまいました。

日本社会では、多くの年代において「孤独」を感じる人が増えましたが、上記のような社会構造の変化が大きな要因になったと思います。

日本の典型的な社会構造を得た地域教会

一方、かつて欧米のヨコ社会の構造をそのまま持ち込み、信仰という資格によってつながった地域教会ですが、日本社会の中で、信者間の絆が次第に強くなり、日本人らしい典型的なタテ社会構造を持つようになりました。

絆の強いタテ社会の共同体が失われる日本社会にあって、地域教会は、聖書信仰を通し、絆の強いタテ社会共同体を新たに生み出す、全く逆の変化を遂げたように思います。

多くの地域教会において、愛し合い、仕え合うキリストの体が育まれました。心のこもった人間関係が培われ、長年教会に所属する人々にとっては、かけがえのない大切な居場所になったと思います。

それと同時に、絆の強い家や職場と同様に、地域教会はタテ社会の負の側面を合わせ持つようになりました。すなわち、教会のウチとソトが明確に区別され、閉鎖的な性格を帯びるようになったのです。結果として、教会のソトからウチに入ることが難しく、宣教は一向に進まなくなりました。

このまま放置すれば、高齢化に伴い、地域教会は一層縮小してしまうでしょう。それは、決して信仰や聖書理解の問題ではなく、典型的なタテ社会構造を持つ地域教会には、新しい人材が加えられる機会が極めて少なくなってしまったからです。

地域教会こそ日本社会の希望

このような社会変化の中、共同体の絆を維持しようとする努力が、日本各地の共同体で持たれています。従来から存在したタテ社会の構造を持つ家や職場を復活させるのは難しいかもしれませんが、心のこもった人間関係を取り戻すさまざまな取り組みが実施されています。大いに期待したいと思います。

一方、同じタテ社会の構造を持つ地域教会の内側には、他の共同体以上に、絆の強い心のこもった人間関係を作り出す力が、今も十分に備えられています。確かに存続の危機にありますが、地域教会に新しい人材が加わる道筋さえできれば、地域教会は日本社会の大きな希望になる可能性を秘めています。

地域教会の中にあるお互いを思いやる姿勢は、以下の聖書にある通り、イエス・キリストが模範として示してくださいました。

ですから、キリストにあって励ましがあり、愛の慰めがあり、御霊の交わりがあり、愛情とあわれみがあるなら、あなたがたは同じ思いとなり、同じ愛の心を持ち、心を合わせ、思いを一つにして、私の喜びを満たしてください。何事も利己的な思いや虚栄からするのではなく、へりくだって、互いに人を自分よりすぐれた者と思いなさい。それぞれ、自分のことだけでなく、ほかの人のことも顧みなさい。キリスト・イエスのうちにあるこの思いを、あなたがたの間でも抱きなさい。キリストは、神の御姿であられるのに、神としてのあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を空しくして、しもべの姿をとり、人間と同じようになられました。人としての姿をもって現れ、自らを低くして、死にまで、それも十字架の死にまで従われました。(ピリピ人への手紙2章1~8節)

地域教会に向けられる「心の叫び」

前職を退職し、日本宣教を志してから15年が過ぎました。さまざまな経験を通し、一般の社会から地域教会に向けられる「心の叫び」を受け取り、地域教会が教会のソトにおられる「飢え渇いた魂」に心を込めて寄り添える道を、神様は整えてくださいました。

地域教会には、弱さを抱えるいかなる人であっても温かく迎え、心のこもった居場所を提供する神様の力が備えられています。

これまでドラマのような感動的な経験を数多く共有させていただきましたが、先日、間もなく召されようとする女性から、地域教会に向けた「心の叫び」を受け取りました。

それをそのまま地域教会の牧師にお伝えし、訪問を依頼させていただきました。その時の証しを、訪問した牧師の言葉で下記にご紹介します。地域教会には「飢え渇いた魂」に寄り添う神様の力があふれるほど備えられています。

─「私はクリスチャンになったの!」地上での人生の最期に─

「キリスト教式葬儀を妻が希望しています」。余命宣告を受け、闘病されている女性のご主人からブレス・ユア・ホームへのご依頼。この女性は長年、さまざまな哲学・宗教の本を読まれる中、人生の最期に「やっぱりキリスト教だと思う」との思いを持たれていました。

司式の依頼が私にあり、ぜひ生前訪問をしたいとお伝えすると、先方も「ぜひ来て、お祈りしてほしい」とのこと。すぐにご自宅を訪問し、福音をお伝えしたところ、ご本人だけでなく、家族全員が信仰の決断をされました! さらに洗礼の説明をすると「ぜひ今日受けたい」とのこと。ご本人のはっきりとした信仰を確認し、洗礼を授ける恵みにもあずかりました。

イースター翌日の出来事でした。3日後、女性は召されましたが、病の痛みの中「私はクリスチャンになったの!」と息を引き取るまで繰り返し言われていたとご主人からお聞きしました。

召された当日から前夜式、告別式、火葬場までご家族と共に過ごさせていただきました。ご家族とは引き続き、よいつながりが与えられ、フォローさせていただいています。ご家族の中に確かな天での再会の希望と主からの慰めがあふれていることに感謝いたします。

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◇

広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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